示談金の決め方や示談交渉の主な流れとは?交渉時の主な注意点を解説
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「示談金はどのように決められるのか」
「示談交渉ではどのようなことに注意すればよいのか」
交通事故の被害に遭われて示談しようとしている方の中には、示談金がどのように決められるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、示談金の決め方や示談交渉の流れ、交渉時の注意点についてご紹介します。
1.示談金とその基準
まず示談金の決め方と基準についてご紹介します。
示談金は、交通事故により被害者が受けた損害を金銭で賠償するものです。
そのため、示談金の中には様々な損害項目が含まれています。
示談金の金額は当事者間で話し合って決めます。
交通事故の示談金はある程度算定方法が決まっています。
特に、「慰謝料」に関しては基準がいくつかあり、どの基準を採用するかによって金額が変わることがポイントです。
(1)示談金の決め方
示談金の金額は当事者同士で話合いをして決めます。
まず、当事者のどちらか一方がもう一方に対して示談金の金額を提示します。
相手方に任意保険会社がついている場合は、その保険会社から被害者に対して書面で提示があるケースが多いでしょう。
次に、提示を受けた側は、その書面に記された算定方法や算定根拠を確認し、その示談案に合意するか、いくらなら合意できるかを回答します。
こうして互いに合意できるまで連絡をとり、最終的に示談金の金額は決まります。
なんだか難しそうだなと思ってしまうかもしれませんが、相手方保険会社が提示してきた書面を検算して示談の合意をしてしまうことはおすすめしません。
なぜかというと、相手方が提示する示談金の金額は、多くのケースで弁護士が間に入って交渉をすることで増額するためです。
弁護士が示談交渉をすると増額することには理由があります。
それは、弁護士が交渉力があるからというだけではなく、そもそも弁護士が用いている算定基準が任意保険会社とは異なるという点にあります。
詳細は以下にご説明します。
(2)示談金の算定基準
示談交渉の際に用いられる算定基準は3つあります。
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 裁判所(弁護士)基準
最低限の補償となるのが自賠責保険の基準、任意保険の基準は自賠責の保険とほぼ同額かそれより少し上乗せされているものです。
そして、弁護士が用いるのが裁判所基準です。
順にご紹介するので、算定基準の違いを把握しておきましょう。
#1:自賠責基準
自賠責基準は自賠責保険が定めている基準で、基本的にはこの基準で示談交渉を行います。
自賠責基準の特徴は、交通事故被害者に最低限の補償を提供することを目的とされている点です。
算定基準の中では最も低額に設定されているので、示談交渉をするときの目安として活用しましょう。
#2:任意保険基準
任意保険基準は、任意保険会社が独自に定めている保険金の基準で、非公開とされているケースが多いです。
そのため、任意保険基準でどのくらいの賠償金を請求できるのか、明確に把握することはできません。
ただし、自賠責基準の金額より下回ることは少なく、同程度か少し高めの金額であることが多いです。
加害者が任意保険に加入している場合は、その任意保険会社が設定している算定基準をもとに交渉することになります。
#3:裁判所(弁護士)基準
裁判所(弁護士)基準は、過去の裁判例をもとに算出された基準で、3つの算定基準の中で最も高額に設定されています。
被害者がもっとも有利な条件で賠償金を請求できるため、裁判所(弁護士)基準で交渉するのがおすすめです。
ただし、裁判所(弁護士)基準を採用するには、弁護士が被害者の代理で示談交渉することが求められます。
弁護士費用はかかるものの、慰謝料等から賄えば費用の手出しは必要ありません。
また、弁護士特約が付いている場合、費用負担はありません。
ですので、少しでも有利に示談交渉を進めたい方は弁護士に相談してみましょう。
2.示談金の内訳
示談金として請求できる費用はさまざまです。
主に示談金として交渉する費用を以下の表にまとめました。
どのような費用を請求できるのか一とおり目を通しておきましょう。
費用 | 内容 |
治療費等 | ・治療にかかる費用(治療関係費、入院雑費、交通費など)・領収書等によって証明できる分だけ請求できる |
慰謝料 | ・事故による怪我によって被った精神的苦痛に対する賠償
