交通事故で家族を亡くしたらどうすればいい?死亡事故の被害者家族ができることとは
「家族を交通事故で亡くしてしまい、どのような法的対応をすればよいのか分からない」
「弁護士に相談するメリットは?」
交通死亡事故によって家族を亡くし、大きな不安を抱えていらっしゃいませんか?
死亡事故は通常の交通事故の対応と異なる点もいくつかあります。
この記事では、交通死亡事故で被害者家族ができることや、死亡事故において注意するべきポイントについてご説明します。
1.損害賠償請求できる者の範囲と主な損害項目
死亡事故の場合、四十九日の法要が過ぎる頃に、加害者側の任意保険会社から示談について連絡が入ることが一般的です。
基本的に、示談交渉の流れは通常の交通事故と同様ですが、被害者が亡くなっているため、被害者の相続人が交渉を行う点に違いがあります。
以下では、損害賠償を請求できる遺族の範囲や損害項目についてご説明します。
(1)損害賠償請求できる家族の範囲
交通事故の被害者には、加害者に対して損害賠償を請求する権利があります。
ただ、被害者が亡くなっている場合、被害者自身が請求することはできないので、その権利の相続人が損害賠償の請求を行うことになります。
相続人の範囲は以下のとおりです。
常に相続人になる者 | 配偶者 |
第1順位 | 被害者の子供 |
第2順位 | 直系尊属(被害者の父母) |
第3順位 | 兄弟姉妹 |
配偶者は常に相続人になりますが、それ以外の家族については順位が設けられており、相続人の範囲に含まれているからといって必ず相続できるわけではありません。
例えば被害者の家族構成が配偶者、子ども、両親であった場合、配偶者と子どものみが相続人となります。
また、加害者に対して相続人が損害賠償請求する際、誰が相続人となるか確定しなければならず、確定後は、相続人の代表者が示談交渉をすることになります。
(2)死亡事故特有の損害項目
死亡事故の場合でも、被害者が亡くなるまでの間に医療機関で入院や通院による治療を受けていた場合には、傷害(入通院)慰謝料や治療費、休業損害などを請求し、受け取ることができます。
また、死亡事故特有の損害項目として、以下のものが挙げられます。
- 死亡慰謝料
- 死亡逸失利益
- 葬儀関係費用
それぞれについてご説明します。
#1:死亡慰謝料
死亡慰謝料には被害者本人の慰謝料と近親者固有の慰謝料の2種類があります。
被害者本人の慰謝料とは、被害者がお亡くなりになったことにより被った精神的苦痛に対する慰謝料です。
死亡事故の場合、発生した慰謝料請求権は被害者が亡くなるのと同時に相続人に相続されるので、その相続人が請求を行うことになります。
死亡慰謝料の相場は、自賠責基準と裁判所(弁護士)基準の2つがあり、自賠責基準では被害者本人の死亡慰謝料は400万円です。
また、近親者固有の慰謝料は以下のように定められています。
慰謝料請求権者が1人の場合 | 550万円 |
慰謝料請求権者が2人の場合 | 650万円 |
慰謝料請求権者が3人以上の場合 | 750万円 |
被害者に被扶養者がいた場合 | 上記に200万円を加算 |
裁判所(弁護士)基準では、被害者本人の慰謝料と近親者固有の慰謝料を合算した相場が定められており、以下のとおりです。
一家の支柱である場合 | 2800万円 |
母親、配偶者の場合 | 2500万円 |
その他 | 2000万円~2500万円 |
なお、「その他」には独身の男女や子供、高齢者などである場合が含まれます。
#2:死亡逸失利益
死亡逸失利益は、交通事故がなければ被害者が得られたはずであろう経済的利益のことです。
「基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数」という式を用いて計算します。
基礎収入額は、給与所得者の場合は事故前の収入を基礎とし、事業所得者は申告所得をもとに算出します。
無職者(学生や高齢者など)の場合は賃金センサスの全労働者の全年齢平均の賃金額を基礎とし、家事従事者の場合は賃金センサスの女性学歴計全年齢平均の賃金額を基礎とします。
もっとも、逸失利益の計算は複雑な考慮要素を含むため、弁護士に相談の上で算定し、請求することがおすすめです。
逸失利益については以下の記事でも解説していますので、合わせてご参照ください。
#3:葬儀関係費用
被害者の葬儀を行う際に必要な費用についても補償を受けることが可能です。
具体的には、通夜や葬儀、火葬、墓石などにかかる費用がこれに含まれます。
自賠責基準では、100万円が上限として支払われますが、裁判所(弁護士)基準では150万円までが実費として補償されます。
ただし、150万円を下回る場合には、実際に支出した額が損害となるので、支払った金額が分かるように領収書などを手元に残しておくことが必要です。
2.死亡事故特有の注意点
被害者が死亡していることにより、示談交渉において通常の事故と異なる点が多数あります。
