裁判例
Precedent
事案の概要
X(加盟店)は、ファストフード店を展開していたY(本部)とフランチャイズ契約を締結し、ファストフード店を経営していたが、ロイヤリティ等の支払を遅滞するようになった。
そこで、Yは、Xがロイヤリティ等の支払を遅滞したことを理由に、フランチャイズ契約を解除する意思表示をした上、未払のロイヤリティの支払い、リース物件の返還、本部の商標の使用の差し止めを求めて訴訟を提起した。これに対し、Xは、Yの解除権の行使が、解除権の濫用であると主張して解除の有効性を争った。
<判決の内容>
(1)解除の有効性について
Yは、Xのロイヤリティ等の不払等の債務不履行によって3回にわたり解除権が発生したが、覚書を締結し、Xに対して再三にわたり業務の改善を促していた。
その上で、Yは、Xの業務改善の見込について、3年度にもわたって慎重に審査を重ねた結果、その見込みがないと判断して、フランチャイズ契約を解除する旨の意思表示をしたことが認められる。それにもかかわらず、Xは、店舗の営業を継続し、かつロイヤリティの支払も怠り続けた。
このような事情からすると、Xの対応は、YがXに対してフランチャイズ契約を継続する機会を与えたことに対する背信行為といわざるを得ないものであって、Yとの間における信頼関係を著しく破壊するものである。
このような経緯を踏まえると、Yによる解除権の行使は、権利の濫用にあたるということはできない。
(2)商標の差止めについて
フランチャイズ契約が終了した以上、Xが著名なYの標章を店舗の営業に使用する行為は、不正競争防止法2条1項2号所定の不正競争行為にあたり、これによりYの営業上の利益を侵害したものであるから、同法3条に基づき、Xは、Y標章の使用等の侵害の行為を停止するとともに、Y標章を抹消し、その行為を組成した物を廃棄すべきである。
まとめ
フランチャイズ契約終了後、本部が加盟店に対して、商標の使用の差止めを求める法律構成としては、フランチャイズ契約違反、商標法違反、不正競争防止法違反があります。
本裁判例では、不正競争防止法違反を根拠に、標章の使用の差止めを認めていますが、不正競争防止法までは該当しなくても、フランチャイズ契約終了後にも、商標の使用を継続している場合、フランチャイズ契約や商標法を根拠に、商標の使用の差止めが認められることがあります。