休業損害は先払いしてもらえるのか?先払いを断られたときの対処法
「休業損害は、示談成立前に支払ってもらえるのか?」
「休業損害の先払いを受けるにはどうしたらいいのか?」
交通事故の被害に遭い休業損害の請求を検討している方の中には、経済的な負担が大きくなることを理由に、損害賠償金の先払い(内払いと呼ぶこともあります)を受けたいと思っている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、休業損害は先払いをしてもらえるのかどうかや、先払いを受ける方法についてご紹介します。
1.休業損害は先払いしてもらえるのか
結論から言うと、休業損害の先払いを求めることはできます。
交通事故の被害に遭った場合、怪我の治療費などで支出が重なり、経済的な負担が大きくなります。
また、休業する場合は、収入が減ってしまうことが想定されるため、休業損害の支払が遅くなると、生活に支障をきたすケースもあるでしょう。
そのため、最終的な慰謝料金額が確定していなくても、示談成立前に、損害賠償金の一部を受け取れるようになっています。
休業損害の先払いを受ける方法は主に以下の三つです。
- 相手方の保険会社から休業損害の内払いを受ける
- 自賠責保険に被害者請求をする
- 裁判所に仮払い仮処分を申し立てる
基本的には、休業損害の内払いを受ける方法で、手続が進められるケースが多いです。
残りの方法に関しては、相手保険会社が休業損害の内払いを拒否した場合に検討することになるでしょう。
休業損害の先払いを受けたい方は、まずは相手保険会社に内払い(加害者の任意保険会社から賠償金の一部を先に支払ってもらうこと)を求めることをおすすめします。
2.相手保険会社から休業損害の内払いを受ける方法
相手保険会社から休業損害の内払いを受ける方法についてご紹介します。
主な流れはシンプルで、必要な書類を揃えて、相手保険会社に内払いを交渉するだけです。
具体的に説明するので、弁護士に相談しながら手続を進めてみましょう。
(1)必要な書類を揃える
まずは、休業損害の内払いを求めるのに必要な書類を揃えましょう。
被害者が揃えるべき主な書類は以下のとおりです。
- 交通事故証明書
- 診断書
- 診療報酬明細書
- 休業損害証明書
- 前年度分の源泉徴収票
交通事故証明書は、事故の事実を証明するための書類で、事故発生の日時、場所、当事者の氏名などが記載されています。
事故があったことを警察に届出た後、交通事故証明書申込用紙を受け取り、必要事項を記入したらゆうちょ銀行に持参して、交付手数料と払込手数料を支払いましょう。
申請後、10日ほどで交通事故証明書が自宅に届きます。
ほかにも、インターネット等で申請する方法もあります。
診断書は、主治医(病院によっては専門窓口がある)に発行を依頼すれば、遅くても2週間ほどで受け取りが可能です。
また、診療報酬明細書は、一般的には受診した医療機関の窓口に発行の依頼をすることになります。
なお、主治医に休業を要する旨の意見書を作成してもらうことも少なくありませんので、業務内容と症状に照らして休業を要するかどうか、あらかじめ主治医の意見を聞いておくといいでしょう。
休業損害証明書は、相手保険会社が書式を用意していますので、勤め先に記入を依頼すれば手に入れられます。
自営業者や家事従事者は、休業損害証明書や源泉徴収票に代わる書類を用意しなければなりません。
自営業者は確定申告書の控えや課税証明書、会計書類など、家事従事者は被害者自身の収入資料や同居のご家族の収入資料、住民票などの提出を求められることがあります。
ちなみに、交通事故証明書や診断書、診療報酬明細書に関しては、すでに相手保険会社が入手していることもあるため、これらの書類を用意する必要があるのかも確認しておきましょう。
なお、一括対応といって、相手保険会社が、被害者の通院先等に直接被害者の治療費を支払う対応をとってくれる場合もあります。
この場合は、交通事故証明書、診断書及び診療報酬明細書については、相手保険会社が既に取り付けていることが多いため、自分で用意する必要はない可能性が高いといえます。
一括対応の場合も、そうでない場合も、上記に挙げた以外にも書類が必要になることがあるので、手続に必要な書類が揃っているか、書類に不備がないかなど、弁護士に確認してもらうことをおすすめします。
(2)書類を提出し交渉する
必要な書類が揃ったら、相手保険会社に提出します。
もし相手保険会社の対応が消極的であれば、休業損害を証明する書類をもとに、事故による休業の必要性を説得しなければなりません。
相手保険会社はなるべく支出を抑えようと被害者にとっては望ましくない形で交渉を進めてくる可能性があるので、交渉は経験豊富な弁護士に代行してもらう方がよいでしょう。
3.相手保険会社が休業損害の内払いを認めないときの対処法
いくら交渉しても、休業損害の内払いを認めない相手保険会社がいるのも事実です。
内払いに応じない理由としては、以下のような例が挙げられます。
- 衝撃が軽微のため受傷しているとは認められない
- 症状から考えて1か月分の休業は認めるが2か月分休業する必要が認められない
- 損害賠償金が過払いになることを懸念しているため、休業損害としての内払いを認めない
任意保険会社の休業損害の内払いは義務ではないため、相手保険会社が承諾しない限り、内払いを強制することはできません。
そこで、相手保険会社が休業損害の内払いを承諾しないときは、先ほどご紹介した残りの方法を選択することになります。
それぞれのケースについてご説明するので、どちらを選択するか検討してみてください。
(1)自賠責保険に被害者請求をする
自賠責保険に被害者請求することで、損害賠償金の一部の支払を受けることが可能です。
請求時までの休業損害や慰謝料を含めた損害額が自賠責基準で算定され、支払われます。
ただし、保険金の上限が決まっており、後遺障害が残ったり死亡したりといったケースでなければ、治療費など全て含めて120万円までしか受け取ることができません。
保険会社が治療費などを直接支払っている場合、原則既に支払った治療費等はすべて差し引かれた状態で残りの損害賠償金が被害者に支払われます。
そのため、受け取れる休業損害の金額が数十万円になることが多く、休業による損失額を下回る可能性が高いです。
自賠責保険から休業損害の先払いを受けることはできますが、自賠責保険の範囲内ですべての損失を補うことは難しいでしょう。
(2)裁判所に仮払い仮処分の申立てをする
事故による休業が原因で、生活に支障をきたす可能性が高い場合は、裁判所に仮払い仮処分の申立てをすることもできます。
仮払い仮処分とは、被害者が事故による負傷で生活費などに困窮している場合に、裁判所が加害者に対して、治療費や生活費にかかる費用の仮の支払いを命じる制度です。
被害者が訴訟で勝訴する可能性が高く、かつ、被害者が負傷のため生活に困窮しているなどの緊急性が認められれば、仮払い仮処分が認められます。
休業損害の内払いの交渉が思うように進まず、担当弁護士から仮払い仮処分の申立てを提案された場合に、検討してみましょう。
まとめ
休業損害は先払いを求めることが可能です。
しかし、いずれの手段をとるとしても、手続が複雑で手間がかかり、相手保険会社と交渉をする可能性が高いため、なるべく弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人みずきでは、これまで数多くの交通事故に関するトラブルを解決に導いてきました。
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