高次脳機能障害が後遺障害に認定されないときは?認定基準や認定されないときの対処法を解説!

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
私は、そんな法律の世界と皆さんを、柔和に橋渡ししたいと思っています。問題解決の第一歩は、相談から始まります。
皆様が勇気を振り絞ってご相談をしていただければ、後は私どもが皆様の緊張や不安を解消できるよう対応し、法的側面からのサポートができればと思います。敷居はバリアフリーです。あなたの不安を解消するために全力でサポート致します。

「交通事故が原因で高次脳機能障害を負ってしまったが、後遺障害に認定されないときは諦めるしかないのか」
「高次脳機能障害を理由とする症状が後遺障害に認定されるにはどうしたらいいのか」

交通事故によって何らかの異変が起こっていることに気づいている方の中には、高次脳機能障害を疑っている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、高次脳機能障害が認定され得る後遺障害等級や認定されないときの対処法等についてご紹介します。

1.高次脳機能障害の場合に認められる可能性のある後遺障害の認定基準

交通事故を原因とする高次脳機能障害が後遺障害と認定されるためには、等級ごとに認定基準を満たす必要があります。

等級と認定基準に応じた具体的症状を以下にまとめています。

等級 認定基準 具体例
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 身体機能は残存しているが、高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 著しい判断能力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。

身体的動作には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや監視を欠かすことができないもの

3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。

また、声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。

しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの

5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。

ただし、新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの

7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業能力などに問題があるもの

一言で高次脳機能障害と言っても、その症状や程度は多岐にわたります。

そのため、上記のように、該当する可能性のある等級も複数あります。

交通事故の前と後とを比較して、どのような症状がどのくらい出ているのか、適切に申し立てる必要があります。

2.高次脳機能障害が後遺障害に認定されない原因

交通事故によって高次脳機能障害を負い、後遺障害の認定基準を満たしている可能性があるにもかかわらず、認定されない場合は、少なくとも2つの原因が考えられます。

  1. 書類内容が不十分である
  2. 認定基準を満たしていない

順にご紹介するので、認定されなかった方は改めて振り返ってみましょう。

(1)書類内容が不十分である

高次脳機能障害に該当するような症状が出ているにもかかわらず、後遺障害と認定されない場合は、書類内容が不十分である可能性が高いです。

主に、審査は提出された書類をもとに行われるため、後遺障害診断書や治療経過の診断書、日常生活状況報告書などの内容が不十分であれば、実際に高次脳機能障害だとしても適切に後遺障害と認定されない場合があります。

特に後遺障害診断書は、どのような後遺症が発生しているかが記された書類で、医学的見解として捉えられるので、提出前に記載内容を確認しておくことが大切です。

後遺障害診断書は、症状固定の診断を受けた後に担当医に作成してもらうため、作成してもらう前に、気づいた異変は全て伝えるようにしましょう。

(2)認定基準を満たしていない

そもそも高次脳機能障害の後遺障害認定基準を満たしていない場合も考えられます。

高次脳機能障害を負っているからといって、必ずしも後遺障害と認定されるわけではありません。

先に記述した6つの等級のいずれかに認定される必要があります。

高次脳機能障害は、経度の場合はリハビリ治療によって大きな改善が見られる場合があります。

あくまで、症状固定時点でどのような症状が残っているのかというのが後遺障害等級の認定対象となります。

3.高次脳機能障害が後遺障害に認定されないときの対処法

高次脳機能障害に関することなら弁護士法人みずきへ

高次脳機能障害を負っている場合に後遺障害に認定されなかったからといって素直に諦める必要はありません。

認定結果に納得がいかない場合の対処法は主に以下の2つです。

  1. 異議申立をする
  2. 高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談する

順にご紹介します。

(1)異議申立をする

後遺障害の認定結果に不服がある場合は、異議申立をすることができます。

異議申立とは、認定の申請を行った機関に対して、決定の変更を求める手続のことです。

異議申立てをするには、まず認定されなかったことの理由を把握することが大切です。

画像検査結果がはっきりしなかったからか、事故後の意識障害が短時間だったからか、症状の一貫性が見られなかったからか、認められなかった理由は複数考えられます。

これらの理由を把握し、それを覆すための追加資料を準備していく必要があります。

それをせずにただやみくもに異議申立をしても、同じ結果になってしまいます。

主治医から意見書を書いてもらったり、追加で検査をしてもらったりして、認定を受けるために必要となる資料を加えて、「なぜ等級が認められるべきか」に説得力を持たせることが、異議申立を行う際のポイントとなります。

(2)高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談する

高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

高次脳機能障害は、医学的にも不明な点が残る傷病です。

そのため、裁判における考え方もどんどん変化しており、弁護士も特有の知識を持っていないと適切な賠償請求ができない可能性があります。

例えば、上記のように異議申立を行う場合、「本件の場合にはどういう追加資料を入手して、どのように主張していけば認定を得られる可能性が高いか」という点は、これまでの自賠責保険や裁判所の実務を知らなければ適切に判断できません。

少しでも適切な賠償を得ることができるように、高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談するべきです。

まとめ

高次脳機能障害を負ったからといって、自動的に後遺障害が認定されるわけではありません。

適切な資料に基づいて申立をしないと、適切な等級の認定を受けられない可能性があります。

そのような場合は、異議申立を前向きに検討しつつ、まずは高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人みずきでは、 適切な後遺障害等級の獲得に向けて治療中のアドバイスから後遺障害認定申請、その後の示談交渉や訴訟対応までの一貫したサポートを行っています。

高次脳機能障害の認定結果に不服な方は、お気軽にご相談ください。

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執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
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