むちうちの症状が出ても放置してもよいのか?適切な対応について解説

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「むちうちの症状が出ても放置してよいのか」
「むちうちの症状を放置するとどのようなリスクがあるのか」

交通事故によってむちうちの症状が出ている方の中には、そのまま放置してもよいか迷っている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、むちうちの症状が出たときの適切な対応についてご紹介します。

1.むちうちの症状が出ても放置してもよいのか

むちうちの症状が出た場合は、放置せずにすぐに治療を受けるようにしましょう。

むちうちの場合、事故直後は何も感じていなくとも、事故から数日後に症状が現れることがあります。

程度が軽いと軽視しがちですが、症状が出たあとすぐ重くなっていく可能性もあります。

放置すると治りも遅くなりますし、加害者へ損害賠償を請求することも考えると、なるべく早く病院で診察を受けた方がよいでしょう。

むちうちの症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 首の痛み
  • 肩の張り
  • 腕や手にかけてのしびれ
  • 背中の痛み
  • 頭痛
  • めまい
  • 耳鳴り

基本的には首や肩の周辺に症状が出ることが多い一方で、頭痛やめまいなど受傷した場所とは結びつかないような症状が出る場合もあります。

2.むちうちを放置するリスク

むちうちの症状を放置してしまうと、交通事故の加害者からの損害賠償を受けられなくなるリスクがあります。

交通事故の加害者へ怪我による損害の賠償を請求するには、その怪我が交通事故によるものであることを証明しなければなりません。

そのためには、事故後できるだけ速やかに医師による診断を受けることが必要です。

しかし、むちうちによる症状が出ているのに治療をしないまま時間が経過してしまうと、その症状と事故との因果関係がないと判断され、まったく損害賠償を受けられなくなってしまう可能性があります。

しっかりと損害賠償を請求するためにも、むちうちの症状が現れたら、すぐに医師の診察を受けることをおすすめします。

3.むちうちの症状が出たあとの流れ

交通事故後にむちうちの症状が出たあとの流れについてご紹介します。

主な流れは以下のとおりです。

  1. 医師の診察を受ける
  2. 治療を行う
  3. (必要があれば)後遺障害等級申請を行う
  4. 加害者と示談交渉をする

以下で詳しく説明します。

(1)医師の診察を受ける

まずは、事故による怪我であることを明らかにするために、整形外科で医師の診察を受けましょう。

事故から1週間以内には医師の診察を受けておかないと、むちうちの症状と事故との因果関係を説明することができなくなってしまいます。

症状が出てきたら、すぐに診察を受けるようにしましょう。

(2)治療を行う

医師からむちうちとの診断を受けたら、医師の指示に従って治療を行います。

治療中も、1か月以上通院の間が空いてしまうと、その後の治療と事故との因果関係が否定されてしまうことがあります。

もし治療を疎かにすると、短い治療期間しか認められず、賠償金の金額に影響する可能性があります。

医師によっては、あとは経過を見るだけだから、そんなに来なくてよいということもありますが、治療の間を空けないことは重要です。

症状が残っているうちは、少なくとも1か月に1回は通院するようにしましょう。

(3)後遺障害等級申請を行う

治療を続け、治癒するか、症状固定(症状が一進一退となり治療を続けても効果が上がらない状態)となったら、治療は終了となります。

症状固定となった場合は、後遺症があるということになります。

後遺症が重いという場合は、後遺障害等級認定の申請を行いましょう。

むちうちの場合、自賠法における後遺障害の等級のうち、14級9号、12級13号の認定を受けられる可能性があります。

認定を受けられれば、等級に応じて後遺障害慰謝料と逸失利益を請求することができます。

むちうちで後遺障害等級の認定を受けるためには、少なくとも6か月は治療を続けた後に、症状が残っている必要があります。

その期間治療を続けても症状が改善せず、しびれや筋力の低下などがみられる場合は後遺障害等級の認定を受けられる可能性があります。

後遺障害等級が認められる可能性があるか気になるという方は、交通事故の経験のある弁護士に可能性があるか相談したり、医師に申請に必要な後遺障害診断書の作成について話を聞いてみたりするとよいでしょう。

後遺障害等級の申請方法については以下の記事にまとめているので、あわせてご参照ください。

後遺障害等級認定の被害者請求とは?メリット・デメリットと主な流れを解説

(4)加害者と示談交渉をする

繰り返しになりますが、治癒か症状固定となったら治療は終了となります。

この段階になれば、治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料といった、怪我による損害を算定することができるようになります。

そのため、示談交渉は、治療終了後に始まることとなります。

弁護士に依頼していない場合、治療終了後に加害者が加入している任意保険会社から賠償額の提示があり、それを踏まえて交渉をしていくこととなります。

交渉が難航する場合やそもそも交渉に自信のない方は、弁護士に相談し交渉を依頼することをおすすめします。

まとめ

むちうちの症状が出ている場合は、放置せずにすぐに医師の診察を受けることをおすすめします。

事故後、むちうちの症状を放置してしまうと、重症化してしまうだけではなく、相手方から損害賠償の支払を受けられなくなる可能性が出てきてしまいます。

むちうちの放置は大きな損失を招くので、診察を受けて、医師の指示に従って治療を受けるようにしましょう。

治療が終了したら、加害者側と示談交渉をすることになります。

示談交渉を有利に進めたい方や交渉に自信のない方は、弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人みずきでは、交通事故に関する相談を無料で受け付けておりますので、むちうちのことでお困りの方はお気軽にご相談ください。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

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