自賠責保険は被害者請求がおすすめ?必要書類と請求の仕方について解説
「自賠責保険への被害者請求って何?」
「『後遺障害等級認定申請』は被害者請求がオススメときいたけれども、どうやってやるの?」
「後遺症が残ってしまった。後遺障害等級の獲得の確度を少しでも上げたい」
「加害者が任意保険に入っていなかった!治療費は自分で負担しないといけない?」
本記事は、このようなお悩みを抱えている方に向けて、自賠責保険の被害者請求のメリットや必要書類、手続の流れについて解説します。
交通事故にあったとしても、必ずしも自賠責保険への被害者請求をする必要はありません。
なぜなら、加害者が任意保険に入っていれば、その任意保険会社が行ってくれるからです。
しかし、後遺症が残ったときや、事故態様などに争点があって任意保険会社が一括対応を行わないとき、また死亡事故で捜査に時間を要していて経済的に困窮しているときなどは、被害者請求を使った方がいいケースも少なくありません。
被害者請求に興味がある方、被害者請求をしたいとお考えの方、この記事を読んで被害者請求を行う際の参考にしていただければ幸いです。
1.被害者請求と加害者請求(事前認定)
「被害者請求」と「加害者請求」は、自賠責保険への請求方法です。
自賠責保険とは、自動車の運行による人身事故の被害者を救済するための保険です。
自賠責保険は、自動車損害賠償保障法(自賠法)という法律によって、原則すべての自動車が契約することを義務付けられています。そのため、別名「強制保険」ともいわれています。
自賠責保険は被害者保護を目的とした補償制度的な要素が強く、迅速・公平な処理ができる保険です。
つまり、「最低限の補償が可能な限り早く欲しい」「公平な認定が欲しい」というニーズに応えられるといえます。
(1)被害者請求とは
自賠責保険へ請求することができる損害は、大きく分類すると①傷害、②後遺障害、③死亡の3つです。
そして、自賠責保険への請求は、自賠責保険の契約者(加害者)と交通事故の被害者の双方から行うことができます。
このうち、被害者側からの請求のことを「被害者請求」といいます。
自賠法16条に記載されていることから、実務上「16条請求」と呼ばれることもあります。
被害者請求においては、以下のものを請求することができます。
①傷害の損害費目
・治療費
診察料、入院料などの医師の治療に要した費用
柔道整復師の施術費などの費用
・通院費
入通院に要した交通費実費
・看護料
入院時、12歳以下の子供に付き添った場合に、原則1日4,200円
通院時、12歳以下の子供に付き添った場合に、原則1日2,100円
・義肢などの装具費用
・休業損害
事故による傷害のために発生した収入の減少分として、原則1日6,100円
・慰謝料
精神的、肉体的な苦痛に対する補償として、原則1日あたり4,300円
(対象となる日数は、治療期間に相当する日数と、実通院日数の2倍のどちらか少ない方)
・文書料
診断書、診療報酬明細書などの取得費用
傷害の請求については、すべての項目を合わせて120万円が上限となっています。
②後遺障害の損害費目
・逸失利益
後遺障害により労働能力が減少したために将来発生するであろう収入の減少分を、事故前の収入額、各後遺障害等級(14級~1級)に応じた労働能力喪失率および就労可能年数から算出します。
・慰謝料
各後遺障害等級に応じて決められた金額(32万円~1650万円)が支払われます。
・初期費用など
介護を要する後遺障害(自動車損害賠償保障法施行令別表第1)に該当する場合、1級:500万円、2級:205万円が加算されます。
後遺障害の請求については、後遺障害等級に応じて75万円から4000万円までの上限が定められています。
③死亡の損害費目
・葬儀費
通夜、告別式、祭壇、火葬、埋葬、墓石などに要する費用として、100万円
ただし、墓地、永代供養、年忌供養香典返しなどの費用は対象外です。
・逸失利益
被害者が死亡しなければ将来得られたであろう収入額から本人の生活費を控除したものを、事故前の収入額、就労可能年数、扶養の有無などから算出します。
・慰謝料
死亡した被害者本人の慰謝料と遺族(被害者の父母、配偶者、子)の慰謝料に分かれます。
遺族の慰謝料は、人数によって金額が変動します。
被害者本人の慰謝料 | 400万円 |
遺族の慰謝料 | 1名の場合・・・・・・550万円
2名の場合・・・・・・650万円 3名以上の場合・・・・・・750万円 被害者に被扶養者がいる場合は200万円が加算されます。 |
#1:被害者請求を利用することを加害者側に了承してもらう必要は?
