死亡事故で自賠責保険に請求できる保険金は?賠償金を増額させるポイント

執筆者 潮崎 雅士 弁護士

所属 第二東京弁護士会

初動が大事。様々なことに当てはまりますが、法律問題もそうです。しかし、今まで法律問題に関わったことがなく、どうすればよいかわからない方が多いと思います。そうして初動が遅れると、最良の解決は難しくなってしまいます。
逆に相談が早ければ早いほど、より良い解決がしやすくなります。ですので、何かお困りのことがあれば、お早めにご相談ください。皆様の法律問題の最良の解決に向けて全力でサポートさせていただきます。

「死亡事故の場合、自賠責保険にどのような保険金を請求できるのか」
「死亡事故で賠償金を増額させる方法はあるのか」

身内が死亡事故に巻き込まれた方の中には、自賠責保険にどのくらいの賠償金を請求できるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。

自賠責保険に対しては、慰謝料や死亡逸失利益、葬儀費用などを請求することができます。

もっとも、自賠責保険は交通事故の被害者に生じた損害のうち、最低限度の補償を行うことが目的となっているため、十分な補償を受けられない場合もあります。

本記事では、死亡事故で自賠責保険に請求できる保険金や賠償金を増額させる方法についてご説明します。

1.死亡事故で自賠責保険に請求できる保険金

死亡事故で自賠責保険に請求できる保険金には、さまざまなものがあります。

主な保険金の項目は以下の3つです。

死亡事故の場合に自賠責保険に請求できる保険金の項目

  1. 慰謝料
  2. 死亡逸失利益
  3. 葬儀関係費用

順にご紹介します。

(1)慰謝料

慰謝料に関しては、被害者本人が請求できるものと遺族固有のものがあります。

相続人は被害者の一切の財産権を承継するため、遺族固有の慰謝料だけでなく、被害者本人の慰謝料も同時に請求することが可能です。

具体的な金額についてご紹介します。

#1:被害者本人の死亡慰謝料

被害者本人の死亡慰謝料は、自賠責基準では400万円(令和2年3月31日までに発生した事故の場合350万円)です。

また、被害者が亡くなるまでに医療機関で入院や通院による治療を受けていた場合は、傷害(入通院)慰謝料を死亡慰謝料とは別に請求することができます。

傷害(入通院)慰謝料の金額は、4,300円×「通院期間」と「実通院日数の2倍」を比べて少ない方の日数となります。

なお、以下の記事で傷害(入通院)慰謝料の計算方法について詳しく解説しているので、あわせてご参照ください。

2022.10.01

交通事故で通院することになった場合の慰謝料とは?

#2:遺族固有の慰謝料

被害者本人の死亡慰謝料に加え、遺族固有の慰謝料も認められます。

遺族が請求できる慰謝料の金額は、慰謝料請求権者の人数に応じて決まります。

慰謝料請求権者は、被害者の父母(養父母を含みます。)、配偶者および子(養子、認知した子および胎児を含みます。)です。

金額は以下の表のとおりです。

慰謝料請求権者の人数 金額
1人 550万円
2人 650万円
3人以上 750万円
被害者に被扶養者がいる場合 上記に加えて200万円

例えば、被害者に配偶者、未成年の子供が1人いた場合には、慰謝料請求権者の人数は2人であり、被扶養者がいるため、慰謝料の金額は以下のように算定されます。

  • 400万円(被害者本人の慰謝料)+650万円(遺族の慰謝料)+200万円(被扶養者がいることによる加算)=1250万円

(2)死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、被害者が存命していれば将来得られるであろう収入から、存命の場合にかかったであろう生活費を差し引いた分の補償です。

これは、基礎収入や生活費控除率(存命の場合にかかったであろう生活費の割合)等の数値を用いて算出します。

実際の計算式は以下のとおりです。

  • 基礎収入×(1ー生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

就労可能年数に対応するライプニッツ係数」とは、中間利息を控除するために設けられた数値です。

逸失利益は、本来将来にわたって受け取っていくお金ですから、これをまとめて受け取ると、本来よりも早めに運用ができ、被害者が生きていた場合に比べて多くの利息を得られる結果となります。