・病院に通院すれば発生する ・後遺障害等級が認定された場合は、後遺障害慰謝料も請求できる |
休業損害 | ・事故が原因で休業したときに生じる減収に対する賠償
・自営業者や専業主婦、場合によっては無職者でも請求できる |
逸失利益 | ・後遺障害によって将来減少してしまう収入に対する賠償
・後遺障害等級が認定された場合に請求できる |
その他 | ・付添看護費、葬祭関係費、裁判費用、修理費、器具購入費、住宅改造費など |
3.示談交渉の主な流れ
示談交渉の主な流れについてご紹介します。
基本的な流れは以下のとおりです。
- 治療をする
- 損害額を算定する
- 示談交渉を始める
- 示談成立後に示談書を取り交わす
治療から賠償金の請求までの一連の流れを把握しておきましょう。
(1)治療をする
示談交渉は損害金額が確定した後に行うものです。
治療が終わらなければ損害金額が確定しないため、まずは治療に専念しましょう。
事故による怪我は、程度によって数週間で終わる場合もあれば、半年以上かかる場合もあります。
むちうちなどの比較的症状が軽い場合には、相手方の保険会社が治療費の一括支払いの打ち切りなどを打診して示談交渉を始めようとする場合もあります。
しかし、治療の必要性について判断できるのは、保険会社ではなく、あくまで医師です。
医師が完治、もしくは症状固定(治療を継続しても改善が見込めない状態)と判断するまでは、必要な治療を受けるようにしましょう。
(2)損害額を算定する
治療費等は、領収書の額と差異がないか確認しましょう。
入通院慰謝料及び後遺障害慰謝料は、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻」という本に慰謝料額が記載されています。
この基準については検索すれば出てきます。
ですので、慰謝料額が正しいか確認しましょう。
休業損害は、1日分の所得×休業日数で算定されます。
専業主婦の場合は、基礎収入日額という女性の平均賃金×休業日数で算定されます。
ですので、休業損害額が正しいか確認しましょう。
逸失利益は、後遺障害等級によって金額が変わります。
そのため、認定された後遺障害の等級を確認して、算定してみましょう。
また、支払われる損害額は、過失割合によって大きく変わります。
そのため、正しい過失割合を割り出すことが重要です。
過失割合とは、交通事故の責任が加害者と被害者にどれだけあるかの割合を示すものです。
過失割合を算定するためには、事故状況を確認する必要があります。
事故状況は、ドライブレコーダーや現場の写真、物損資料等の客観的証拠で確認することが望ましいです。
示談をする場合、過失割合も示談交渉によって決まるため、不当な過失割合とならないように客観的証拠を揃えておきましょう。
これらの損害金を算定することは大変です。
また、正しく計算できているのか不安になるかと思います。
弁護士に依頼すれば、そのような不安はなくなり、正当な金額で交渉することができます。
(3)示談交渉を始める
治療が終わったら、加害者側と示談交渉を始めます。
最初に述べたように、まずは事故の状況証拠をもとに過失割合を決めて、採用する算定基準をもとに示談金の交渉をしましょう。
なお、加害者が任意保険に加入しているか否かで交渉の相手や進め方には違いが見られます。
加害者が任意保険に加入している場合には、示談交渉の相手は保険会社となります。
その場合は、保険会社が示談案として示談金の算定および提示をしてきます。
提示された示談金額で合意できるか検討します。
合意できた場合には、示談書を取り交わすことになります。
合意できなかった場合には、引き続き交渉することになります。
もっとも、相手保険会社は加害者が支払う賠償金を代わりに支払うことになります。
そのため、支払う金額を少なくするために、加害者に有利になるように交渉を進めてきます。
その結果、納得のいかない金額を提示される可能性があります。
加害者が任意保険に加入していない場合には、被害者が示談金額の算定・請求を行い、加害者本人を相手に示談交渉を進めていくことになります。
このような場合には、お互いに法的交渉に不慣れなことが予想され、示談交渉がなかなか進まない可能性も考えられます。
また、相手が示談交渉に応じてくれない可能性もあります。
弁護士であれば相手が保険会社でも加害者本人でも交渉が進みやすくなります。
そのため、示談交渉に際しては、加害者が任意保険に加入しているか否かによらず、弁護士に相談し、交渉を依頼することがおすすめです。
(4)示談成立後に示談書を取り交わす
示談が成立したら、示談書を取り交わします。
