交通事故の示談交渉とは?準備すべきことや弁護士へ依頼するメリットを解説
「交通事故の示談交渉は具体的にどのようなことをするの?」
「示談交渉をするにあたって注意すべきことや準備しておくと良いことは?」
交通事故に遭うと、加害者側の保険会社と示談交渉をする場面があり、段取りや注意点などが気になることかと思います。
交通事故における示談交渉は、受け取る慰謝料の金額などにも影響するため、慎重に進める必要があります。
本記事では、交通事故の示談交渉が果たす役割、示談開始前に準備しておくべきこと、示談交渉を弁護士に依頼することのメリットをご説明します。
1.交通事故における示談交渉
交通事故における示談交渉について、具体的な示談交渉の内容、示談交渉までの流れ、準備が必要な書類を事故の態様別にご紹介します。
(1)交通事故の示談交渉とは
交通事故の示談交渉とは、事故の被害者側と加害者側が裁判以外の場で損害賠償金額などに関する話し合いを行うことです。
示談交渉では、事故の当事者間の自己への責任の程度である過失割合などを決める場としても用いられます。
一度示談が成立すると、合意した内容を後から撤回することはほとんど不可能ですので、慎重に交渉を進めることが重要です。
示談交渉で話し合われる示談金には、多くの場合、治療関係費用、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料、逸失利益、休業損害、物損に対する補償などが含まれます。
また、交通事故における過失割合は示談金額を決定する上で重要な要素となりますので、交渉力が問われる場面でもあります。
また、交通事故の慰謝料を算出する基準には自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあります。
通常、金額が高い順に弁護士基準>任意保険基準>自賠責保険基準となるケースが多く、弁護士基準を適用して慰謝料を算定するためには弁護士に依頼する必要があります。
交通事故の示談交渉は、専門的な知識をもつ加害者側の保険会社と話し合いを行う場合がほとんどですので、一度弁護士に相談することをおすすめします。
(2)示談成立までの流れ
交通事故における示談交渉の流れを順にご説明します。
#1:事故発生・警察への届出
交通事故に遭った場合は、まずは落ち着いて警察へ届け出ましょう。
交通事故発生時、物件事故や人身事故にかかわらず警察へ報告する義務があります。
警察へ人身事故の届出をすると実況見分調書が作成され、その書類を損害賠償請求にあたって過失割合を判断する際の資料としても用いることができます。
仮に事故態様等に争点がある場合に、実況見分調書が作成されていないと、事故状況・被害状況が明確にならず、過失割合を定める交渉が長引く可能性があります。
交通事故発生時は、警察へ届出を行い、適切な処置をとりましょう。
#2:通院
交通事故に遭った場合は、痛みや外傷が少なくても必ず一度病院へ行くことをお勧めします。
交通事故でむちうちなどを負うと、事故直後にはほとんど何も感じなくても、数日経ってから痛みが生じるケースもあります。
通院までの期間が空きすぎると、事故との因果関係がないと判断され治療費の請求ができなくなる恐れもあります。
そのため、交通事故に遭った際は、必ず病院へ行き検査や診察を受けることが大切です。
#3:治療完了・症状固定
交通事故後に治療すべき傷害がある場合は、主治医と相談しながら適切な頻度で治療を続けましょう。
治療が完了して損害額が定まった場合は、その時点から示談交渉を開始することができます。
治療を一定期間続けたのちに治療の効果がそれ以上期待できない場合、医師から症状固定と診断されることがあります。
症状固定と診断された場合は、後遺障害等級認定の申請手続を行いましょう。
等級が認定されると、示談交渉時に加害者側に請求できる損害賠償金が増加します。
後遺障害等級認定の申請には、事前認定と被害者請求の2つの方法があります。
事前認定は、主に相手方の保険会社が申請書類を収集・提出する手続であるのに対し、被害者請求は、主に被害者が申請書類を収集・提出する手続です。
被害者がご自身に有利な申請書類を選別できることから、弊所では、被害者請求によることをお勧めしています。
#4:示談交渉開始
交通事故による怪我の治療が完了もしくは症状固定と診断された場合は、後遺障害等級認定の結果が出た後に、加害者側との示談交渉が開始されます。
示談交渉では、前述のような損害項目について被害者側と加害者側が話し合うことになります。
加害者側の保険会社から示談金の提示がある場合もありますが、加害者にとって有利な条件を提示してくることがほとんどですので、慎重に交渉を進めることが賢明です。
交通事故における示談交渉の知識や示談金の相場などを知らないと、金額が妥当なものかどうかを判断するのが難しい可能性があります。
そのため、示談交渉の専門的知識を持つ弁護士に一度相談することをおすすめします。
#5:示談成立
加害者側の保険会社との示談交渉が上手くいき、示談内容に合意することができれば示談が成立します。
示談が成立すると示談書を作成し、捺印・署名を行います。
一度示談書を取り交わすと原則示談内容を撤回することはできませんので、示談書の内容はしっかり確認するようにしましょう。