このもらいすぎになってしまう利息(中間利息)は控除する必要があります。

ライプニッツ係数は中間利息を控除した金額を算出するために用意された数値であり、就労可能年数ごとに決められた数値を用いることで中間利息を控除した金額を算出することができるようになっています。

ライプニッツ係数の具体的な数値は国土交通省のWebサイトで公開されています。

具体的な計算方法については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご参照ください。

2023.05.31

逸失利益をわかりやすく解説!種類や計算方法・発生するケースとは?

(3)葬儀関係費用

葬儀関係にかかった費用も請求することができます。

ただし、100万円の上限が定められているため、それ以上かかっても100万円までしか支払われません。

また、令和2年3月31日までに発生した交通事故の場合は、原則として60万円が上限となり、証拠等により60万円以上かかったことが明らかな場合には、100万円まで支払われるという制度になっています。

いずれの場合も、請求の際に、領収書等の金額を証明する資料を提出する必要があります。

また、香典返しに要した費用も補填されないため、注意が必要です。

2.賠償金を増額させる方法

死亡事故における賠償金の増額を目指すなら、弁護士に相談・依頼することが重要です。

自賠責保険は、交通事故の被害者の損害について、最低限の補償を行うことを目的としており、死亡事故の賠償金に関しては、慰謝料、逸失利益、葬儀費用を合わせて3000万円の上限が定められています。

自賠責保険の上限を超過した部分については、加害者側の任意保険会社に請求することが可能です。

しかし、任意保険会社が用いる任意保険基準は自賠責保険で用いられる自賠責基準と同額かやや上回る金額を算出する基準にとどまるため、十分な賠償金を受け取れていないと感じてしまうことも多いと思われます。

しかし、弁護士に対応を依頼すれば、最も高い金額を算出できる算定基準の裁判所(弁護士)基準による賠償金を請求できるため、自賠責基準による賠償金に比べて大きな増額を期待できます。

例えば、裁判所(弁護士)基準で算定した場合の被害者本人の死亡慰謝料と遺族固有の慰謝料の相場は、以下のとおりです。

家庭内の立場 慰謝料金額目安
家計の中心 2800万円
母親、配偶者 2500万円
その他 2000万円~2500万円

また、葬儀費用についても、裁判所(弁護士)基準の上限は150万円となっています。

自賠責基準のような上限はなく、基準となる金額も大きく異なっていますので、3000万円を超える請求が認められる可能性は十分にあります。

3.弁護士に相談するタイミング

債務整理に関する悩みは弁護士に相談する

交通事故の案件は、加害者側と示談が成立するまでの間であれば、いつでも弁護士に相談することができます。

弁護士への相談が早いほど柔軟に対応を進めることができるため、なるべく早めに相談するのがおすすめです。

死亡事故の場合は、四十九日法要が終わったころに加害者側の任意保険会社から連絡が入る傾向があります。

加害者側から連絡がきたあとに示談交渉に入るので、そのタイミングで弁護士に相談してみましょう。

まとめ

身内が死亡事故に巻き込まれた場合、自賠責保険会社から賠償金を受け取ることができます。

遺族固有の慰謝料だけでなく、被害者本人が請求できるはずだった分の慰謝料まであわせて受け取ることが可能です。

また、遺族の人数に応じて支払われる金額が増加する点も押さえておきましょう。

もっとも、自賠責保険の場合は、最低補償しか支払われないため、賠償金の増加を図りたい方は弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士法人みずきでは、交通事故に関する相談を無料で受け付けておりますので、身内が死亡事故に巻き込まれて困っている方はお気軽にご相談ください。

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執筆者 潮崎 雅士 弁護士

所属 第二東京弁護士会

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