バイク事故で頭を打ったときにすべきことは?弁護士に相談すべき4つの症状
「バイク事故で頭を打ったときにすべきことは何なのか」
「バイク事故に遭ったら、どのようなときに弁護士に相談すべきなのか」
バイク事故に遭い、頭を打ってしまって不安に思っている方や、体に不調を感じている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、バイク事故で頭を打ったときに考えるべきことや、弁護士に相談すべき場合、バイク事故の被害によって加害者に請求できる費用などについてご説明します。
1.バイク事故で頭を打ったときにすべきこと
バイク事故で地面などに頭を強く打ちつけたときは、特に気になる症状がなくてもすぐに脳神経外科に通院しましょう。
バイク事故により頭を打つことで、脳挫傷やくも膜下出血などを起こしている可能性があります。
事故の被害に遭った直後は症状に気づきにくく、自覚症状がないこともあるでしょう。
地面に頭を打ち付けていても、「ヘルメットを装着していたから大丈夫」と過信せずに、速やかにCT検査やMRI検査を受けることをおすすめします。
また、損害賠償請求をするという観点からも、初期の通院は大事なポイントになります。
事故後に病院を受診していないと、後々症状を訴えたとしても事故との関連性を認められず、相手側の保険会社から事故との因果関係を否定されてしまう可能性があります。
そのため、少しでも気になればまずは迷わず通院するようにしましょう。
2.高次脳機能障害の主な症状
バイク事故で頭を強く打ち付けた場合、脳血管障害や脳外傷の他に、高次脳機能障害が発生する可能性があります。
高次脳機能障害とは、脳が司る機能が上手く働かなくなってしまい、性格の変化や注意力散漫になるなど事故に遭うまでにできていたことができなくなってしまうことを指します。
高次脳機能障害は、脳にダメージが及ぶことによって正常な動きをしなくなって生じます。そのため、脳挫傷などの器質的損傷がある場合に発症する可能性があります。
もっとも、一見して画像上脳の損傷が分かりにくい場合でも、脳全体にダメージが及んでいることもあります(これを「びまん性損傷」等と言います)。
そのため、一定時間以上意識障害が継続した場合には、仮に脳損傷がはっきりとしていなくとも高次脳機能障害が疑われる場合もあります。
このように、高次脳機能障害を画像の検査だけから判断することは困難です。
そのため、まずは「事故後、変わった症状が出ていないか」という点に注目をすることが大切です。
高次脳機能障害が発生していれば、以下のような症状が表れます。
・記憶障害
・注意障害
・社会的行動障害
・遂行機能障害
それぞれの症状が具体的にどのようなものなのか、以下で詳しく見ていきましょう。
(1)記憶障害
高次脳機能障害の代表的な症状が記憶障害です。
たとえば、記憶障害には以下のような症状があります。
・事故に遭う前には覚えていたはずの人の名前が急に出てこない
・自分の服がどれか分からない
・自宅までの帰り道が分からない
・覚えていたはずの携帯電話の番号が全く思い浮かばない
ポイントは、事故に遭うまではできていたことや知っていたことが、急に分からなくなることです。
継続的に続くようであれば弁護士に相談して、専門の病院を紹介してもらいましょう。
(2)注意障害
主な注意障害の症状は以下のとおりです。
・右と左の区別を間違えることがある
・カギのかけ忘れが頻繁に起こる
・信号無視をするようになる
・仕事や家事でミスが増える
注意力や集中力が切れやすくなるのが注意障害の特徴で、知っているはずのことが頭からふと抜けてしまうケースが多発します。
放っておくと取り返しのつかない事態に発展する可能性があるので、早急に対処しなければなりません。
(3)社会的行動障害
社会的行動障害とは、行動や言動、感情を自分でコントロールできなくなる障害です。
たとえば、以下のような症状が見受けられます。
・急に怒りが込み上げてくる
・些細なことでも他人を許せなくなる
・落ち込みが激しくなる
・他人への気遣いができなくなる
・他人に暴力を振るうようになる
社会的行動障害を患うと感情の起伏が激しくなったり、行動や言動が荒れるようになったりします。
バイク事故に遭う前よりも感情的になった方は、社会的行動障害を引き起こしている可能性があるでしょう。
(4)遂行機能障害
遂行機能障害とは、目標を設定し計画的かつ効率的に行動できなくなる障害です。
たとえば、遂行機能障害になると以下のような症状が現れます。
・ひとつのことにこだわるようになる
・約束の時間に間に合わないことが多発する
・これまでできていた仕事が計画通りに進まなくなる
・これまでできていたことでも、同時に複数のことができなくなる
特に新しいことをしているわけでもないのに作業効率が悪くなると、遂行機能障害が発生している可能性があります。
仕事などが全くできなくなるわけではありませんが、計画通りに行動できなくなったときは要注意です。
高次脳機能障害の厄介な点は、被害者本人に病識がない(自分では気づいていない)ケースが多いことです。
上記の症状を見ても、一つ一つは明らかにおかしいとまではいえず、事故前からそういう性質を持っているとしても不自然ではない場合も多くあります。
そうすると、医師も、被害者と事故前から面識がない限り、被害者の性格の変化が分からない可能性が高いです。
そのため、ご家族やご友人など被害者に近しい間柄の方が気づく場合が多くあります。
もしも事故に遭った被害者に、上記の変化が見られた場合には、代理でもかまいませんので、まず弁護士にご相談ください。
3.バイク事故後の対応について
バイク事故により頭を打った場合、高次脳機能障害となってしまうケースがあります。
日常生活がこれまで通り送れるようになるか、心配となる方が多いでしょう。