相手方に任意保険会社がついている場合は、その保険会社が示談書や免責証書を作成することが多いでしょう。
もし示談書を作らなければならない場合は、以下の点に留意して作成する必要があります。
まず、示談書には、事故の当事者情報、事故内容、示談内容、その他の条項が必要です。
事故の当事者情報は、当事者双方の氏名、住所、車両番号を記載します。
事故内容は、事故発生日時、事故発生場所、事故態様(追突、衝突など)を記載します。
これらはいずれも何の件で示談をしたのかを特定するために必要な情報です。
次に、示談内容として、示談金額、支払方法、支払期日を記載します。
最後に、その他の条項を必要に応じて加えます。
重要な条項として、違約条項、保留条項、清算条項があります。
その他には謝罪条項や履行確保条項等があります。
当事者間で取り決めた必要な条項を記載します。
4.示談交渉の主な注意点
示談交渉をする上で、注意しなければならない点がいくつかあります。
特に注意すべき点は以下の3つです。
- 完治または症状固定となってから始める
- 相手保険会社の意見を鵜呑みにしない
- 事故の状況証拠をもとに過失割合を交渉する
- 示談書に必要な条項を入れる
順にご紹介します。
(1)完治または症状固定となってから始める
示談交渉は、完治もしくは症状固定の診断を受けてから始めましょう。
一度示談が成立してしまうと、後から症状が悪化しても原則変更することはできません。
治療中に示談が成立してしまい、その後急変して状態が悪くなることも十分考えられるので、必ず治療が終わってから示談交渉を始めるのが鉄則です。
(2)相手保険会社の意見を鵜呑みにしない
相手保険会社の意見を鵜呑みにしないことも大切です。
先ほど述べたように、相手保険会社は加害者側の立場なので、基本的には被害者にとって不利な要求や条件の提示をしてきます。
示談交渉では、相手保険会社が過失割合や賠償金等の金額を提示してきますが、納得がいかないときはその場で応じないようにしましょう。
弁護士が交渉をすることで、過失割合を有利な割合にすることができるかもしれません。
また、任意保険基準よりも高額な裁判所基準で交渉することができるので、自分で交渉するよりも高額な金額での示談をすることができる可能性が高いです。
そのため、弁護士に相談することをおすすめします。
示談交渉が始まったら弁護士に代行を依頼してみましょう。
(3)事故の状況証拠をもとに過失割合を交渉する
示談交渉で過失割合を交渉する際は、事故の状況証拠をもとに行うことがポイントです。
相手保険会社は不適切な過失割合を提示してくる可能性が高いので、ドライブレコーダーなどの客観的な状況証拠で証明する必要があります。
適切な過失割合の判断も難しいので、この場合も弁護士に一度相談するのがおすすめです。
(4)示談書に必要な条項を入れる
示談書に入れておくべき条項として、違約条項、保留条項、清算条項があります。
違約条項とは、示談金が期限までに支払われなかった場合に違約金を支払うという内容の条項です。
当人同士で示談をする場合、相手が期限までに示談金を支払ってくれないことがあります。
違約条項を入れておくことで期限内に支払ってもらえる可能性が高くなります。
そのため、当人同士の示談では特に入れる必要があります。
保留条項とは、示談成立後に発生した損害について改めて請求することができるという内容の条項です。
示談成立後に症状が悪化し、後遺障害になることもあります。
そのような場合に示談が成立したから損害賠償してもらえないというのは被害者に酷です。
そのため、一定の損害については示談を保留する保留条項も入れておくべきでしょう。
清算条項とは、交通事故に関する紛争は終結したため、お互い示談成立後に請求することはないと確認する内容の条項です。
これがなければ、示談成立後も損害賠償額について争うことになりかねず、示談した意味がなくなってしまいます。
そのため、清算条項も入れておきましょう。
まとめ
示談金は、当事者同士の話合いで決まります。
先に過失割合を決めて、その後算定基準をもとに賠償金を決めるのが一般的です。
ただし、相手方保険会社は、加害者側の立場なので、被害者に不利な要求をしてくる可能性があります。
そのため、示談交渉で困ったらすぐに弁護士に相談するようにしましょう。
弁護士法人みずきでは、交通事故に関する相談を無料で受け付けておりますので、示談金や示談交渉の手続に関することでお困りの方はお気軽にご相談ください。
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