むちうちの安静期間はどれくらい?期間中の仕事はどうするべきか
「むちうちで仕事を休んでも問題ないのだろうか」
「仕事を休む場合、金銭面が不安だ」
交通事故に遭いむちうちになられた方で、このような心配をしている方も少なくありません。
今回は、むちうちになってしまった場合にどのくらいの期間安静にしていれば良いのか、また仕事を休む場合の対応方法についてご説明します。
むちうちになってしまい不安に思っている方の参考になれば幸いです。
1.むちうちの安静期間はどれくらいか
交通事故によってむちうちになってしまった時、医師の指示に従って休むことが望ましいです。
一般的に、受傷直後から1週間は急性期と呼ばれ、怪我をした箇所を固定し安静にしている必要があります。
むちうちは、事故の衝撃で頭が強く揺さぶられて首や腰に強い負担がかかることで引き起こされます。
筋肉や神経に異常をきたす怪我ですので、無理に動かすとかえって悪化してしまう可能性があります。
特に、事故直後は強い痛みを生じることもありますので、安静期間の間は仕事も休み、できるだけ怪我した箇所を動かさないようにする必要があります。
そのため、交通事故によるむちうちの場合、無理せず医師の指示に従って休むようにしましょう。
2.仕事を休んだ際に受け取れる休業損害
むちうちにより仕事を休んだ場合は、休業損害を相手方に請求することができます。
休業損害は、交通事故による怪我のために仕事を休んだり減らしたりしなければならなくなったことによって生じた減収などの損害のことです。
では、休業損害を受け取る際の注意点や、その算出方法についてご説明します。
(1)休業損害の計算方法とその相場
休業損害は加害者や加害者側の保険会社に対して請求でき、職業や収入、休んだ期間に応じて金額が異なります。
休業損害を算出する際、自賠責基準と任意保険基準、弁護士基準の三つの基準のうちのどれかを用いて計算します。
一般的に、弁護士基準が最も高額になります。
自賠責基準とは自賠責保険が定めている基準のことで、最低限の補償を目的としています。
令和2年3月31日までに発生した事故では、1日あたりの損害額を原則5700円として、令和2年4月1日以降に発生した事故では、1日当たり6100円として計算します。
よって、自賠責基準を用いた休業損害の金額は、5700円もしくは6100円×休業日数によって算出されます。
任意保険基準は、任意保険会社が独自に定める計算方法です。
その内容は公開されていませんが、自賠責基準よりもやや高い金額であることが一般的です。
弁護士基準は、被害者側弁護士が示談交渉で損害賠償金額を提示するときの基準です。
過去の判例を基に設定されており、裁判所も用いる基準であることから、裁判基準とも呼ばれます。
弁護士基準の休業損害は、1日当たりの基礎収入額×休業日数で求められます。
1日あたりの基礎収入は働き方によって異なり、以下のように求められます。
#1: 給与所得者の場合
会社員やアルバイトなど、給与をもらっている人は、原則として交通事故前3か月の給与額を用いて基礎収入額を算出します。
計算式は、「交通事故直近3か月の給与合計額÷90日×休業日数(土日祝日を含みます。)」もしくは「交通事故直近3か月の給与合計額÷稼働日数×休業日数」です。
弁護士基準では土日祝日を休業日数として含む一方で、任意保険会社の基準では含まれない場合があります。
#2:自営業者の場合
自営業者は会社員のように固定の給料がありませんので、交通事故が発生した前年の所得額を基準に1日当たりの基礎収入を求めます。
よって、自営業者は「交通事故前年の所得額÷365日×休業日数」の式で休業損害を算出します。
#3:主婦の場合
専業主婦や兼業主婦の場合、休業損害をもらえないのではないかと心配する方もいらっしゃいますが、同様に受け取ることが可能です。
専業主婦では、会社員や自営業者とは異なり賃金センサスの平均収入を基準に休業損害額を求めます。
(2)請求する際の注意点
休業損害は労災の休業補償と同時に受け取ることができません。