ここでは、高次脳機能障害が疑われたのち、どういった対応を進めることになるのかご説明します。
(1)高次脳機能障害のリハビリ
高次脳機能障害と診断された場合、該当する症状に対してのリハビリを行うことになります。
高次脳機能障害ではリハビリにより改善が見込まれることが大きく、事故前と同等程度まで回復するケースもあります。
むちうちや骨折等は、治療期間が半年程度とされることが多いですが、高次脳機能障害の場合には、1年以上は改善が見込まれるとされることも珍しくありません。
ただし、必要とされるリハビリ治療は、専門医でなければ対応できないこともありますので、かならず高次脳機能障害の対応ができる病院を選定して通院するようにしましょう。
通院先やリハビリの内容に不安がある場合には、弁護士と打合せをしながら病院を選定していくこともできますので、ご相談ください。
(2)後遺症が残ってしまったら認定手続を受ける
リハビリを続けても、残念ながら事故前と同等程度までの回復が見込めないケースもあります。
その場合は、医師から「症状固定」の診断を受け、診断書をもとに後遺障害等級申請を行うことで、加害者側の保険会社に更なる賠償金を請求することができます。
後遺障害が認められれば、等級に従った賠償金を請求することができるため、その後の生活費を工面することに繋がるでしょう。
もっとも、高次脳機能障害によって後遺障害認定を受けるには、むちうちや骨折等の場合と比べて、申請に必要となる書類の種類が増えます。
また、適切に書類の記載をしてもらえないと、本来よりも認定される等級が下がってしまう可能性もありますので、後遺障害申請を行う場合には弁護士にご相談いただくのが一番です。
なお、こちらの記事も合わせてご確認ください。
(3)賠償請求をする
高次脳機能障害などの後遺障害が残ってしまった場合は、賠償請求をご検討ください。
バイク事故における加害者側への損害賠償の請求は、一般的に以下のものを請求することができます。
・治療費
・付添費
・通院交通費
・休業損害
・逸失利益
・傷害慰謝料
・後遺障害慰謝料
特にバイク事故が原因で頭へ衝撃が生じた場合は、高次脳機能障害として後遺障害慰謝料を請求するケースが多いです。
後遺障害等級1級から14級の中でも、高次脳機能障害の場合は1級、2級、3級、5級、7級、9級のいずれかが認定される可能性が高いです。
各等級の認定基準と後遺障害慰謝料額は以下のとおりです。
後遺障害等級 | 認定基準 | 後遺障害慰謝料(弁護士基準) |
1級 | 神経系統の機能または精神に著しい障害が残り、就労が不可能な状態。日常生活でも常に介護が必要。 | 2800万円 |
2級 | 神経系統の機能または精神に著しい障害が残り、食事や入浴、排せつなど日常生活でも随時介護が必要な状態。判断力の低下や情緒の不安定などから随時周りの看視・声掛けが必要な場合も含む。 | 2370万円 |
3級 | 新系統の機能または精神に著しい障害が残り、介護は必要ないが就労できない状態。 | 1990万円 |
5級 | 新系統の機能または精神に著しい障害が残り、特に軽易な就労以外は困難な状態。終始一人で作業をすることが難しく、頻繁な指示が必要な状態など。 | 1400万円 |
7級 | 神経系統の機能または精神に著しい障害が残り、軽易な就労以外は困難な状態。たまに指示を受ければ一人で作業ができる状態など。 | 1000万円 |
9級 | 神経系統の機能または精神に著しい障害が残り、軽易な仕事など就労できる仕事に制限がある状態。 | 690万円 |
後遺障害等級3級以下の場合、原則として介護費用は認められませんが、高次脳機能障害の場合、後遺障害等級が3級以下の場合であっても将来看護費用(看視費用)が一定額認定される可能性があります。
たとえば、リハビリにより症状自体の改善は見られたものの、将来的に声掛けなどによる指示が随時必要であると判断されるケースが挙げられます。
高次脳機能障害など、バイク事故によって頭への衝撃が原因で後遺障害が残った場合の賠償請求では、症状や状況に応じた交渉が重要となります。
バイク事故における賠償請求については、専門家である弁護士へご相談ください。
4.バイク事故の交渉は弁護士にご相談
バイク事故の被害に遭った後には損害賠償に関して加害者側の保険会社と交渉をすることになります。
相手側の保険会社は、賠償金の減額や治療費の打ち切りを主張してくることもあるため、バイク事故の交渉は弁護士に任せることをおすすめします。
高次脳機能障害のような脳損傷の場合、むちうちや骨折等の症状に比べ、上述したようにリハビリ等で改善を図ることになるため治療期間が長く認められる傾向にあります。
加害者側の保険会社から途中で治療費の打ち切りを通告された場合、治療を辞めずに主治医や弁護士に必ず相談するようにしましょう。
また、高次脳機能障害などの発生によって将来的な介護が必要になった場合は、精神的な負担や実際の支出金額も大きくなるため、完治が見込める怪我のみのケースよりも請求金額が高くなります。
仮に医師から高次脳機能障害と診断されたら、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、症状を証明する画像やこれまでの経過の診断書、診療報酬明細書など必要な書類を揃えて自賠責保険会社に提出しましょう。
後遺障害の認定を受けたら、その旨を弁護士に伝えてください。
まとめ
バイク事故で頭を打ったときは、事故後にすぐに脳神経外科を受診しましょう。
一見問題が無くても、徐々に高次脳機能障害が進行する可能性もあります。
弁護士法人みずきでは、事故後の加害者側の保険会社との交渉はもちろん、後遺障害等級認定などの相談もお受けしておりますので、交通事故に関する悩みを抱えている方は、お気軽にご相談ください。
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