交通事故に遭い怪我をしたときの診療科や治療費について解説!
「交通事故で怪我をしたらまず何をしたらよいの?」
「交通事故の怪我の治療費は全額加害者に請求できるの?」
交通事故の被害に遭い怪我を負ってしまった場合、何をすればよいのか、治療費を負担する必要があるのか不安になる方も多いのではないでしょうか。
交通事故の被害に遭い怪我を負った場合、まずはすぐに病院へ行くことが大切です。怪我の治療費は加害者側に請求できます。
この記事では、交通事故で怪我を負った際にとるべき行動や、怪我の治療において加害者に請求できる費用などについてご説明します。
1.交通事故で多い怪我と怪我に応じた診療科
交通事故で怪我をした場合、事故直後に必ず病院に行くことが大切です。
なぜなら、事故直後に通院しなければ、怪我と事故との因果関係を疑われ、適切な賠償金を受け取れない可能性があるからです。
遅くても事故発生から2~3日以内には通院しましょう。
事故発生時や発生直後は事故のショックで興奮状態になっており、痛みを感じにくいことも多いです。
軽傷の怪我や自覚症状がない場合でも、あとから痛みが強くなったり重い症状が出たりする場合もあるので、怪我の程度に関わらず受診してください。
ここからは、交通事故で多い怪我の種類、通院先についてご説明します。
(1)交通事故で多い怪我の種類
交通事故の被害に遭った場合に、どういう怪我を負うことが多いのかを以下の通りまとめました。
- 頚椎捻挫・外傷性頚部症候群(むちうち)
- 捻挫
- 打撲
- 骨折
- 肉離れ
- 歯の損傷や欠損
交通事故で最も多い怪我は、むちうちとされています。
むちうちは身体の痛みのみならず、頭痛、めまい、倦怠感などといった症状が引き起こされるケースもあります。
そのため、十分日常生活へ支障を及ぼす怪我です。
(2)交通事故で怪我をした際の通院先
交通事故で怪我をしたら、病院の何科へ行けばよいのか戸惑うことがあるでしょう。
救急搬送された場合は症状に応じて適切な診療科を勧められますが、救急搬送されなかった場合はまず整形外科を受診することになるでしょう。
そのうえで、整形外科で治療が困難な症状があれば、他の通院先を紹介してもらえます。
整形外科を含め、怪我の種類や症状別に通院することになるであろう診療科は以下を参考にしてください。
怪我の種類・症状 | 診療科 |
むちうち・打撲・骨折 | 整形外科 |
頭部外傷・意識障害・頭痛 | 脳神経外科 |
歯の損傷・欠損 | 歯科 |
視力低下 | 眼科 |
聴力低下 | 耳鼻咽喉科 |
また、病院だけでなく整骨院や接骨院でも、交通事故の怪我に対するさまざまな施術を受けられます。
たとえば痛みや不快感が慢性化した場合、病院では湿布等の薬剤を処方して経過観察となることがあります。
一方、整骨院では柔道整復術というマッサージなどを受けられるので、慢性化した症状が緩和される可能性があるのです。
ただし、整骨院では医療行為を行っていないので、交通事故で怪我をしたらまず整形外科などの病院を受診してください。
なお、医師の許可がないまま整骨院へ行くと、整骨院でかかった費用が加害者側に請求できない場合もあります。
必ず担当医の許可を得て、加害者側の保険会社に連絡をするなど、適切な対応をしたうえで整骨院に通いましょう。
2.加害者側に請求できる損害項目と利用できる各種保険
交通事故の怪我で治療を受けるとなったら、治療費に対する不安を感じるでしょう。
治療期間が長引いたり、入院となったりすれば高額な治療費がかかる可能性があります。
しかし、交通事故の被害に遭い怪我を負った場合の治療費は、加害者側に請求できるものですのでご安心ください。
ここからは、治療費を含めて加害者側に請求できるものや、治療費を支払う際に利用できる保険制度についてご紹介します。
(1)加害者側に請求できる損害賠償金の内訳
交通事故の被害者は加害者側に損害賠償を請求できます。請求できる損害賠償の項目は大きく分けて以下の三つがあります。
- 積極損害:交通事故による被害のために被害者が実際に支出したもの
- 消極損害:交通事故による被害のために本来得られたはずが得られなくなった利益
- 慰謝料:経済的な損害とは別に精神的苦痛を受けたことについての損害