休業補償とは、交通事故によって仕事を休まなくならなければいけなくなった場合に、労災保険から支給されるお金のことです。
通勤途中や業務中に遭った交通事故については、休業損害と休業補償のどちらも請求すること自体は可能ですので、どちらがより利点があるかあらかじめ確認しておきましょう。
3.内払いを請求することで先に示談金の一部を受け取れる
内払いとは、被害者が受けた被害の額が確定しない段階で、示談成立前に、任意保険会社から支払われる賠償金の一部のことです。
通常、賠償金は示談が成立してから2週間程度で支払われますが、内払いを請求することで早くお金を受け取れます。
治療費などの費用が早急に必要な場合は、内払いの利用も検討してみましょう。
(1)請求する際の注意点
内払いは保険会社が任意でサービスの一種として行っており、法律で定められている制度ではないため、必ず受け取れるとは限りません。
内払いを希望する場合は、相手方の任意保険会社に対応できるか相談してみましょう。
また、内払いはあくまでも賠償金の一部が前払いされる制度です。
示談が成立するときに確定した賠償金から、内払いによって支払われた金額が差し引かれる点に注意しましょう。
(2)内払いの請求の流れ
内払いを請求してから支払われるまで、以下のような流れで進みます。
- 加害者側の保険会社から被害者に対して書類が送付
- 内容の確認や押印をして返送
- 保険会社より賠償金の支払
内払いの際に必要となる書類は、交通事故証明書や休業損害証明書などです。
特に、休業損害証明書は交通事故によって仕事を休んだことを証明する書類ですので、仕事を休んだ期間やその間に給料が支払われているかどうかなど、詳しく記載する必要があります。
4.むちうちで仕事を休んだ時の2つの注意点
むちうちで仕事を休んだ場合は、無理せず休みを取るべきですが、その間にも相手方の保険会社や加害者側から連絡を受けることもあります。
ここでは、仕事を休んだ際の注意点についてご説明します。
(1)休業損害を受け取れる期間はケースバイケースである
むちうちで仕事を休んだ場合は休業損害を受け取れると説明しましたが、受け取れる期間は怪我の程度や仕事の内容によります。
多くの場合、むちうちになってから1~2か月もすれば強い痛みはとれ、日常生活に支障がなくなるとされています。
そこで、むちうちで休業損害が支払われる期間は、概ね1~2か月が目安とされています。また、この期間は、医師により休業が必要であると認められる必要があります。
完治や症状が固定していないのに入通院を途中でやめた場合は、そのときまでの期間しか休業損害しか支払われません。
場合によっては、むちうちになってから一定期間経過した頃に、任意保険会社が休業損害の内払いの打ち切りを打診することがあります。
しかし、上記でご説明したように、休業するべき期間の判断をするのは医師です。
打ち切りの打診があった場合には、医師の意見を聞き意見書をもらうなどして、打ち切りのタイミングを変更してもらうよう交渉してみましょう。
(2)問題が起きたら弁護士に相談する
保険会社に休業損害の打ち切りを提案された時など、何か問題が起きた場合は弁護士に相談してみましょう。
弁護士は法律の専門家であり、交渉のプロでもあります。
交通事故問題の経験が豊富な弁護士であれば、むちうちで仕事を休む場合にどのような点に注意するべきかアドバイスをしたり、保険会社とスムーズに交渉をしたりしてくれます。
交通事故の対応では、どのタイミングでどのような手続をするかが重要ですので、一人で抱え込まずにまずは弁護士に相談してみましょう。
まとめ
今回は、むちうちになった場合の安静期間とその間の仕事についてご説明しました。
むちうちは、交通事故の中でも最も多い怪我ですが、痛みやしびれが生じ仕事にも影響を与えることもあります。
むちうちで仕事を休む場合にどのような点に注意すれば良いかわからない、適切な金額の休業損害を受け取りたいという方は、交通事故問題の実績が豊富な弁護士法人みずきにお気軽にご相談ください。
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