後遺障害認定される関節の可動域制限とは?関節の可動域測定の考え方
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「後遺障害等級が認定される関節の可動域はどのくらいなのか」
「後遺障害認定されるための可動域制限の測定はどうやってするのか」
交通事故の被害に遭った方の中には、事故以前よりも関節をうまく動かせなくなってしまい、後遺障害等級の認定申請を検討している方もいるのではないでしょうか。
後遺障害等級を申請するにあたって、関節の動く幅を計測する可動域測定という考え方があります。
本記事では、可動域の測定の考え方や後遺障害等級が認定される可動域の条件等についてご紹介します。
1.関節の可動域測定の考え方
まず、関節の可動域測定の考え方についてご紹介します。
関節の可動域には自動と他動の2パターンあり、自動とは自力で関節を動かしたときの可動域で、一方の他動は他者が関節を動かしたときの可動域のことです。
後遺障害等級の認定要件の一つである関節の可動域とは、原則として他動値が対象となります。
つまり、後遺障害等級認定を受ける際に、医師らによって関節の可動域測定がなされることになります。
もっとも、力づくで強引に動かしたとしても、それも適正な可動域を示しているとは言えないため、一般的には自動値+5~10度とされることがほとんどです。
2.後遺障害等級が認定されるための可動域制限の測定結果
後遺障害等級が認定されるための可動域制限についてご紹介します。
一般的に、後遺障害等級が認められる可動域制限は以下の3パターンです。
- 関節の「用を廃したもの」
- 関節の「著しい機能障害」
- 関節の「機能障害」
可動域制限を受けている方は、これらの要件に該当するかチェックしてみましょう。
(1)関節の「用を廃したもの」
関節の「用を廃したもの」とは、関節としての機能が全く働いていない状態です。
たとえば、関節を全く動かせない場合や関節の可動域が一般の10%以下の場合など、関節として役目を果たしていないと判断されたときに該当します。
また、人工関節を入れている部位で、健全な部位に比べて可動域が50%以下の場合も当てはまる可能性が高いです。
関節がほとんど動かない方は、「用を廃したもの」に該当している可能性が高いです。
(2)関節の「著しい機能障害」
関節の「著しい機能障害」は、「用を廃したもの」に比べて可動域は広いものの、障害部位が健全な部位に比べて可動域が50%以下に制限されている状態です。
また、人工関節を入れている場合も該当します。
たとえば、肩関節が人工関節で、腕が120度までしか上がらない場合は、「著しい機能障害」になります。
関節が動くものの多少の制限を受けている方は、健全な状態に比べて可動域が50%に到達するか測定してみましょう。
(3)関節の「機能障害」
関節の「機能障害」は、障害部位の可動域が健全な状態に比べて可動域が4分の3になっている状態です。
他2パターンに比べると症状は軽度ですが、後遺障害等級の認定を受けることができます。
測定者によっては無理やり関節を動かして、可動域が健全な状態の4分の3以上になると、後遺障害等級が認定されない場合がありますので、測定方法には気を付ける必要があります。
3.後遺障害等級の可動域制限の条件
後遺障害等級の可動域制限の具体的な条件についてご紹介します。
障害部位が上肢か下肢かで認定される等級が異なります。
弁護士基準の後遺障害慰謝料の目安についても表にまとめたので、参考にしてみてください。
(1)上肢に障害がある場合
上肢(指、手首、肘、肩など)に可動域制限がある場合の後遺障害等級は以下のとおりです。
後遺障害等級 | 障害内容 | 後遺障害慰謝料 (弁護士基準) |
1級4号 | 両上肢の「用を全廃したもの」 | 2800万円 |
5級6号 | 片上肢の「用を全廃したもの」 | 1400万円 |
6級6号 | 片上肢の3大関節中の2関節の「用を廃したもの」 | 1180万円 |
8級6号 | 片上肢の3大関節中の1関節の「用を廃したもの」 | 830万円 |
10級10号 | 片上肢の3大関節中の1関節に「著しい機能障害」 | 550万円 |
12級6号 | 片上肢の3大関節中の1関節に「機能障害」 | 290万円 |
指や肘、肩などに可動域制限がある方は、上記の表を参考に後遺障害等級に認定される可能性があるのかチェックしてみましょう。
(2)下肢に障害がある場合
次に、下肢(足首、膝、股関節など)に可動域制限がある場合の、障害内容ごとの後遺障害等級については以下のとおりです。
後遺障害等級 | 障害内容 | 後遺障害慰謝料 (弁護士基準) |
1級6号 | 両下肢の「用を全廃したもの」 | 2800万円 |
5級7号 | 片下肢の「用を全廃したもの」 | 1400万円 |
6級7号 | 片下肢の3大関節中の2関節の「用を廃したもの」 | 1180万円 |
8級7号 | 片下肢の3大関節中の1関節の「用を廃したもの」 | 830万円 |
10級11号 | 片下肢の3大関節中の1関節に「著しい機能障害」 | 550万円 |
12級7号 | 片下肢の3大関節中の1関節に「機能障害」 | 290万円 |
膝や股関節などに後遺症が残ってしまった方は、上記の要件に該当するか確認してみましょう。
4.可動域制限があるのに後遺障害等級が認められないケース
可動域制限が後遺障害等級の条件を満たしているにもかかわらず、申請が認められないことがあります。
たとえば、以下のような場合、後遺障害等級が認められません。
- 測定方法が認定基準(測定要領)に従ってなされていない
- 器質的損傷の内容と可動域制限の内容とに整合性が認められない
可動域の測定方法は、日本整形外科学会方式というもので行うと定められています。
しかし、この測定方法を用いずに、場合によっては目測で診断書を作成してしまう医師も稀にいます。
このような場合、通常ではありえないような角度が記載されてしまったりするため、そのようなずさんな測定方法では認定を受けられません。
また、関節の可動域制限で後遺障害が認められるためには、その制限の原因となる器質的損傷が必要です。
「痛いからこれ以上曲げられない」というものは認められず「骨が変形している等の原因でこれ以上曲げられない」というものが認定されます。
ご自身で計測方法が正しいか、後遺障害が取れそうかを判別するのは難しいため、後遺障害等級申請に慣れた弁護士に相談されることをおすすめします。
まとめ
後遺障害等級の認定を受けるためには、可動域測定を行う必要があります。
可動域制限の結果に応じて各等級が認定され、請求できる後遺障害慰謝料が決まるので、適切な検査を行うことが大切です。
測定や申請できる後遺障害等級をご自身で判断することは難しいため、弁護士に相談することをおすすめします。
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