怪我の治療費は「積極損害」に該当し、診断書等の作成費用も含めて実際に必要であった治療費は全額が賠償の対象になります。
ほかに、治療に関わるものとしては、通院のための交通費、入院時に必要となった雑費なども積極損害として賠償請求ができます。
加害者側に請求できる損害賠償金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
(2)被害者が治療費を支払う際に利用できる保険制度
交通事故の怪我の治療費は、加害者側の任意保険会社が病院とやり取りをし、支払いをすることになります。
そのため、多くの場合は被害者が治療費を負担しなくて済むでしょう。
しかし、加害者が任意保険に加入していなかったり、事故の報告が遅れたりした場合は、被害者が治療費を立て替える必要が出てきます。
交通事故の被害にあった場合、以下のような保険制度が利用できますので、治療費を立て替える際には利用を検討するとよいでしょう。
保険制度 | 詳細 |
健康保険 | 交通事故以外の病気や怪我で通院するときと同様、健康保険を使うことができる |
人身傷害補償保険 | 自身が人身傷害補償保険に加入している場合、一旦その保険から治療費等が支払われる |
自賠責保険 | 被害者が当面の費用をまかなうお金が早く受け取れる「仮渡金制度」が利用できる |
労災保険 | 業務中または通勤途中に交通事故に遭った場合、請求することができる |
交通事故の怪我の治療でも、健康保険の利用は可能です。
しかし、業務中や通勤中に発生した事故の場合、健康保険は利用できず、労災保険を利用することになります。
また、保険診療外の治療を受けた場合にも、健康保険は使用できないので注意しましょう。
なお、これらの保険制度のほか、同じ月にかかった医療費の一部負担金額が一定金額を超えた場合、高額療養費の申請をすれば払い戻しを受けることができます。
入院などで治療費が高額になることが明らかな場合は、限度額適用認定証を入手しておけば窓口での支払額が自己負担限度額までに抑えられます。
このように、被害者が治療費を立て替える場合でも、さまざまな制度により負担を軽減することができます。
被害者による治療費の立て替えについての詳細は、以下の記事をご覧ください。
3.交通事故の怪我が後遺症として残った際の対処法
事故で負った怪我が原因で後遺症が残った際は、後遺症による損害についても賠償請求ができることを覚えておきましょう。
後遺症になったかどうかの判断は、症状固定時の症状を基準に行われます。
「症状固定」とはそれ以上治療を続けても症状に大幅な改善が見込めず、回復や悪化のない安定的な状態のことです。
その判断は医師によってされ、症状固定と診断された時に、残っている症状は後遺症として扱われます。
怪我が後遺症となった場合はその後遺症が自賠責に定める後遺障害に該当するかどうかを判断する手続を行い、後遺障害等級の認定を受けることで、後遺症そのものによる損害についての賠償請求ができるのです。
手続の具体的な内容としては、医師に「後遺障害診断書」を書いてもらい、自身で自賠責保険会社へ書類を提出するか(「被害者請求」といいます。)、加害者側の任意保険会社に診断書を提出して手続を任せるか(「事前認定」といいます。)のいずれかの方法により、後遺障害等級認定を申請する、ということになります。
後遺障害等級認定を申請し、認定されれば後遺症による逸失利益と慰謝料の賠償請求ができます。
交通事故の怪我が後遺症になった場合の詳細は、以下の記事をご覧ください。
まとめ
交通事故の被害に遭い、怪我をしたらすぐに病院へ行くことが大切です。怪我の治療費はもちろん、通院費、休業損害、慰謝料なども加害者側に請求できます。
もし怪我が後遺症となった場合には、後遺障害等級認定を申請し、認定されれば後遺症による逸失利益や慰謝料を請求することができます。
交通事故にあってしまい、怪我の治療による不安がある場合には、弁護士に相談するのもおすすめです。
相談することにより、どのように行動すればよいかアドバイスを受けることができますし、弁護士に依頼すれば、加害者側とのやり取りや後遺障害の等級認定申請について任せることもでき、手続の負担からも解放されるでしょう。
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