外傷性頚部症候群で後遺障害が認定される?後遺障害等級申請の流れ
「外傷性頚部症候群で後遺障害は認定されるのか」
「外傷性頚部症候群で後遺障害を患ったときに何を請求できるのか」
交通事故の被害に遭って外傷性頚部症候群の診断を受けた方で、治療を続けてもしびれや痛みが残ってしまっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、外傷性頚部症候群で後遺障害等級が認定されるのかについてご紹介します。
1.外傷性頚部症候群とは
外傷性頚部症候群とはいわゆるむちうちのことです。
交通事故により身体が強い衝撃を受けることで、首や肩、頭に痛みやしびれ等が発生します。
外傷性頚部症候群とは別に、頚椎捻挫や頚部挫傷、外傷性神経根症といった診断名で呼ばれることもあります。
事故によってむちうちのような症状が出たら、すぐに整形外科で精密検査を受けて、身体にどのような異常が発生しているか確認してもらうようにしましょう。
2.外傷性頚部症候群で後遺障害等級は認定されるのか
外傷性頚部症候群の治療を継続しても場合によっては後遺症が残ってしまうことがあります。
後遺障害の程度によっては、後遺障害等級が認定される可能性があるでしょう。
主に外傷性頚部症候群で後遺障害等級が認定されるケースは以下の2パターンです。
- 14級9号「局部に神経症状を残すもの」
- 12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」
それぞれの症状についてご紹介するので、該当している症状がないか確認してみましょう。
(1)14級9号「局部に神経症状を残すもの」
外傷性頚部症候群による後遺障害で、最も認定可能性が高いのが14級9号です。
後遺障害14級の主な認定基準は以下の9つですが、このうち「神経症状」である9号に該当する可能性があります。
- 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
- 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
- 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
- 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
- 一手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
- 一手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
- 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
- 局部に神経症状を残すもの
14級9号が認定されるためには、神経症状の残存が医学的に説明ができる、つまり医師による神経学的所見と、被害者の自覚症状が一致してることが必要となります。
(2)12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」
外傷性頚部症候群による後遺障害で、14級と並んで認定可能性があるのが12級です。
後遺障害12級には以下のように14の認定基準がありますが、13号の「頑固な神経症状」に該当する可能性があります。
- 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
- 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
- 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
- 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
- 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
- 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
- 長管骨に変形を残すもの
- 一手のこ指を失つたもの
- 一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
- 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
- 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
- 局部に頑固な神経症状を残すもの
- 外貌に醜状を残すもの
12級13号が認定されるためには、神経症状の残存が医学的に証明できる必要があります。
そのためには、自覚症状と神経学的所見に加え、レントゲンやMRI等の画像所見が整合する必要があります。
3.後遺障害等級認定の流れ
後遺障害等級認定の流れについてご紹介します。
まずは、担当医師から症状固定の診断を受けて、後遺障害診断書を作成してもらいましょう。
後遺障害等級を認定するのは自賠責保険になるため、資料一式を自賠責保険会社に送る形となります。
以下のような書類を揃えなければなりません。
- 支払請求書兼支払指図書
- 請求者本人の印鑑証明書(被害者が未成年で親権者が請求する場合は、当該未成年者の住民票または戸籍抄本が必要)
- 診断書
- 診療報酬明細書
- 通院交通費明細書
- 調剤報酬明細書
- 交通事故証明書
- 事故発生状況報告書
- 加害車両の自動車検査証、または標識交付証明書、届出済証の写し
後遺障害申請に必要な書類を確認して、漏れがないように揃えましょう。
書類提出後は、自賠責調査事務所の審査結果を待ちます。
審査結果で後遺障害等級が認定されている場合は、追加で損害賠償金を請求しましょう。
書類の準備は負担が大きいため、サポートを受けたい場合は弁護士に相談することをおすすめします。
4.後遺障害等級が認定されることで請求できる賠償金
後遺障害等級が認定されることで、加害者側に追加で損害賠償請求ができるようになります。
主に請求できる賠償金は以下の2つです。
- 後遺障害慰謝料
- 逸失利益
認定される等級によって請求できる金額が変わることを押さえた上で、請求手続に移りましょう。
(1)後遺障害慰謝料
後遺障害等級が認定されることで、追加で後遺障害慰謝料を請求することが可能です。
請求できる慰謝料は等級に応じて変動し、14級よりも12級の方が高くなります。
後遺障害慰謝料は、弁護士に示談交渉を依頼することで、請求できる金額を高めることができる点が特徴です。
後遺障害等級の認定を受けたら、弁護士に相談して、後遺障害慰謝料を請求する準備を進めましょう。
(2)逸失利益
逸失利益とは、後遺障害によって減収した金額のことで、後遺障害等級に認定されることで、加害者側に慰謝料に加えて逸失利益を請求できます。
請求できる金額は、弁護士基準の場合、以下の計算式で算出されます。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
労働能力喪失率は、各等級ごとに数値が定められており、12級の場合は14%、14級の場合は5%が適用されるケースが多いです。
ライプニッツ係数は、逸失利益を算出するための指数で、国土交通省がライプニッツ係数表を公表しているため、該当する数値を事前に確認しましょう。
まとめ
外傷性症候群によって後遺症が残ってしまうことがあります。
医師から症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級認定の申請を行い、後遺障害等級の認定を受けましょう。
後遺障害等級が認定されたら、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することができます。
弁護士に相談することで弁護士基準での損害賠償請求ができ、請求金額を増額できる可能性があるため、弁護士に交渉を依頼するのがおすすめです。
弁護士法人みずきでは、交通事故に関する相談を無料で受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。
交通事故でこんなお悩みはありませんか?
交通事故に遭ってしまったけど、
保険会社・相手方とどんな風に対応
すればいいのかわからない・・・
後遺症があるためきちんと賠償を
受けたいけど、後遺障害認定申請や
示談交渉などさっぱりわからない・・・
- ✓ 事故発生直後からのご相談・ご依頼に対応しています。どの段階の方でも安心してご相談いただけます。
- ✓ 治療中のアドバイスから後遺障害認定申請、その後の示談交渉や訴訟対応までサポートいたします。
関連記事