交通事故で通院期間90日の場合の慰謝料の相場は?示談金が決まる3つの基準

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
私は、そんな法律の世界と皆さんを、柔和に橋渡ししたいと思っています。問題解決の第一歩は、相談から始まります。
皆様が勇気を振り絞ってご相談をしていただければ、後は私どもが皆様の緊張や不安を解消できるよう対応し、法的側面からのサポートができればと思います。敷居はバリアフリーです。あなたの不安を解消するために全力でサポート致します。

「交通事故に遭って通院期間が90日になったときの慰謝料はどのくらいもらえるのか?」
「交通事故の慰謝料ってどんな基準で決まるのか知りたい」

交通事故の被害に遭うとさまざまなお怪我を負う可能性があります。

中でも代表的な「むちうち」や「骨折」は、3か月(90日)程度の治療が必要となることが多くあります。

3か月間(90日間)頑張って治療を続けてきた被害者の方からすると、この怪我に対する慰謝料がどのくらいになるのか気になる方もいるのではないでしょうか。

本記事では、通院期間90日の場合の交通事故の慰謝料の相場や慰謝料が決まる基準についてご説明します。

1.通院期間90日の交通事故の慰謝料の相場

通院期間90日の交通事故の慰謝料の相場

まず、通院期間90日と通院日数90日の違いについてお話します。

そもそも「どれくらい通院したか」という問いに対して、答え方は二通りあります。

ひとつは「通院開始から治癒までの期間」です。

これを一般に「通院期間(治療期間)」といいます。

もうひとつは「通院開始から治癒までの回数」です。

これを一般に「通院日数」「実治療日数」などといいます。

通院期間90日といった場合、その間にどのくらいの回数通院したかは分かりません。

2日に1回のペースで計45回という場合もあれば、1か月(30日)に1回のペースで計3回という場合もあり得ます。

他方で、通院日数90日といった場合、どのくらいの期間でその回数を通院したかが分かりません。

2日に1回のペースで半年間(180日)という場合もあれば、5日に1回のペースで1年2か月間(450日)という場合もあり得ます。

慰謝料の算定に当たっては、上記の期間と日数の両方を考えていく必要があります。

また、通院頻度については以下の記事も合わせてご確認ください。

交通事故による怪我の治療に適切な通院頻度と慰謝料への影響について

2.交通事故による示談金の3つの基準

交通事故による示談金の3つの基準

交通事故の慰謝料の算定方法は、3つの基準があります。

  • 弁護士基準
  • 自賠責保険基準
  • 任意保険基準

最も高額とされる弁護士基準(裁判所基準)は、原則として怪我の内容と通院治療の期間によって慰謝料額を算出します。

他方で、最低限度の保障とされる自賠責基準は、通院の日数と通院の期間を比較して慰謝料額を算出します。

これら3つの算定基準について順にご説明します。

(1)弁護士基準

弁護士基準は裁判所基準ともいわれており、過去の裁判例をもとに算出された基準のことです。

交通事故の示談金で一番高い金額となるケースが多いため、一般には最も多く慰謝料を請求することができます。

例えば、骨折等の重傷の場合には90日の通院期間で73万円、むちうち等の軽症の場合には、90日の通院期間で53万円となります。

ただし、医師の指示を守らないなど通院日数があまりにも少ない場合には、上記の金額から減額される可能性があります。

そのため、通院が必要なのであれば、医師の指示に従いながらしっかりと通院をする必要があります。

この弁護士基準は、その名の通り、弁護士が裁判を前提として請求する際に用いられることとなります。

そのため、弁護士以外の被害者が相手方保険会社にこの基準で請求をしたとしても、受け入れられるものではありません。

弁護士基準での示談をするためには、弁護士へのご依頼をいただくのがおすすめです。

(2)自賠責保険基準

自賠責保険基準とは、強制加入保険である自賠責保険から支給される慰謝料額の計算方法で、法律によって定められているものです。

被害者救済のための制度で、加害者の資力によらずに最低限度の賠償を受けられるようになっています。

自賠責保険基準では、1日あたりの通院慰謝料として4,300円が基準額となっています(令和2年3月31日までに発生した事故は4,200円/日)。

しかし、自賠責保険は、この日額に対して乗じる日数を以下のように定めています。

4,300円×通院期間 or 4,300円×通院日数×2

通院期間と、通院日数の2倍のうち、短い方で算出されます。

つまり、90日間の通院期間だったとすると、仮にその間の通院日数が40日だった場合には、4,300円×40日×2=34万4,000円という計算になります。

また、自賠責保険は治療費等の全ての費用を含めて120万円が上限となっています。

そのため、通院すればするほど慰謝料がもらえるというわけではないことに注意が必要です。

(3)任意保険基準

任意保険基準は、加害者が加入している任意保険会社が保険金額を最初に提示する際に用いる基準のことです。

一般的に、弁護士基準より低く自賠責保険基準より高い金額が提示される傾向があります。

任意保険基準は各保険会社で基準が異なり、具体的な基準が公表されていないため、残念ながらどのくらいの示談金を提示してくるかは明確に分かりません。

一般には30万円から40万円の間が提示される傾向にあります。

まとめ

本記事では、交通事故に遭って90日(3か月間)の通院治療が必要だった場合の慰謝料の目安をみてきました。

実際には、治療の内容や通院頻度はさまざまですし、過失割合が絡んでくる場合はさらに複雑な計算が必要となる場合があります。

ですので、慰謝料の金額に疑問があれば、一度弁護士にご相談いただくのがよろしいでしょう。

弁護士においてあなたのお怪我に対する適正な慰謝料を算定いたしますので、「軽症だったからこのくらいなのかな」と示談してしまう前にぜひ一度ご相談ください。

交通事故でこんなお悩みはありませんか?

交通事故に遭ってしまったけど、
保険会社・相手方とどんな風に対応
すればいいのかわからない・・・

後遺症があるためきちんと賠償を
受けたいけど、後遺障害認定申請や
示談交渉などさっぱりわからない・・・

  • ✓ 事故発生直後からのご相談・ご依頼に対応しています。どの段階の方でも安心してご相談いただけます。
  • ✓ 治療中のアドバイスから後遺障害認定申請、その後の示談交渉や訴訟対応までサポートいたします。

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
私は、そんな法律の世界と皆さんを、柔和に橋渡ししたいと思っています。問題解決の第一歩は、相談から始まります。
皆様が勇気を振り絞ってご相談をしていただければ、後は私どもが皆様の緊張や不安を解消できるよう対応し、法的側面からのサポートができればと思います。敷居はバリアフリーです。あなたの不安を解消するために全力でサポート致します。