(3)交通事故の示談交渉に必要な書類
交通事故の示談交渉に必要な書類は、特に制限はありませんが、概ね、交通事故の態様によって異なります。
事故態様別の必要と思われる書類について、順にご説明します。
#1:人身事故
人身事故は人に傷害が生じた場合ですので、どのような怪我を負ったのかを証明しなければなりません。
そのため、示談交渉には、医師の診断書や領収書等の証拠となる資料が必要になります。
交通事故が原因で後遺症が残ったら、後遺障害等級認定で必要となる後遺障害診断書と認定結果を提出しましょう。
その他交通事故によって仕事を休まなければならない際は、勤め先から診断書の提出を求められることもあります。
このような場合に休業した分の損害賠償を請求するためには、保険会社から送られてくる休業損害証明書も作成し、提出します。
#2:物損事故
物損事故では、自動車の修理費用の請求書・見積書、修理時の代車費用の請求書、交通事故証明書などを提出する必要があります。
自動車の修理費用は通常、修理工場で当日から数日間で見積書を作成してもらえます。
交通事故証明書とは事故が起きたという事実を証明する書類で、事故発生日時、場所、当事者等の情報が記載されています。
警察に届出を行ったのちに申請することで、各都道府県の交通安全運転センターが発行してくれます。
交通事故に遭って当事者双方に怪我がない場合でも、必ず警察へ届け出ましょう。
#3:死亡事故
交通事故が死亡事故である場合は、死亡診断書、死体検案書、戸籍謄本、病院・葬儀関係費用の領収書などが必要となります。
加害者側の保険会社は、上述の書類や亡くなった方の収入証明書等を基に賠償金の計算を行います。
死亡診断書などは被害者の死亡が確認された病院に保管されていますので、問い合わせを行うと遺族のもとに送付されます。
交通事故で被害者が亡くなった場合は遺族の心身の負担も大きいことかと思います。
少しでも精神的負担を減らすためにも、専門家である弁護士に対応を任せることも一つの方法です。
2.示談交渉開始前に準備すべきこと
交通事故に遭い加害者側の保険会社と示談交渉が開始される前に、以下の3点の準備をしておくことをおすすめします。
- 自身の主張を裏付ける資料を集める
- 妥当な示談金額を算出する
- 示談交渉に関する注意点を知っておく
それぞれの内容を詳しくご説明します。
(1)自身の主張を裏付ける資料を集める
交通事故の示談交渉前は、自身の主張を裏付けるための資料をできる限り多く集めておくことが重要です。
例えば物損事故の場合、ドライブレコーダーの記録だけでは車にどれくらいの損傷が生じたのかを把握しきれないことがあります。
そのため、可能であれば、交通事故直後の自動車の破損状況を写真などで記録しておいたり、警察に届け出て調書を作成してもらったりしましょう。
また、人身事故では怪我の程度や後遺障害の症状を証明するため、主治医と相談の上必要な検査を受けることもおすすめします。
特に後遺障害等級認定では、それぞれの等級に応じた症状が実際にあるのかどうかを証明する材料としても検査結果が用いられます。
交通事故の対応に実績がある弁護士であれば、どのような事故態様の場合にどのような書類が必要で有利に働くかを判断することができます。
交通事故に遭った場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。
(2)妥当な示談金額を算出する
交通事故の示談交渉が開始される前に示談金額の相場を把握しておくことで、加害者側の保険会社から提示される示談金が妥当かどうかを判断することができます。
示談交渉では、加害者側が加入する保険会社から示談金を提示されるケースも多くあります。
交通事故における慰謝料を算出する基準は、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあり、相手方の保険会社は弁護士基準より低い任意保険基準での示談金額を提示するでしょう。
弁護士基準は、過去の裁判例をもとに計算した3つの基準の中で最も高額な基準で、妥当な金額と言えます。
また弁護士基準は、弁護士に依頼することで適用ができます。
交通事故の示談金に含まれる慰謝料の相場を知らないまま示談交渉を始めると、相手側の保険会社から提示された額が妥当であると思い込んで合意してしまうこともあります。
一度示談が成立してしまうと、後々その内容を撤回・修正することはほとんど不可能ですので、慎重に交渉を行う必要があります。
もしもご自身の事故状況・怪我の程度においてどのくらいの損害賠償を請求できるのかがご不明な場合は、専門家である弁護士にご相談ください。
(3)示談交渉に関する注意点を知っておく
交通事故の示談交渉においては、注意すべき点があります。
主に知っておくべきことについて、3点ご紹介します。
#1:示談成立後のやり直しは効かない
交通事故の示談交渉は、原則示談成立後のやり直しがききませんので、納得がいかない場合でも一度合意してしまうと後戻りができません。
示談内容が実際の損害額よりも極端に低い場合や被害者が悪意で騙されて示談を行った場合などは、成立した示談の効力を否定できるケースもありますが、極めてまれです。
