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フランチャイズ
ロイヤリティの算定方法が問題となった事例(最高裁判所平成19年6月11日判決)

事案の概要

原告(加盟店)は、大手コンビニエンスストアのフランチャイズ・チェーンを運営する被告(本部)に対して、チャージと呼ばれるフランチャイズ契約上の対価を支払っていた。

原告は、チャージの計算の基礎となる売上高から控除されるべき費目(廃棄ロス原価及び棚卸ロス原価)の金額が控除されていなかったことから、その相当額を被告が受け取る法律上の原因はないとして、返還を求めました。

<判決の概要>

本判決の原審である東京高裁は、本部と加盟店の間で売上高に廃棄ロス原価及び棚卸ロス原価を含めるという意思の合致はなく、廃棄ロス原価及び棚卸ロス原価を含めて算定したチャージ分は法律上の原因がなく、本部は加盟店に対して、不当利得として返還をすべきであるとした。

これに対して、最高裁判所は、東京高裁の判決を破棄して、東京高裁に差し戻した。

その理由は、廃棄ロス原価及び棚卸ロス原価を売上高に含めるという計算方法が加盟店に対してされていたこと、その計算方法がマニュアルにも記載されていたことなどから、フランチャイズ契約の条項が、廃棄ロス原価及び棚卸ロス原価を売上高から控除されるべき費目に含めないと定めているといえることにあった。

まとめ

東京高裁と最高裁の判断が分かれたのは、契約条項等の明確性と売上高から控除される「売上商品原価」という用語が誤解を招く蓋然性等をどのように評価するかという点にあります。

そのため、本判決の先例としての汎用性は必ずしも高くありません。

今後、契約条項や契約書上の用語が微妙に異なり、加盟店に対して、廃棄ロス原価及び棚卸ロス原価が売上高から控除され、その分がチャージ算定の基礎にならないという誤解を与えるようなものであったケースにおいては、本判例と異なる判断がされる可能性があります。

そのような場合、チャージを定める条項が錯誤無効(民法95条)とされたり、不当利得返還請求(民法703条)が可能となったりするでしょうが、どのいった場合に可能かはケースバイケースでしょう。

本判決のチャージは一般的にはロイヤリティとも呼ばれます。

長年高額なロイヤリティを払ってきたが納得がいかない、そういった加盟店の経営者の方は、ロイヤリティの支払いに関する条項が無効となり、一部の返還を求めることができるかもしれません。

ただし、上述のように、その可否はケースバイケースですから、専門家である弁護士に相談してみることをお勧めします。

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