後遺障害8級の慰謝料はいくら?認定される具体的な症状についても解説
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「後遺障害8級の認定を受けるには誰に相談したらよいの?」
「後遺障害8級の慰謝料の金額はどれくらいなの?」
後遺障害等級のうち8級に該当する症状には、眼や脊柱、手足の関節に関するものがあります。
事故後から早い段階で弁護士に相談して、認定手続のサポートを受けましょう。
本記事では、後遺障害8級に該当する症状、8級の後遺障害慰謝料や逸失利益の相場、8級の認定手続を弁護士に依頼すべき理由についてご説明します。
1.交通事故による後遺障害等級8級の症状
交通事故による後遺障害等級8級と認定される症状には視力や脊柱、手足や指の関節に関連する後遺症が含まれます。
ここでは具体的な症状例について、わかりやすくご説明します。
(1)1号:1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの
交通事故による怪我で、片目を失明するか、矯正視力が0.02以下になった場合、8級1号に該当します。
8級1号は片眼の障害です。
もう一方の眼に交通事故による影響がないことが大切です。
もし両眼に障害が生じている場合は、別の等級で判断されることになります。
なお、矯正視力とは、メガネやコンタクトレンズを使用した視力のことです。
(2)2号:脊柱に運動障害を残すもの
2号は脊柱(背骨)の運動障害です。
次のいずれかの場合に2号が該当します。
#1:頚椎または胸腰椎のいずれかの可動域が、次のいずれかの理由で参考可動域(通常人の可動域)と比べて2分の1以下になるケース
- 頚椎または胸腰椎に圧迫骨折などがあり、そのことがレントゲンなどの画像で確認できるもの
- 頚椎または胸腰椎にせき椎固定術がおこなわれたもの
- 首・背・腰の筋肉や靭帯などの軟部組織に明らかな器質的変化が確認できるもの
可動域は原則健側(交通事故による影響のない方)との比較により測定します。
しかし、脊柱はひとつしかないことから健側が存在しません。
そのため、参考可動域と比較することになります。
#2:頭蓋骨と上位頸椎間に著しい異常可動性が生じているケース
「上位頸椎」とは、7つある首の骨のうち1番上と2番目までを指します。
脊柱の運動障害における代表的な傷病名は圧迫骨折といわれています。
また、脊柱の圧迫骨折では、運動障害ではなく変形障害が生じることが少なくありません。
中程度の変形障害が生じた場合、等級表上にはありませんが「8級相当」が認定される可能性があります。
(3)3号:1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの
3号は手指の欠損障害です。
片手の親指を含む2本の指、または親指以外の3本の指を失った場合に3号が該当します。
「手指を失ったもの」とは、次のいずれかをいいます。
- 中手骨または基節骨で切断したもの
- 近位指節関節(母指にあたっては指節間関節)の基節骨と中節骨とを離断したもの
(4)4号:1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
4号は手指の機能障害です。
下記いずれかにあてはまる場合に4号が該当します。
片手の親指を含む3本の指、または親指以外の4本の指の第1関節から先の骨の半分以上を失った状態。
もしくは、指の付け根の関節または第2関節(親指は第1関節)の可動範囲が、障害のない指に比べて2分の1以下に制限された状態です。
(5)5号:1下肢を5cm以上短縮したもの
5号は片足の短縮障害です。
交通事故の怪我によって、足の左右の長さを比較した場合に長さが5㎝以上短くなると5号に該当します。
前腸骨棘(股関節近くの骨の出っ張った部分)から下腿内果下端(くるぶしの内側の一番下)までを測り、判断します。
(6)6号:1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
6号は上肢の機能障害です。
片方の上肢の3大関節(肩・肘・手首)のうち1つの関節が次のいずれかの状態になる場合に6号が該当します。
- 関節の強直
- 関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの
「これに近い状態」というのは、他動で可動するものの、自動では健側と比較した関節可動域が10%程度以下になることをいいます。
- 人工関節や人口骨頭の挿入をして、関節の可動域が健側の2分の1以下に制限されているもの
(7)7号:1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
7号は下肢の機能障害です。
