後遺障害が非該当でも示談金はもらえる?非該当の理由や納得がいかないときの対処法
「後遺障害が非該当でも示談金はもらえるのか」
「どのようなときに後遺障害が認められないのか」
本記事では、後遺障害が非該当の場合でも示談金がもらえるのか、非該当になるケース、認定結果に納得がいかない場合の対処法についてご紹介します。
1.後遺障害が非該当でも示談金はもらえるのか
結論から述べると、後遺障害が非該当でも示談金をもらうことはできます。
そもそも交通事故の示談金には、交通事故で発生した様々な損害が含まれています。
治療費、通院交通費、休業損害、傷害慰謝料などのうち、まだ支払われていないものを示談の際に合算して支払うこととなり、これを「示談金」と呼びます。
そのため、後遺障害に該当しなかったとしても、それ以外の損害が発生しているのであれば当然それら示談金をもらうことはできます。
ただし、後遺障害に該当することで、示談金に追加されるものがあります。
それが、後遺障害慰謝料及び逸失利益です。
これらは、原則として後遺障害に該当しないと請求が認められません。
そのため、後遺障害に該当するか否かによって、示談金の額は大きく変わってくる可能性があるのです。
2.非該当になる理由
後遺障害に該当しない理由はいくつかあります。
たとえば、以下のような事情が挙げられます。
- 残存症状が後遺障害の要件に当てはまらない
(例)首を動かしたときだけ痛む、1本だけ歯が欠損した、10%の可動域制限
- 症状の原因が交通事故であるという医学的根拠がない
- 将来症状が回復する可能性がある
後遺障害等級は、類型に当てはまるものを賠償の対象として認定するものなので、類型に当てはまらない症状についてはそもそも後遺障害等級の認定を受けることができません。
また、そのような症状が事故によって発生したと認められる必要があるため、持病や既往症がある場合には区別ができるかが問題となります。
3.非該当の認定結果に納得がいかない場合の対処法
非該当の認定結果に納得がいかない場合の対処法についてご紹介します。
申請者にできることは以下の3つです。
- 異議申立て
- 紛争処理機構の利用
- 裁判
可能性が高いわけではありませんが、状況に応じて3つの選択肢があります。
非該当となってしまった理由によって採るべき選択が変わるため、弁護士と相談して今後の方針を検討しましょう。
(1)異議申立て
後遺障害等級の認定申請で非該当と判定された場合、まず異議申立てを検討しましょう。
異議申立てとは、後遺障害等級を認定する機関である損害保険料率算出機構に対して、認定結果に対する不服を伝え、結果の変更を求める手続です。
特に制限回数は設けられておらず、費用もかかりません。
ただし、結果を覆せるだけの追加資料が必要となります。
結果に納得がいかないだけで単に異議申立てをしても、手間がかかるだけで結果は変わりません。
異議申立てを成功させるためには、非該当結果の理由をどうしたら覆せるかの検討と、それに対する追加資料の準備が必要なので、弁護士に相談するようにしましょう。
(2)紛争処理機構
異議申立てのほかに、紛争処理機構への調停申立てという手続きもあります。
これは、損害保険料率算出機構ではなく、外部機関である紛争処理機構というところに、非該当となった決定が適正か確認してもらう手続きです。
ここで問題とされるのは「自賠責(損害保険料率算出機構)による決定内容が相当かどうか」という点です。
そのため、新たな資料の提出等は認められず、あくまで自賠責に提出された資料に基づいて判断した場合、同じ結果が出るのかというのを第三者の視点で判断することになります。
この手続きは、1度しか利用することができないので、申立てをするか否かタイミングを見極める必要があります。
(3)裁判
最終手段として、裁判で後遺障害の該当性を争うという選択肢もあります。
裁判所は、自賠責保険による等級認定の結果に拘束されないため、仮に非該当であったとしても、後遺障害が認められる可能性があります。
もっとも、裁判官は必ずしも医学的な知識に長けているわけではないため、裁判の場で後遺障害が認められる可能性は高いとは言えません。
そのため、裁判を起こす利点があるのかについては、慎重に検討する必要があります。
4.非該当でも後遺障害慰謝料が認められるケース
後遺障害が非該当の場合、後遺障害慰謝料や逸失利益の請求が困難であることを述べましたが、例外もあります。
たとえば、以下のケースでは、後遺障害慰謝料が認められた事例があるのです。
- 顔面醜状や体の傷跡がある
- 仕事や生活に大きな影響がある
非該当でも場合によっては後遺障害慰謝料を請求できる可能性もあるため、弁護士に後遺障害慰謝料の請求ができないか相談してみましょう。
(1)顔面醜状や体の傷跡がある
後遺障害に該当する醜状は大きさや長さが定められています。
しかし、その大きさに達していなかったとしても、目立つ傷跡や瘢痕が残っている場合には、一定程度の追加慰謝料が認められるべきと考えられます。
そのため、醜状が残っている場合には、後遺障害等級に該当しなかったとしても後遺障害慰謝料が認められる可能性があります。
実際の金額については、具体的な傷跡の状況や目立ち具合によっても変動するので、弁護士にご相談ください。
(2)仕事や生活に大きな影響がある
骨の変形や可動域制限などが残存しているが、後遺障害等級の要件には該当しないような場合、実際に日常生活や仕事に支障が生じている場合があります。
この程度が顕著な場合には、後遺障害とはいえないものの一定程度の追加賠償金を認めている裁判例があります。
いずれも、例外的な判断なので、一般的には後遺障害該当性が認められないと難しいということは念頭に置いておきましょう。
したがって、いかに後遺障害に該当するという資料を集めるかというのが非常に重要なポイントとなります。
まとめ
後遺障害等級に非該当でも、加害者側に対して示談金を請求することは可能です。
ただし、後遺障害慰謝料や逸失利益の請求が困難なので、後遺障害等級に認定される場合よりも受け取れる金額は少なくなります。
非該当となった場合でも、有効な根拠や主張を集めることで、後遺障害が認められるケースもあるため、諦めずに弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人みずきでは、後遺障害に関する相談を無料で受け付けておりますので、後遺障害がお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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