軽微な事故に遭った際に、起こりうる問題点と対処法についてを解説
一口に自動車の衝突事故といっても、その程度には様々なものがあります。自動車が大破するような事故の場合は、自動車に乗っている人も大きな衝撃を受け、重い怪我や症状が生じることは容易に想像ができます。
しかし、衝突速度が低速な事故や、自動車の損傷が軽微な事故で、被害者の怪我も特に骨折等の外傷がないような頚椎捻挫などの場合は、相手方との間で、傷害の程度や具体的な賠償額について争いが生じることがたびたびあります。
今回は、比較的軽微な事故の場合に、生じうる問題や対応策について説明します。
1.事故が起きた場合に起こりうる問題点
事故の当事者間で、衝突した事実については争いがないものの、低速度での衝突や損傷が軽微な事故の場合、加害者側からは、乗っていた人が怪我をするような大きな衝撃は受けなかったのではないか、と単純に考えられてしまいがちです。
そのため、加害者の加入する任意保険会社も、治療費は払っても1、2週間分、長くても1か月です、と事故直後から早々に宣言してくる場合や、このような事故では怪我をすることはありえないので、治療費は払いません、と言い切ってくる極端な例もあります。
また、事故直後は治療費をきちんと払うと言っていても、1か月、2か月を過ぎたあたりで、もうそろそろ打ち切らせてもらうという連絡が来ることも珍しくありません。
しかし、被害者側からすれば、事故で怪我をしたことは間違いなく、また、怪我に伴って事故前にはなかった症状が出ているにもかかわらず、満足な治療を受けられない状況にさせられてしまう、というのでは、到底納得ができないでしょう。
2.軽微な事故では怪我はしないのか
そもそも加害者側が、事故が軽微であるから怪我はしない、と考えるのは、そのような事故の衝撃ならば、首に過伸展・過屈曲が生じないので、怪我が生じる原因がないという見解が存在するためです。
この見解は、外傷がない交通事故の怪我として代表的なむち打ち症の発生メカニズムに由来します。
むち打ち症は、その名のとおり、衝撃によって首が鞭のように前後に振られた際に、その可動限界を超えたことによって頚部の組織が損傷し、疼痛やしびれなどの症状が生じるものであるので、首の可動限界を超えるほどの衝撃が加わらなければ、組織は損傷しない、というものです。
しかし、たとえ首が可動限界を超えなくとも、追突等で不意に衝撃を受けた場合や、衝突時の姿勢次第では、衝撃そのものによって、被害者が決して軽微でない怪我をする可能性は十分にあると考えられます。
実際に、裁判実務においても、そのような認定がされた事案が存在します。
したがって、首の過伸展・過屈曲が生じるような衝撃の事故でなくとも、軽微とはいえない怪我が生じることはあり得るのであり、被害者としては、その点を丁寧に説明して、事故と怪我、及び治療との相当因果関係が認められるよう主張していくことになります。
3.相手方保険会社が治療費の支払いを拒否したときの対処法
加害者側の任意保険会社が、治療費の支払を拒否してきた場合、被害者側としては、まずは、怪我や症状の状況を伝えて、まだ治療が必要であることを説明します。
ただ、それだけで保険会社が納得して治療費の支払に応じてくれることはあまりないため、通院先の病院に、現在の症状の具体的内容や、予想される症状固定の時期などに関する意見書を作成してもらい、それを提出して交渉することも考えられます。
それでも加害者側の保険会社が治療費の支払を拒否する場合は、健康保険などを利用して被害者が自費で立て替えたうえで、治療終了後に自賠責保険に対して被害者請求をすべきこととなります。
自賠責保険は、比較的事故と傷害との相当因果関係を認めて、治療費や自賠責基準での慰謝料を認定して支払ってくれますので、必要最低限の補償を受けることができます。
そして、自賠責保険から無事に治療費等の支払を受けられた場合は、改めて、加害者側に裁判基準での慰謝料等の賠償を求めて示談交渉を進めていくことになりますが、この段階で、加害者側が被害者の主張を認めることはあまりないため、裁判も視野に入れることも考える必要が出てきます。
裁判になった場合は、当然、加害者側から、事故と怪我や治療との相当因果関係が争われることになりますが、被害者としては、2のような主張のほか、通院先の医師が治療の必要性・相当性を認めて治療を継続していたことなどを主張立証することになります。
治療の必要性・相当性の判断は、基本的に治療を継続的に行ってきた主治医が判断することであるため、過剰な治療でない限り、原則としては、医師が認めた治療期間については、相当因果関係が認められることが多いでしょう。
まとめ
たとえ軽微な事故であっても、怪我をすることは普通にあることです。
怪我や症状については、被害者にしか分からないことですので、加害者側にそれを否定されたとしても、簡単に諦めるべきではないと思います。
このようなことでお悩みの方は、まずはご相談ください。
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