被害者請求をするために加害者から承諾を得る必要はありません。
しかし、請求にあたっては、加害者が加入している自賠責保険の保険会社名と証明書番号を確認しておく必要があります。
これらは、警察に事故処理をしてもらうことによって発行される「交通事故証明書」という書類に記載されています。
#2:被害者請求を利用したことを加害者側に知られるのか?
これは請求内容によって異なりますが、基本的に知られることになります。
自賠責保険は支払をするにあたって、二重払いとならないために、今回の交通事故の損害について、誰がいくら支払っているのかの確認を行います。
この確認のために加害者側へ連絡が行われるため、被害者請求を利用したことは、加害者に知られることとなります。
(2)加害者請求(事前認定)
加害者請求は、その名のとおり、加害者(自賠責保険の被保険者)が保険金の請求を行うものです。
これは、加害者が被害者に対して支払った後にしかすることができません。
もしも先に請求することができた場合、「支払うつもりだから」と加害者が保険金を受け取っておきながら着服するというリスクがありますから、当然のことですよね。
しかし一方で、加害者としては、「支払ったとしても後で自賠責保険からいくら支払われるか分からない」という状況の場合、支払いに二の足を踏むことが想像できます。
そうなってしまうと、被害者は全ての場合で被害者請求を行わなければならず、非常に多大な労力を押し付けられてしまいます。
そのため、加害者は自分が支払う前に「事前認定」といって、自賠責保険が保険金を支払える内容なのかを確かめることができます。
加害者が支払をする「事前」に、支払えるのかを「認定」する手続ということですね。
事前認定は、このように「自賠責保険が支払を認めるか分からない」という場合に行われるものですので、主に以下のような場合に採られます。
- 怪我をしたかどうか疑わしい場合
- 怪我の内容や部位が疑わしい場合
- 完治せずに後遺症が残っている場合
被害者側から見た加害者請求(事前認定)の最大のメリットは、書類収集などの手続のほとんどを加害者側の任意保険会社が行うため、被害者の負担が少ないということです。
しかし、だからといって任せきりにしていてはいけない場合もあります。
以下、事前認定を利用する場合に注意すべき点についてご説明します。
(3)事前認定を使う場合の注意点
#1:被害者は申請書類をチェックすることができない
事前認定手続を行う主体は、加害者側の任意保険会社です。
そのため、被害者に有利な書類を収集してくれることを期待できません。
任意保険会社が十分に書類を収集していなかったり、被害者に不利になるような資料をあえて添付していたりしても、被害者自身はこれに関与することができません。
特に、後遺障害については認定を受けられるか否かで大きく損害額が変わってきますが、適正な後遺障害等級の認定を受けられるのかわからない点が、事前認定のデメリットです。
#2:被害者は解決時まで賠償金を受け取ることができない
事前認定は、あくまで加害者の支払をする前の認定です。
そのため、その結果が出た後に、加害者との間で示談交渉を行わなければなりません。
他方で、被害者請求の場合は、認定を受けられた場合、直接自賠責基準の保険金が被害者に支払われることになります。
そのため、一部でも早く受け取りたい、といった状況の場合には、事前認定は向かないということになります。
(4)被害者請求を利用すべきケース
事前認定の手続は被害者にとって簡易であるため、利用しやすい面があります。
しかし、上記の注意点を踏まえると、次の3つの場合には、被害者請求を利用するメリットが特に大きいことから、被害者請求の利用を積極的に検討するとよいでしょう。
#1:後遺障害等級認定申請
後遺障害は、認定されるか否かで賠償金に100万円以上の差が出てくることがほとんどです。
そのため、少しでも認定される可能性を上げられる手続を選ぶ方がよいでしょう。
この点、事前認定では、被害者に不利な資料をつけられてしまうリスクなどがありますから、被害者請求によってそのリスクを避けていくべきです。
書類を全て自身で収集、作成するのは負担になりますが、弁護士に依頼して手続を任せることによって解消できます。
症状が完治せずに後遺障害等級認定申請をする場合には、弁護士に依頼して被害者請求をすることがおすすめです。
#2:加害者が任意保険に加入していない
加害者が任意保険に加入していない場合、当然加害者側の保険会社が示談や事前認定手続の代行を行うことはありません。
