もらい事故の示談の流れとは?示談の注意点と弁護士に依頼するメリット

執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 埼玉弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。

「もらい事故に遭ったらどんな流れで示談をすればいいのか」
「もらい事故の示談で気をつけることはあるのか」

もらい事故に遭った方の中には、示談の流れ等について詳しく調べている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、もらい事故の示談の流れや注意点等についてご紹介します。

1.もらい事故の示談の流れ

もらい事故とは、被害者にまったく過失のない交通事故の俗称です。

具体例として以下のようなケースがあります。

もらい事故のケース

  • 被害者が赤信号で停車中に追突された
  • 加害者の自動車がセンターラインを越えてぶつかってきた

主な事故から示談までの流れは以下のとおりです。

もらい事故の対応の流れ

  1. 警察に通報する
  2. 近くの医療機関で検査を受ける
  3. 警察に人身事故の届出を行う
  4. 治療の終了後に示談交渉を始める

順にご紹介します。

(1)警察に通報する

もらい事故に限らず、交通事故に巻き込まれたら道路交通法上、警察への報告義務があるため、必ず通報しましょう。

警察に通報しなかった場合、警察への報告義務に反する他、事故が発生した事実を証明できずに適切な賠償を得られないリスクがあります。

怪我が重症の場合は、直ちに救急車を呼んで、治療を受けなければなりません。

軽傷の場合であっても、数日内には病院で治療を受けるようにしましょう。

警察の聴取にはしっかり応じ、事故状況や被害状況についてできるだけ詳しく説明することも大切です。

(2)近くの医療機関で検査を受ける

事故に巻き込まれたらすぐに近くの医療機関で診断を受けるようにしましょう。

目立った外傷や自覚症状がない場合でも、数日経過すると痛みや痺れ等が生じる可能性があります。

また、時間の経過によって何らかの症状が現れたとしても、事故から初診までの日数が空いているほど、事故との間の因果関係を証明することが困難になります。

事故との間の因果関係が証明できなければ、示談交渉で加害者側に賠償金を請求することは困難となりますので、必ず整形外科などで診断を受けておきましょう。

(3)警察に人身事故の届出を行う

もらい事故によって何らかの怪我を負った場合は、警察に人身事故の届出を行うことができます。

物件事故から人身事故へ切り替えをするためには、主治医に診断書を作成してもらい、これを警察に届け出る必要があります。

人身事故として処理されると、事故態様や事故状況に関する実況見分調書が作成されるため、過失の有無や割合で争いがある場合には、示談交渉の場で客観的な証拠として用いることが可能です。

もらい事故であっても過失の有無や割合について争いになる場合があるので、そのような場合に備えて人身事故の届出をしておきましょう。

なお、以下の記事で人身事故への切り替え方法について詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。

物損事故から人身事故へ切り替える方法は?切り替えないデメリットを解説

(4)治療の終了後に示談交渉を始める

治療が終了したら、相手保険会社に連絡をして示談交渉を行います。

示談交渉では、主に過失割合とそれに伴う賠償金の話し合いを行うのが一般的です。

事故の状況証拠を揃えた上で、示談交渉に臨みましょう。

2.もらい事故の示談の注意点

債務整理をする場合の携帯電話契約の注意点

もらい事故の示談を行うときの注意点がいくつかあります。

主な注意点は以下の4つです。

もらい事故の示談の注意点

  1. 被害者本人が交渉をする必要がある
  2. 損害賠償の相場を把握しておく
  3. 加害者側が被害者の過失を主張してくることがある
  4. 加害者が無保険だと賠償金を受け取れないことがある

順にご紹介します。

(1)被害者本人が交渉をする必要がある

被害者に過失が生じる場合、自身の加入している保険会社に交渉の代行を依頼することができます。

しかし、被害者に過失のない事故では、加入している保険会社は交渉を代行してくれません。

そのため、被害者本人が交渉をしなければならない点に注意しましょう。

また、加害者が任意保険に加入している場合は保険会社、未加入の場合は加害者本人が交渉相手となります。

保険会社は交渉に慣れており、被害者が知らないうちに自己に不利な内容で示談が進められる可能性があります。

また、加害者本人を相手にする場合も加害者が必ずしも交渉に応じるとは限らず、交渉が難航するケースが多いです。

そのため、被害者本人が交渉を行ったとしても、上手く進まないことも多いですから、弁護士に示談交渉を依頼することが何よりも大切となります。

(2)損害賠償の相場を把握しておく

損害賠償の相場を把握しておくことも大切です。

基本的に、示談交渉では加害者側の任意保険会社が示談金を提示してきます。

その金額が適切かどうか判断するためには、目安となる金額を事前に知っておかなければなりません。

示談金の算定基準は、自賠責基準、任意保険基準、裁判所(弁護士)基準の3つで、任意保険会社は任意保険基準で算定した示談金を提示してきます。

算定基準 内容
自賠責基準 自賠責保険から損害賠償を受ける場合に採用される基準
任意保険基準 自動車保険会社が独自に設けている損害賠償の基準で、自賠責基準と同等の水準とされる
裁判所(弁護士)基準 過去の裁判例などを踏まえて、適切な賠償の水準を検討して設けられた基準