死亡事故特有の注意点を大きく2つご説明します。
- 過失割合について被害者自身の言い分を反映できない
- 賠償金額の高額化により示談交渉が難航する
(1)過失割合について被害者自身の言い分を反映できない
過失割合は、交通事故の当事者双方にどれくらい責任があるのかを数値で表したものです。
通常は、基本的な過失割合を基に加害者と被害者が話し合いを行うことで具体的な過失割合を決定します。
しかし、被害者が亡くなっている場合には被害者自身の言い分を反映することができず、かつ、事故を直接体験していない相続人が交渉しなければならないため、加害者の主張が一方的に通らないよう注意しなければなりません。
加害者の主張が一方的に通らないようにするためには、ドライブレコーダー映像などの客観的な証拠をもとに交渉を進める必要があります。
(2)賠償金額の高額化により示談交渉が難航する
死亡事故で請求し、受け取ることができる死亡慰謝料や死亡逸失利益については、高額化する傾向にあります。
事故態様や被害者の収入・家族関係などによっては、示談金額が1億円を超えるケースも見られるため、示談交渉が難航し長期化しやすいことがあります。
死亡事故では、被害者本人がすでに亡くなっているため、誰が示談交渉の当事者となるのか、どのような損害項目を請求できるのかをめぐってさまざまな対応が必要となります。
そのため、なるべく早期に弁護士に相談し、必要なアドバイスやサポートを受けながら手続を進めていくことが重要です。
3.死亡事故による示談交渉は弁護士に相談を
弁護士に相談することで、事故状況や被害者家族の生活状況を踏まえ、解決に向けたアドバイスやサポートを受けることができます。
主なメリットは、以下のとおりです。
- 慰謝料の増額が期待できる
- 相手方との交渉を一任できる
- 適切な過失割合を主張・立証できる
他にもさまざまなメリットがありますので、お悩みの方は一人で抱え込まずに相談してみましょう。
(1)慰謝料の増額が期待できる
弁護士に示談交渉を依頼することで、受け取れる賠償金の増額が期待できます。
慰謝料の金額を算出する際に用いる基準には、自賠責基準、任意保険基準、裁判所(弁護士)基準の3種類があります。
最低限度の補償を目的としている自賠責基準や、それと同程度の補償である任意保険基準を用いて計算した場合、受け取ることができる慰謝料は低額な傾向にあります。
一方、裁判所(弁護士)基準は過去の判例をもとに定められた基準で、3つの中で最も高額となります。
ただし、弁護士が介入しなければ、裁判所(弁護士)基準を用いて算出した金額での示談はできませんので、慰謝料について不安がある方はまずは弁護士に相談してみましょう。
(2)相手方との交渉を一任できる
弁護士に相談・依頼することで、加害者側の保険会社との示談交渉やその他手続きの一切を任せることができます。
交通事故問題では、加害者側の任意保険会社と交渉が必要な場面が多数あります。
煩雑な手続きや専門用語を用いた示談交渉など、被害者家族にとって、その負担はかなり大きいものです。
しかし、交通事故問題に精通している弁護士に依頼することで、対応を一任できるので、そのような被害者の精神的負担は大幅に軽減されます。
また、弁護士は豊富な実務経験をもとに示談交渉を進めるため、スムーズに交渉が進行することも大きなメリットと言えるでしょう。
(3)適切な過失割合を主張・立証できる
過失割合は、慰謝料の金額を左右する重要な要素です。
死亡事故は慰謝料も高額であることから、過失割合によっては数百万円ほど慰謝料の額が異なり、大きな影響を与えることになります。
被害者がお亡くなりになっている場合は、本人が過失割合について主張することができないため、証拠をもとに相手方と交渉しなければなりません。
適切な過失割合を主張・立証するためには、それを裏付ける証拠を集めたり事故状況を調査したりする必要があります。
時には刑事記録を取得する必要もあり、さまざまな手続を経て収集した証拠をもとに、相手方と交渉を重ねて過失割合を確定します。
立証するまでの準備や相手方との交渉は専門知識が必要なうえ、慎重に進める必要がありますので、弁護士へ依頼することがおすすめです。
まとめ
本記事では、交通事故によって被害者が亡くなってしまった場合にその家族が請求することができる賠償項目や死亡事故特有の注意点などについて解説しました。
死亡事故では相続や葬儀など、さまざまな手続や対応が必要となるため、示談交渉を進めることに困難が伴う場合が多いです。
そのため、死亡事故の法的対応についてお悩みの方は、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士法人みずきには、交通事故問題に精通している弁護士が多数在籍しています。
死亡事故の法的対応について疑問や不安に思うことがあれば、当事務所にご相談ください。
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