片方の下肢の3大関節(股、膝、足)のうち1つの関節が次のいずれかの状態になる場合に7号が該当します。
- 関節の強直
股関節のように主要運動が複数ある場合は、いずれの主要運動も強直している必要があります。
- 関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの
- 人工関節や人口骨頭の挿入をして、関節の可動域が健側の2分の1以下に制限されているもの
(8)8号:1上肢に偽関節を残すもの
8号は上肢の変形障害です。
片方の上肢が下記いずれかにあてはまる場合に8号が該当します。
- 上腕骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもので、時おり硬性補装具を必要とするもの
- 橈骨および尺骨の両方の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもので、時おり硬性補装具を必要とするもの
- 橈骨および尺骨のいずれか一方に癒合不全を残すもので、時折硬性補装具を必要とするもの
上記を偽関節を残す状態といいます。
(9)9号:1下肢に偽関節を残すもの
9号は下肢の変形障害です。
片方の下肢が下記いずれかにあてはまる場合に9号が該当します。
- 大腿骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもので、時おり硬性補装具を必要とするもの
- 脛骨および腓骨の両方の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもので、時おり硬性補装具を必要とするもの
- 脛骨の骨幹部または骨幹端部に癒合不全を残すもので、時おり硬性補装具を必要とするもの
(10)10号:1足の足指の全部を失ったもの
10号は足指の欠損障害です。
交通事故により片足の5本の指をすべて失うと10号に該当します。
「足指を失ったもの」とは、中足指節関節から失ったものをいいます。
つまりは、指の付け根の関節から先までのすべてを失った状態です。
2.後遺障害等級8級で請求できる賠償金の種類と相場
後遺障害8級の認定を受けると、事故の相手方に後遺障害慰謝料と逸失利益を請求できます。
交通事故の相手方の保険会社から提示される金額は、後遺障害慰謝料や逸失利益が自賠責基準という最低ラインの金額であることが多いです。
ここでは、後遺障害慰謝料の相場と逸失利益の算定方法についてご説明します。
(1)後遺障害慰謝料について
後遺障害慰謝料は、後遺障害の等級と慰謝料基準にもとづいて金額が定められています。
慰謝料基準には自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準があり、基準によって慰謝料額の差は大きいです。
この3つの基準のうち最も高額なのは弁護士基準です。
弁護士基準は別名裁判基準といい、裁判所が過去の裁判例をもとに設けた基準です。
弁護士基準で請求するには、弁護士のサポートを得た方がスムーズに進むでしょう。
下記は後遺障害慰謝料の相場です。
自賠責基準 | 331万円 |
任意保険基準 | 保険会社によって異なり公開されていない。自賠責基準と同程度であることが多い。 |
弁護士基準 | 830万円 |
後遺障害慰謝料の相場について詳しく知りたい方は、下記をご参照ください。
(2)逸失利益について
逸失利益とは、後遺障害が残ったことによって生じる将来的な減収に対する賠償です。
逸失利益は下記の計算式から計算します。
基礎収入×労働能力喪失率×喪失期間に対応するライプニッツ係数
基礎収入は、事故に遭った前年の収入や賃金センサスなどをもとに決められます。
また、後遺障害8級の労働能力喪失率は原則45%です。
ライプニッツ係数とは、交通事故に遭わなければ何年間かかけて得たはずの収入が前倒しかつ一括で支払われることによって生じるプラスを控除し、賠償額を実態に近づけるための係数です。
中間利息控除ともいいます。
下記の記事に逸失利益の情報をまとめていますので、参考にしてみてください。
もっとも、後遺障害8級の場合、後遺障害の内容によっては逸失利益が上述の原則どおりとはならないことも少なくありません。
たとえば、デスクワークをしていた方が、下肢の短縮障害で後遺障害8級の認定を受けたとします。
相手方保険会社は、「デスクワークは以前と変わらずできるはずだから労働能力への影響はない」や「影響があったとしても労働能力喪失率は45%ではない」などと争ってくる可能性が高いです。
被害者の方が適切な賠償を獲得するためには、就労状況や後遺障害の症状が被害者に与える影響などの個別具体的な事情をもとに精査し交渉していく必要があります。
