過失割合10対0の場合の保険対応について|示談交渉の注意点を解説
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あわせてご視聴いただければと思います。
「過失割合が10対0のとき保険会社の対応はどうなるのか」
「過失割合が10対0でも保険会社と交渉しなければならないのか」
過失割合が10対0の事故の被害者となった方の中には、保険会社の対応がどうなるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、過失割合が10対0の場合の保険会社の対応や保険会社との交渉の注意点についてご紹介します。
1.過失割合が10対0の場合の保険会社の対応
結論から述べると、過失割合が10対0の場合は、被害者側で加入している任意保険会社に交渉を代理してもらうことはできません。
被害者に一定の過失がある場合は、その過失の分、相手に請求できる金額は減ってしまいますし、相手の損害を負担しなければならなくなります。
しかし、この場合は、加入している任意保険会社にも相手方へ対物・対人の賠償を行う必要が生じ、被害者を代理して交渉を行ってくれるため、被害者が過失割合について交渉する必要はありません。
他方、交通事故には、追突や完全に停止していたところに衝突されたケースなど、類型的に被害者の過失が0、無過失となるケースがあります。
被害者が無過失の場合、被害者側の保険会社は交渉を代行することができず、被害者自身が加害者側と交渉しなければならないため、大きな負担がかかるでしょう。
2.過失割合10対0のときの示談交渉時の3つの注意点
過失割合が10対0の場合示談交渉を行うのは被害者本人となってしまいますので、注意しなければならないことがいくつかあります。
特に注意すべき点は以下の3つです。
加害者側の保険会社の主張を鵜呑みにしない
被害者自身が無過失を証明しなければならない
加害者側が認めない場合がある
順に説明するので、示談交渉をする際の参考にしてください。
(1)加害者側の保険会社の主張を鵜吞みにしない
示談交渉の相手方となるのは、加害者本人ではなく、加害者の加入している任意保険会社となるのがほとんどです。
加害者側の任意保険会社の主張については、考えなく応じることのないようにしましょう。
加害者の任意保険会社は、示談交渉の結果によって、加害者の任意保険会社が多額の損害賠償債務を負うことになりかねないため、被害者の有利とはならない形で話を進めてきます。
類型的に被害者側の過失が認められないケースだと、被害者側は被害者本人が交渉する形になりますが、加害者側は、加害者の任意保険会社が、被害者に過失を認めさせて、賠償額を減らそうとしてくることも考えられます。
そのため、加害者側の任意保険会社が理論的に過失割合を主張しているように見えても、被害者の不利になるように誘導している可能性があります。
加害者側の主張については、安易に応じず、立ち止まって考えるべきでしょう。
(2)被害者自身が無過失を証明しなければならない
たとえば類型的に被害者が無過失とされるケースであっても、先ほど述べたように加害者側は被害者に過失があることを主張してくる可能性があります。
それに対して、証拠をもとに被害者自身が無過失であることを立証し、加害者側に認めさせなければなりません。
このような場合に有用な物的証拠としては以下のようなものがあります。
- ドライブレコーダーの映像
- 周辺の監視カメラの映像
- 目撃者の証言
- 警察の捜査資料
- 事故現場の写真
特にドライブレコーダーの映像は客観的な証拠として効果的で、事故前後の状況を確認でき、映像に反する加害者側の主張を封じることができます。
ただし、ドライブレコーダーの映像は一定時間が経過すると上書きされてしまいますので、USBメモリ等にデータを保存しておく必要があります。
また、ドライブレコーダー以外の証拠については被害者自身で収集するのは困難なものもありますし、事故現場の写真についてはどのように主張に用いるのかがわからないこともあると思います。
交通事故についての経験のある弁護士であれば、証拠の収集方法、それらの活かし方についての知識も有しています。
どのような証拠が有効なのか、どのように収集したらいいのかわからないという場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
(3)加害者側が認めない場合がある
状況証拠から明らかに被害者に過失がないにもかかわらず、加害者側がゴネ得を狙って一向に認めない場合もあります。
一般に、明確な理由もなく交渉等を長期化させることを「ゴネる」といいます。
ゴネ得とは、加害者がゴネ続けることにより、被害者に妥協案を提示させて、加害者が得をするという状況のことをいいます。
明らかに過失割合が10対0となる事案でも、加害者側がこれを一向に認めず、話を平行線の状態に持って行くと、しびれを切らした被害者が早期解決のために、自身の過失を認めてしまうというケースが考えられます。
過失割合が1割変わるだけでも、請求できる損害賠償金は大きく変化します。
加害者側が根拠もなく主張を崩さない場合に、被害者が折れて加害者にゴネ得させてしまうというのは不合理です。
この場合は、簡単に折れたりせず、(2)で紹介したような証拠を突きつけて、加害者としっかり交渉を続けることが重要です。
3.過失割合が10対0では弁護士に相談するのがおすすめ
過失割合が10対0の場合、被害者自身が過失割合に限らず、自身の損害全般についても交渉を行わなければならず、どうしても被害者の負担が大きくなってしまいます。
このような負担を軽くするためには、弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士に相談することにより、加害者側との交渉に有用なアドバイスを受けることができます。
また、弁護士に代理交渉を依頼してしまえば、交渉全般を任せることができ、負担を相当軽減することができます。
なにより弁護士の経験・知識を生かし、被害者に有利な結果となるように交渉を進めることができます。
有利に交渉を進め、しっかりと損害賠償を請求したい場合は、まず、弁護士に相談してみましょう。
4.過失割合が10対0になる主なケース
最後に過失割合が10対0になるケースをご紹介します。
主なケースは以下のとおりです。
- 交差点において対面信号が青信号で走行していたところ、交差道路から加害車両が赤信号無視して進行してきた
- センターラインがある道路を走行していたところ、対向車線から加害車両がセンターラインを超えてきた
- 信号待ちで停止していたところ、後方から進行してきた加害車両に追突された
- 被害者が歩道・横断歩道・路側帯上の歩行者
基本的に、被害者側に道路交通法の違反がまったくないとされるケースでは過失割合が10対0とされています。
また、被害者が歩道等を通行している歩行者の場合は、道路交通法上強く保護されていますので被害者は無過失になる傾向があります。
ただし、事故の状況によっては、上記のような類型であっても修正要素が認められ、過失割合が10対0とならない場合もあります。
修正要素などについては、以下の記事で紹介しているので、参考にしてみて下さい。
まとめ
過失割合が10対0の場合、被害者が加入している任意保険会社に示談交渉の代行をしてもらうことはできません。
被害者自身が加害者側と交渉しなければならず、ドライブレコーダーなどの証拠を揃えて、的確に自身の無過失を証明する必要があります。
もし交渉に不安を抱えている方は、弁護士に相談することにより、どのように交渉を進めればよいかアドバイスをもらうことができますし、弁護士に任せてしまいたい場合には依頼を検討することもできます。
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