解決事例
Solution
後遺障害等級とその内容
・後遺障害等級9級10号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
事例の概要と解決に至るまでの流れ
被害者(60代・男性)は、この事故により、脳挫傷、外傷性くも膜下出血等の怪我を負いました。
およそ半年間の入院や通院による治療を重ね、運動機能はすべて正常の域まで回復しましたが、人の名前や場所がすぐに思い出せない物忘れの症状が残ったまま症状固定となりました。
自賠責保険に後遺障害等級認定申請を行ったところ、後遺障害等級9級10号が認定されました。
被害者は、初めての交通事故であり、先行きに不安を感じたためご相談に見えました。
当事務所の弁護士が介入し、認定された等級を元に相手方と示談交渉を重ね、解決に至りました。
解決のポイント
後遺障害の等級認定を受けた場合、等級に応じた慰謝料だけでなく、逸失利益も請求することができます。
逸失利益とは、事故がなければ本来得られるはずだった収入を補填することを目的とするものです。
逸失利益は、
基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 |
という式を用いて計算することができます。
本件で争点となったのは「労働能力喪失期間を何年とするか」です。
労働能力喪失期間について、裁判所は、原則として、被害者の症状固定日時点の年齢から67歳になるまでの年数と、簡易生命表の平均余命の2分の1のいずれか大きい方を用いるというスタンスをとっています。
しかし、例外的に、被害者の職種や地位、健康状態などの個別具体的な事情に応じて上記と異なる判断をすることもあります。
本件の被害者は60代であり、労働能力喪失期間は、簡易生命表の平均余命の2分の1とするケースでした。
そのため、当事務所の弁護士は、簡易生命表の平均余命の2分の1にあたる労働能力喪失期間を用いて逸失利益を算出し、相手方に対して請求しました。
これに対し、相手方の保険会社は、被害者の職種や健康状態を理由に期間に疑問があるとして、当方の主張を大きく下回る金額を提示してきました。
そこで、当事務所の弁護士は、依頼者の勤務先から証拠を取り付け、それらを根拠に粘り強く交渉を続けました。
その結果、当方の主張通りの労働能力喪失期間を用いて計算した逸失利益を含めた金額で解決に至りました。
交通事故に遭われると金銭的のみならず、リハビリや通院などにより、それまでの日常生活が奪われることになります。
さらに、示談交渉など、交通事故解決までには多くの専門知識を必要とするため、その不安や心労は計り知れないものになります。
そこで、当事務所では、一人一人の状況に寄り添い、交通事故解決までのイメージを共有することで、安心して元の生活を取り戻せるようサポートさせていただきます。
交通事故に遭われて、先の見えない不安を抱える方、是非一度当事務所の弁護士にご相談ください。