交通事故被害者ご自身が交通事故対応のプロである相手方保険会社とわたりあうことは難しいことです。
少しでも良い解決を迎えるためには、弁護士に相談することをお勧めします。
3.後遺障害等級8級の認定手続は弁護士に相談
弁護士のサポートを受けた方が良いのは示談交渉だけではありません。
その前段階である、後遺障害等級認定申請も弁護士に相談・依頼するメリットがあります。
ここでは、後遺障害等級認定申請や異議申立を弁護士に相談した方が良い理由をご説明します。
(1)等級認定のために必要なポイントを抑えた後遺障害診断書を作成できる
後遺障害等級認定申請には「後遺障害診断書」という書類が必要です。後遺障害診断書は、後遺障害等級認定申請においてもっとも大切なもので、医師が作成することができるものです。
ここで注意しなければならないのは、後遺障害診断書を作成する医師は、治療や診断などの専門家であって、後遺障害等級認定基準に精通しているわけではないということです。
後遺障害等級認定においては、ここまでご説明してきたように認定基準が細かく定められています。
適切な等級の認定を受けるためには、それらひとつひとつの症状の裏づけとなる画像所見や検査所見を後遺障害診断書に盛り込んでいく必要があります。
後遺障害等級認定基準や後遺障害等級認定申請に精通した弁護士に申請を任せた場合、弁護士が、あらかじめどのような検査を実施すべきかやどの部位の画像が必要となるかなどをアドバイスすることができます。
そのため、後遺障害等級認定のために必要なポイントを抑えた後遺障害診断書を作成することができます。
(2)後遺障害等級認定申請で被害者請求を使いやすくなる
自賠責保険に後遺障害等級認定申請をする方法は2つあります。
ひとつは、加害者側の任意保険会社が自賠責保険へと申請する「事前認定」、もうひとつは被害者自身が直接自賠責保険会社へ申請する「被害者請求」です。
事前認定のメリットは、被害者は後遺障害診断書の作成のみを手配すればよく、申請手続きが簡単なことです。
反面デメリットとして、加害者側の保険会社は加害者の味方であるため、被害者の後遺障害等級認定申請にあまり親身ではないという点があげられます。
加えて、後遺障害診断書以外の申請に必要な書類はすべて加害者側の保険会社が準備して申請し、被害者の目に触れることはないため、提出書類に不備があったとしても被害者本人は関知することができません。
被害者請求は、被害者が直接必要書類を収集し申請するため、事前認定のデメリットを解消することができます。
しかし、後遺障害等級認定申請に必要な書類は多数あります。
特に、後遺障害8級のように認定等級の高い後遺障害申請ともなると、提出資料は膨大なものとなります。
そのため、後遺障害等級認定の確度を上げるのであれば被害者請求がお勧めではあるものの、交通事故被害者の方がご自身で対応するのはなかなか難しいというのが被害者請求のデメリットといえます。
このデメリットは、後遺障害等級認定申請を弁護士に任せることで解消することができます。
(3)認定結果に納得がいかない場合も弁護士へ
後遺障害等級認定申請の結果に納得がいかない場合は、自賠責保険に異議申立という手続きがあります。
残っている後遺症が適切に評価されていないのではないかとご心配な方は、異議申立をした方がいいのかを確認しておくためにも、弁護士に相談することをおすすめします。
後遺障害等級認定結果の通知書には「別紙」という書面がついていて、そこになぜその認定結果になったのかが記載されています。
弁護士は、その別紙と後遺障害診断書等の申請内容をもとに、異議申立を行った方が良いのかを検討します。
さらに、異議申立に進む場合、弁護士は、補強資料を収集しそれを元に認定結果に対する意見を申立書に盛り込みます。
異議申立の結果、認定結果が覆ることもあります。
特に後遺障害等級認定申請の際に事前認定を用いた方は、示談へと進む前に弁護士に異議申立の必要性について相談することをお勧めします。
まとめ
後遺障害8級にはどのような症状があるのか、また後遺障害8級の認定を受けると賠償金はどの程度になるのかについてご説明しました。
後遺障害8級の後遺障害は日常生活に大きな影響を及ぼすものです。
大きな影響を及ぼすものであるからこそ、適切な賠償を受けておくべきです。
後遺障害等級認定申請や示談交渉は、被害者の方ご本人が対応するにはハードルが高いものです。
交通事故に精通した弁護士に相談・依頼することで、そのハードルは解消することができます。
交通事故でこんなお悩みはありませんか?
交通事故に遭ってしまったけど、
保険会社・相手方とどんな風に対応
すればいいのかわからない・・・
後遺症があるためきちんと賠償を
受けたいけど、後遺障害認定申請や
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