後遺障害認定のデメリットとは?申請方法別のデメリットもご紹介

2.後遺障害認定が遅れているときの対処法

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
私は、そんな法律の世界と皆さんを、柔和に橋渡ししたいと思っています。問題解決の第一歩は、相談から始まります。
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「後遺障害の認定を受けることのデメリットってあるの?」
「手続ごとのデメリットはあるの?」

交通事故が原因で後遺障害が残ってしまった場合、後遺障害等級認定を検討される方も多いと思います。

後遺障害等級の認定を受けるにあたって、デメリットがあるか気にされる方もいらっしゃいます。

基本的に、交通事故における後遺障害等級認定を受けることのデメリットはありません。

ただし、後遺障害等級認定を申請する際に二種類の申請方法があるため、それぞれの手続におけるデメリットは考えられます。

本記事では、後遺障害等級の認定を受けることに関する疑問や、事前認定・被害者請求のそれぞれのデメリット、弁護士に依頼することのメリットをご紹介します。

1.後遺障害認定のデメリットはあるのか

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後遺障害等級の認定を受けると、交通事故における損害賠償の一つである後遺障害慰謝料を受け取ることができます。

後遺障害認定と聞くと、後遺障害という名前からご自身に何らかの不利益が被るのではないかと不安になってしまう方もいらっしゃいます。

しかし、実際は後遺障害認定をされたことでデメリットが生じることはありません。

後遺障害認定のデメリットについてよくある疑問とその答えについて順にご説明します。

(1)障害者手帳などが発行されるの?

後遺障害認定が認められたからといって、必ず障害者手帳が発行されるわけではありません。

自賠責保険における後遺障害等級は、あくまで加害者から支払われる損害を算定するための基準です。

一方、身体障害者等級は公的な支援を受けられるためのものです。

ですので、そもそも趣旨や制度自体が異なります。

交通事故による怪我が原因で後遺障害が残り後遺障害等級が認定された場合であっても、身体障害者等級に該当しない場合には、何も問題はありません。

逆に、自賠責保険における後遺障害が、身体障害者等級にも該当すると判断されれば障害者手帳を申請することができます。

後遺障害等級と障害者等級の該当要件は異なりますので、それぞれの基準を参照する必要があります。

もしも障害者手帳を発行されたい場合は、お住まいの市区町村の担当窓口にてお問合せすることを推奨します。

(2)生命保険などの加入ができなくなるの?

交通事故における後遺障害等級が認定されたことで、生命保険などの加入ができなくなる可能性は低いでしょう。

生命保険に加入する際は、持病などを告知する義務があるため、後遺障害の症状によっては保険加入ができない場合や免責条件を付け加えられる場合はあります。

しかし、後遺障害等級認定はあくまでも交通事故における損害賠償を保障してもらうための制度ですので、後遺障害等級が直接保険加入に影響する可能性は低いと言えます。

生命保険会社の加入をご検討の場合は、健康状態の告知や医師等による診査が必要となることもありますので、加入をご検討の保険会社へ問い合わせてみることをおすすめします。

(3)後遺障害等級を受けたことは周囲に知られるの?

後遺障害等級認定では、手続をしたことでその過程や結果などが周囲に知られてしまうことはありません。

後遺障害等級認定を申請する際は、医師に後遺障害診断書を作成してもらう必要があったり、弁護士に手続のサポートを依頼したりする場合もあります。

医師や弁護士には守秘義務がありますので、後遺障害等級を受けた事実が周囲に漏れることはありません。

このように、後遺障害等級認定の手続において、申請者の周囲に後遺障害等級を受けたことを知られることはほとんどありません。

2.後遺障害等級認定の申請方法別デメリット

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前述のとおり後遺障害等級認定を受けること自体にデメリットはありません。

ただ、申請を行う手続は二種類あり、種類によってメリット・デメリットはあります。

後遺障害等級認定の申請の流れと二種類の申請方法とそれぞれのデメリットについてご説明します。

(1)事前認定と被害者請求

後遺障害等級認定の申請方法には、事前認定と被害者請求の2種類があります。

事前認定とは、交通事故の加害者側の任意保険会社を通じて後遺障害認定の申請を行う方法です。

事前認定では、被害者が後遺障害診断書を加害者側に提出すると、そのあとの手続を相手側の任意保険会社が担います。

一方、被害者請求とは、後遺障害認定を被害者自身が行う方法で、加害者側の自賠責保険会社へ必要書類を提出します。

被害者請求には、申請時に必要となる書類の作成・準備は被害者自身が携われるという特徴があります。

双方の手続とも、まず入通院している病院の医師から症状固定してもらった後、後遺障害診断書を作成してもらうよう依頼します。

症状固定とは、交通事故後の治療を続け、治療を継続してもそれ以上の改善が見込めないと判断された時点を指します。

後遺障害等級認定において後遺障害診断書は、重要な役割を果たす必須書類です。

後遺障害等級の審査は、この後遺障害診断書を基準に行われるため、審査のために必要な情報は全て記載しておく必要があります。

医師に後遺障害診断書を作成してもらった後は、事前認定または被害者請求によって申請を行います。

(2)事前認定のデメリット

交通事故における後遺障害等級認定の申請方法には、事前認定があります。

事前認定は、後遺障害診断書を加害者の任意保険会社へ提出すれば、後の手続を任意保険会社が行ってくれますので、被害者にとって手間や負担が少ないというメリットがあります。