加害者側の任意保険会社が用いる任意保険基準は非公開となっていますが、被害者の最低限の補償を行うことを目的とする自賠責基準と同程度の水準とされています。

そのため、任意保険会社の示談金の提示をそのまま受け入れてしまうと、適切な賠償を受けられない可能性があります。

任意保険会社から提示された金額が適切な相場であるかどうかの判断がつかない場合には、弁護士に確認することがおすすめです。

(3)加害者側が被害者の過失を主張してくることがある

もらい事故とは、被害者にまったく過失のない交通事故の俗称です。

被害者に過失がない場合、当然、加害者側が損害の全額を負担しなければなりません。

しかし、もらい事故であったとしても加害者側が被害者に過失があったと主張してくる場合もあります。

このような主張を退けるためには、ドライブレコーダー映像や警察作成の実況見分調書等で、自身に過失がないことを証明することが大切です。

(4)加害者が無保険だと賠償金を受け取れないことがある

加害者が任意保険に未加入の場合、加害者に対して損害賠償を求めることが困難なことが多いです。

自賠責保険への加入が義務付けられているため、任意保険に未加入でも相手が加入している自賠責保険に請求をすれば一定程度は自賠責保険から保険金は支払われます。

もっとも、自賠責保険は最低限の補償を行うことを目的としているため、裁判所基準で算定された損害額よりも低額な賠償金しか受け取れません。

その場合、不足分を加害者本人に請求することになりますが、加害者に十分な資力がない場合には不足分を受け取ることは困難です。

3.示談交渉を弁護士に依頼するメリット

示談交渉を弁護士に依頼するメリットはいくつかあります。

弁護士に依頼するメリットは、主に以下の2つです。

示談交渉を弁護士に依頼するメリット

  1. 賠償金の増加が期待できる
  2. 示談交渉を有利に進められる

順にご紹介します。

(1)賠償金の増加が期待できる

弁護士に示談交渉を依頼すると、裁判所(弁護士)基準で賠償金を交渉できるため、賠償金の増加が期待できます。

先ほど、賠償金の算定基準をご紹介しましたが、裁判所(弁護士)基準で算定した金額が最も高く、適切な基準です。

任意保険基準と裁判所(弁護士)基準では、大きな差が生ずることがあるので、賠償金の増額を狙いたい方は弁護士に相談するのがおすすめです。

(2)示談交渉を有利に進められる

弁護士は法的交渉のプロで、相手に対して効果的に主張・立証を展開できるため、示談交渉を有利に進められます。

特にもらい事故は被害者が無過失なので、被害者に過失がでる交通事故と比べると優位な立場です。

事故状況等の証拠を揃えた上で、過去の経験をもとに交渉を行うため、納得のいく決着に至りやすくなります。

交渉に自信のない方は、弁護士に交渉を依頼しましょう。

まとめ

もらい事故の場合、被害者に過失がないので、基本的には優位に示談交渉を進めることができます。

ただし、被害者本人が交渉に臨まなければならないことや、相手方の保険会社が被害者の過失を主張する等あれば、示談交渉が難航することも予想されます。

そのため、もらい事故の被害に遭った方は、弁護士に示談交渉を依頼するのがおすすめです。

弁護士に示談交渉を依頼すれば、交渉を有利に進められるだけでなく、賠償金の増加も期待できます。

弁護士法人みずきでは、交通事故に関する相談を無料で受け付けておりますので、もらい事故の被害に遭われた方はお気軽にご相談ください。

交通事故でこんなお悩みはありませんか?

交通事故に遭ってしまったけど、
保険会社・相手方とどんな風に対応
すればいいのかわからない・・・

後遺症があるためきちんと賠償を
受けたいけど、後遺障害認定申請や
示談交渉などさっぱりわからない・・・

  • ✓ 事故発生直後からのご相談・ご依頼に対応しています。どの段階の方でも安心してご相談いただけます。
  • ✓ 治療中のアドバイスから後遺障害認定申請、その後の示談交渉や訴訟対応までサポートいたします。

執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 埼玉弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。