解決事例

Solution

頭部
高次脳機能障害
7級
時効
【高次脳機能障害】後遺障害認定申請により7級の認定を受けた事例

認定等級と内容

・7級4号

神経系統の機能障害を残し、簡易な労務以外の労務に服することができないもの

事例の概要と解決に至るまでの流れ

事故態様 自転車vs車

被害者(70代 女性)が自転車で走行中、直進してきた車と衝突しました。

この事故により被害者は、外傷性くも膜下出血や高次脳機能障害等の怪我を負いました。

被害者は、事故当日に救急搬送されてから入通院を継続したものの、記憶力の低下や半身にしびれの症状が残ったため、後遺障害認定の等級を受けたいと当事務所にご相談にみえました。

当事務所にて資料を収集し、後遺障害認定申請を行った結果、7級4号が認定されました。

認定された等級に基づき相手方保険会社との交渉を重ね解決に至りました。

解決のポイント

本件のポイントは、①高次脳機能障害の後遺障害認定等級を得たことと②時効です。

①  高次脳機能障害

「高次脳機能障害」は、頭部外傷や脳血管障害等による脳の損傷の後遺症として、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害が生じ、これに起因して日常生活・社会生活への適応が困難となる障害を言います。

症状や障害の程度も人によってさまざまです。

たとえば、感情の起伏が激しくなる、立ち上がりや歩行が介助なしにはできなくなる等の症状が挙げられます。

こういった症状は、画像検査では説明しづらいことに加え、事故前から被害者に頻繁に接している人でないとわからないことが多いです。

そのため、事故との因果関係を証明する資料を収集することがとても難しくなります。これが、高次脳機能障害で後遺障害認定を獲得することのハードルが高い理由です。

本件では、事故の影響により感情の起伏が激しくなり、記憶障害や遂行機能障害が現れ家族の介助なしには生活が難しくなりました。

そのため、弊所では治療の経過を確認するとともに、事故前と事故後の被害者の日常生活が変化したことがわかる書類、それを裏付ける医師作成の書類を収集しました。

②  時効

時効とは、特定の状態が一定の期間続いた場合にその事実状態を尊重し、権利の取得や喪失の効果をもたせるという法律上の制度です。

特定の権利をもっていたとしても一定の期間行使しない場合、その権利は消滅します。これを消滅時効といいます。

交通事故の損害賠償請求権にも消滅時効があります。被害者が損害賠償請求権を一定期間行使しないでいるとその権利は消滅します。

つまりは、相手に対して賠償を求めることができなくなってしまうということです。

交通事故の損害賠償請求権の時効は、物に関する損害の場合は3年、身体に関する損害の場合は5年、その起算点は被害者が損害を知ったときからです。

つまりは、被害者が交通事故に遭った時や怪我の症状固定日がその起算点になります。

高次脳機能障害のような重症の場合、治療期間が長期化し、相手保険会社が通院中にも関わらず治療費の一括対応を終了することがあります。

一括対応の終了後は、健康保険を利用してのご通院になります。その際、症状の改善が明確に分からずいつの間にか時効に差し迫っている場合が少なくありません。

本件も、ご相談にみえた段階で時効が迫っていました。

このような件では、早急に手続きを進めることが求められます。

そのため、まずは当事務所にて治療の経過や症状がわかる資料を収集いたしました。

そして、実際に資料を確認してみると、高次脳機能障害が疑われたため後遺障害申請を行いました。

等級認定を受けた後は、その等級に応じて裁判所基準で損害額を計算し、示談交渉を進めました。

後遺障害申請や時効の問題は、専門的な知識と案件に応じた適切な処理が求められます。

自己判断で通院を終了したり、保険会社から提示されるままの金額で示談をしたりすることは、被害者にとって最適ではない場合もありますので、一度当事務所の弁護士にご相談ください。