一方事前認定では、被害者が提出書類に携わる機会が少ない、被害者に有利な証拠を積極的に添付できない、賠償金をすぐに受け取れないなどのデメリットがあります。

#1:提出書類に携われる機会が少ない

事前認定のデメリットとしては、後遺障害認定の申請時に必要な提出書類に携わる機会が少ないことが挙げられます。

事前認定の場合、加害者側の任意保険会社が書類提出を担うため、提出書類に不備があってもそのまま手続を進められる可能性があります。

そのため、十分な資料を揃えられず納得のいく等級認定を得られないかもしれません。

被害者請求であれば、全ての提出書類に関わることができ、修正なども自身が望むタイミングで行うことができます。

しかし、事前認定で後遺障害認定を申請する際は、提出書類に関わる機会が少ないのです。

#2:有利な証拠を積極的に添付できない

事前認定の場合、被害者にとって有利な証拠を積極的に添付できないというデメリットがあります。

後遺障害等級認定の手続では、被害者の後遺障害の症状に応じて等級が認定されるための基準や要件があります。

それらの基準・要件を満たしていることを客観的に証明するため、MRIやCTなどの医学的な書類が必要となる場合もあります。

しかし事前認定の場合、加害者側の任意保険会社は被害者へ有利な証拠の提出を助言するわけではありません。

その結果、後遺障害等級認定を受ける上で情報が不足していると判断されてしまう可能性があるのです。

場合によっては、加害者側の保険会社が、顧問医に被害者に不利になるような意見書を書かせる場合もありますので、注意が必要です。

#3:賠償金をすぐに受け取ることができない

事前認定においては、自賠責保険の賠償金をすぐに受け取ることができません。

事前認定により後遺障害認定の申請をする場合、賠償金が支払われるのは示談が成立した時点となります。

一方被害者請求の場合は、自賠責保険の限度額の範囲であれば賠償金を先払いしてもらうことができます。

そのため、後遺障害等級の認定結果が通知されたあとすぐに賠償金を受け取ることができるのです。

後遺障害等級認定の申請を事前認定で行うと、賠償金の一部を先に受け取れないというデメリットがあります。

(3)被害者請求のデメリット

後遺障害等級認定において、被害者請求によって申請を行うことのデメリットとしては、被害者に負担がかかることが挙げられます。

逆に言えば、被害者請求のデメリットはそのくらいしかありません。

被害者請求は、被害者が自ら提出書類の収集・作成を行い加害者側が加入する自賠責保険会社へ直接請求を行う必要があります。

そのため、レントゲン等の画像を医療機関に用意してもらうよう依頼したり事故発生状況報告書などを自身で作成したり、被害者にとって手間がかかってしまいます。

一方被害者請求では、提出書類を被害者自身が準備・確認できるため、後遺障害等級認定に有利となる資料を提出しやすくなります。

また、自賠責保険の限度額の範囲で賠償金を先に受け取ることができるなどのメリットもあります。

3.弁護士に依頼することのメリット

弁護士基準で損害賠償を請求する方法

被害者請求によって後遺障害等級認定の申請をご検討の場合は、専門家である弁護士にご相談ください。

被害者請求を利用する場合、必要書類が多く、書類の準備に手間がかかったり手続に時間がかかったりする可能性があります。

また、被害者請求においてはどのような書類を提出するかどうかで、支払われる慰謝料・賠償金の金額が増減するケースもあります。

弁護士は、後遺障害認定において有利となる書類に精通しているため、納得のいく後遺障害認定を目指すことができるといえます。

さらに、すでに事前認定を利用して後遺障害等級の認定を受けた方で結果に不満がある場合でも、異議申立てを行うことができます。

交通事故における後遺障害等級認定に関するお悩みは、弁護士法人みずきへご相談ください。

まとめ

交通事故の後遺障害等級認定を受ける際、後遺障害等級を認定されることでデメリットが生じるのではないかと考えられる方もいるかもしれません。

しかし、実際後遺障害等級認定を受けたことでデメリットが生じることはなく、賠償金を請求する際に有利に働く制度と言えます。

ただし、後遺障害等級認定の申請方法には事前認定と被害者請求の2種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

交通事故における後遺障害等級認定の申請に関してのお悩みは、申請に精通している弁護士へご相談ください。

弁護士にご相談いただくことで、納得のいく後遺障害認定を目指すことができるでしょう。

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執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
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