解決事例
Solution
認定等級と示談内容
後遺障害等級3級3号の認定を受け、1億560万円の支払いで解決に至った事例(30代 男性)
認定等級と内容
3級3号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
事例の概要と解決に至るまでの流れ
本件では、被害者が横断歩道を横断中に曲がってきた相手方車両に巻き込まれ、外傷性くも膜下出血、急性硬膜下血腫、脳挫傷、頭蓋骨骨折などの怪我を負いました。
約3年間にわたって入院や通院による治療を行い、運動機能は正常の域まで回復しましたが、イライラする、物忘れが多い、けいれん、てんかんの発作などの症状が残ったまま症状固定に至りました。
自賠責保険に後遺障害認定申請を行ったところ、後遺障害等級3級3号が認定されました。
被害者は、相手方保険会社と示談の交渉を始めるにあたって、先行きに不安を感じ、弁護士に依頼したいと当事務所にご相談にみえました。
当事務所の弁護士が介入し、相手方と示談交渉を行った結果、1億560万円の支払いを受けることで解決に至りました。
解決のポイント
高次脳機能障害は、自賠法施行令上では、症状の程度に応じて6段階の等級が認定されます。
1級1号、2級1号、3級3号、5級2号、7級4号、9級10号の6つです。
これらの等級の分類は、まず介護が必要かどうかで大きく2つにわけることができます。
常時もしくは随時介護が必要な場合が1級と2級、その他の場合が3級以下です。
さらに、3級以下の等級は、私たちが日常生活において必要とする4つの能力の喪失の程度に応じて評価されます。
4つの能力とは以下の能力を指します。
(1)意思疎通能力
記憶力、認知力、言語力のことをいいます。
物忘れが激しくなった、道に迷うことが多くなった、人から用件をきいて伝言をすることができない、などがあてはまります。
(2)問題解決能力
理解力、判断力のことをいいます。
人の指示が理解できない、課題を手順どおりに行うことができない、などがあてはまります。
(3)作業負荷に対する持続力、持久力
精神面における意欲、気分、または注意の集中の持続力・持久力のことをいいます。
作業に取り組んでも途中で放り出してしまい、最後まで進めることができない、じっとしていられない、落ち着きがなくなった、などがあてはまります。
(4)社会行動能力
協調性や感情・欲求のコントロールのことをいいます。
突然感情が爆発してしまう、起床時間・就寝時間を守ることができない、などがあてはまります。
本件の被害者に認定された3級3号は、上述の4つの能力のうち、1つが全く失われている場合、もしくは、2つ以上の大部分が失われている場合に該当する等級です。
なお、複数の能力が失われている場合は、一番高い等級が認定されます。
たとえば、意思疎通能力が3級相当、問題解決能力が5級相当、社会行動能力が7級相当の場合は、3級が認定されます。
後遺障害認定申請で高次脳機能障害として後遺障害等級の認定を受けるためには、医師の所見と家族の報告にもとづいた、4つの能力の喪失の程度を疎明する資料が必要です。
具体的には、医師が作成する「神経系統の障害に関する医学的意見」という書面と、ご家族が作成する「日常生活状況報告書」という書面です。
提出された資料は、損害保険料率機構の自賠責保険(共済)審査会高次脳機能障害専門部会という機関で審議され、等級が認定されます。
したがって、高次脳機能障害で後遺障害等級の認定を受けるためには、入院・通院期間を通じて資料収集を重ね、申請に備えること、医師だけでなくご家族も一緒に被害者の治療を見守り、継続的に経過観察を行っていくことが重要なポイントとなります。
もっとも、後遺障害等級の認定を受けたらそれで解決というわけではありません。
交通事故問題において一番大切なのは、適切な賠償を得ることです。
高次脳機能障害は、脳損傷を原因として生じ、脳は再生することはないため、その障害は恒久的なものです。
しかし、将来的な損害を正確に予測することは誰にもできません。
そこで、保険会社は、被害者への賠償額のひとつの目安として自社の算定基準をもっています。
被害者に示談金を提案する際は、その自社の基準をもとに金額を算定しています。
一方で弁護士は、過去の裁判例、判例の積み重ねから、仮に裁判に至った場合、どのくらいの賠償が認められるかをもとに金額を算定します。
両者の金額を比べると、弁護士の算定額の方が高いことがほとんどです。
特に、障害の中でも将来に与える影響が大きい高次脳機能障害の場合、その差が数千万円に及ぶことも少なくありません。
交通事故により癒えることのない障害を負ってしまった被害者やそのご家族が感じている将来への不安ははかりしれないものです。
せめて、きちんと賠償を受けることで経済的な不安を少しでも軽減できるよう、私たちがお手伝いさせていただければと思っております。
交通事故の被害に遭い、毎日不安な日々を過ごしていらっしゃる方は、是非一度当事務所にご相談ください。