加害者側の保険会社は交通事故の示談交渉に精通していますので、専門的な用語などを使って加害者にとって有利な条件を提示してくる可能性があります。
例えば交通事故による怪我の改善が見込めず、本来は症状固定をするべき場面で加害者側から治療完了の打診をされて途中で治療を中断してしまうケースがあります。
もしもその内容で示談が成立すると、のちに後遺症が判明しても本来受け取るはずの後遺障害慰謝料を請求することができません。
そのため、加害者側と示談交渉を行う場合は交通事故の法的な知識の他に医療的な知識も持つ弁護士に相談することをおすすめします。
#2:損害賠償請求権に時効がある
交通事故における損害賠償請求権には以下のような時効期間があることに注意しましょう。
事故態様 | 時効の起算点 | 時効 |
物損事故 | 事故の翌日 | 3年 |
後遺障害がない人身事故 | 事故の翌日 | 5年 |
後遺障害がある人身事故 | 症状固定時の翌日 | 5年 |
死亡事故 | 死亡時の翌日 | 5年 |
*以上は、2020年4月1日以降の交通事故の場合です。
*2020年3月31日以前の時効は、「損害と加害者を知った時点から3年」ですが、2020年4月1日時点で時効が完成していない場合は、上述の時効が適用されます。
上述の消滅時効期間が経過し、時効の援用をする旨の意思表示をされてしまうと、加害者に対して損害賠償を請求することができなくなってしまいますので注意が必要です。
#3:治療完了・症状固定を焦らない
交通事故が原因で怪我を負ってしまった場合は、焦らないで治療することが大切です。
交通事故の示談交渉は、一般に怪我の治療が終了した後又は、症状固定し、後遺障害等級認定を受けた後に開始されます。
治療完了・後遺障害等級認定の結果が出なければ最終的な損害額が確定しないため、焦って治療を途中で中断すると、もし中断しなければ受け取れたはずの賠償金額が減り示談金を減額されてしまう可能性があります。
そのため、事故による怪我の治療や症状固定のタイミングは焦らず、主治医や弁護士とよくご相談の上慎重に進めましょう。
3.交通事故の示談交渉を弁護士に相談するメリット3選
交通事故の示談交渉は、交通事故に関する法的な知識だけでなく交渉スキルや医学的知識が必要となる場面もあります。
事故後の対応に精通している弁護士に任せることで、以下のようなメリットがあります。
- 弁護士基準で慰謝料を算出できる
- 示談交渉がスムーズに進む
- 治療に集中できる
それぞれについて詳しくご説明します。
(1)弁護士基準で慰謝料を算出できる
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼すると、弁護士基準で慰謝料を算出・適用することができます。
交通事故における慰謝料の算出基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準方法があることを前述しました。
自賠責保険基準は、自動車運転者の加入が強制されている自賠責保険が用いるもので、3つの中では最も低い基準です。
任意保険基準は加害者側の保険会社が用いる基準で、加害者にとって有利となることが多い基準です。
弁護士基準は過去の裁判例などをもとに算出するもので、3つの中では最も高額となるケースが多い算定基準です。
事故対応を弁護士に依頼することで、3つの基準の中で最も高額となり得る弁護士基準を適用できるメリットがあります。
(2)示談交渉がスムーズに進む
弁護士に交通事故の示談を依頼すると、加害者側との示談交渉をスムーズに進めることができます。
相手側の保険会社は事故対応のプロですので、加害者にとって有利な示談金を提示し、交渉を進めます。
このような場合でも、弁護士であれば交渉の対応や、慰謝料増額も期待できるでしょう。
また、交通事故に遭った後は、怪我の治療の頻度、症状固定のタイミング、後遺障害等級認定など専門的な知識が必要となる場面も多いです。
医師は医学的な分野に長けていますが、交通事故における示談交渉で有利となる情報を持っていることは少ないです。
そのため、交通事故の損害賠償請求の専門家である弁護士に示談交渉や事故対応を任せることで、よりスムーズに交渉を進めることができるのです。
(3)治療に集中できる
交通事故後の示談交渉を弁護士に任せることで、事故による怪我の治療に集中できるメリットがあります。
交通事故により思わぬ怪我を突然負うと、怪我の治療の他に仕事や私生活のことで精神的な負担が大きくなります。
弁護士に依頼すると、必要書類の収集・作成、手続、加害者側の保険会社とのやりとりなどを任せることができますので、ご相談者様は治療に専念することができます。
交通事故で怪我を負ってしまった場合は被害者に負担がかかってしまいますので、弁護士に一度相談することをおすすめします。
まとめ
交通事故に遭うと、加害者側の保険会社と示談交渉をする必要があり、交渉は受け取る慰謝料の金額などにも直接影響するため、慎重に進めることが鍵となります。
示談交渉で必要となる知識やスキルを持つ弁護士に一任することで、被害者様の負担を少しでも減らせる可能性があります。
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