この場合、加害者本人が資力にかなり余裕があるような場合を除き、加害者が先に賠償金を支払うことは望めません。
そのため、被害者請求を行うしかなくなります。
また、被害者請求は、示談成立前であっても利用することができます。
たとえば1か月ごとに治療費を被害者請求で回収していくなどの方法を取ることもできますので、被害者の負担を軽減することができます。
#3:加害者側任意保険が対応をしない場合
加害者が任意保険に加入はしているが、事実関係などに争いがあって対応をしない場合もあります。
多くの場合、争いがあったとしても、加害者側の任意保険会社が事前認定を行い、その結果に従った対応をしてくれます。
しかし、争点が大きい場合には、そのような手続をすることなく、一切の対応をしないとされてしまう場合もあるのです。
具体的には、以下のようなことが想定されます。
- 車両の損傷が著しく軽微であるため、怪我をしたことが認められない
- 事故前から通院歴があり、本件事故による怪我ではない
- 事故態様に大きな争いがあり、被害者側の過失割合の方が大きくなる
これらの場合には、任意保険が対応してくれないこともあるため、被害者自身で直接自賠責に対して被害者請求を行う必要が生じます。
この際、自賠責保険で認められると、加害者側の保険会社が対応を開始することもありますので、粛々と進めていくことが大切です。
2.被害者請求の必要書類と取得・作成方法
自賠責保険への請求は、上述したように、
- 傷害
- 後遺障害
- 死亡
の3種類があります。
それぞれのケースについて、必要な書類とその取得方法について、以下、ご説明します。
#1:傷害
傷害の請求にあたって必要なのは、以下の書類です。
- 支払請求書兼支払指図書
- 交通事故証明書
- 印鑑登録証明書
- 事故発生状況報告書
- 治療関係書類
- 通院交通費明細書
- 休業損害に関する資料
以下で主な書類についてご説明します。
①支払請求書兼支払指図書
これは、被害者が、加害者の保険会社に対し、被害者請求制度を利用して損害賠償の支払を請求するための請求書です。
支払先の口座情報を記載するとともに、市区町村に印鑑登録をした実印を押印する必要があります。
②交通事故証明書
交通事故証明書は、自動車安全運転センターから入手できます。
申込方法は、ホームページ、郵送、窓口の3種類があります。
手数料や申請方法など、詳しくは、自動車安全運転センターのホームページをご確認下さい。
(リンク、自動車安全運転センター(https://www.jsdc.or.jp/))
③印鑑登録証明書
お住まいの市区町村役場から入手します。
もしも実印登録をしていない場合には、登録をしましょう。
④事故発生状況報告書
交通事故が発生した状況を、保険会社に説明するための書類です。この書類には、交通事故が発生した状況を、図解する必要があります。
また、この書類は、重過失減額の有無の判断に使われるため、正確に記載する必要があります。
できれば、信号や標識の内容・有無、制限速度や道幅など、事故現場の状況を忘れないようにメモを残しておけるとよいでしょう。
⑤治療関係書類
診断書、診療報酬明細書など、診療内容や傷病名、治療日数などを記載された書類が必要になります。
医師が作成する診断書、診療報酬明細書、薬局が作成する調剤報酬明細書などがこれに該当します。
このほか、整骨院で施術を受けていた方については柔道整復師が作成する施術証明書・施術費明細書も必要となります。
これらの書式は、保険会社が用意していますので、これを入手した上で、怪我の治療のために受診した病院などに記載してもらいます。
発行手数料は医療機関などにより異なりますが、これも自賠責保険からの支払いの対象になります。
⑥通院交通費明細書
入退院、通院時にどのような交通機関を使用したのかを、証明する書類です。
被害者がご自身で記入することになりますので、利用した駅、バス停名などのメモを残しておくとよいでしょう。
入退院、通院時に使用したタクシーや駐車場、有料道路などの料金を請求する場合は、領収書も併せて提出する必要があります。
⑦休業損害に関する資料
ⅰ.給与所得者・・・・・・休業損害証明書、事故前年の源泉徴収票
休業損害証明書は、給与所得者の休業損害額を証明するために、勤務先に作成してもらう書類です。
欠勤日数や事故前3か月の各月の給与支給額などを記載する必要があります。
源泉徴収票は、実際にどの程度の収入がある人なのかを確認するために公的資料として提出します。
給与所得者であれば、勤務先から毎年受け取ることになる書類です。
失くした場合は、勤務先に再発行を受けるほか、役所で発行される所得証明書(課税証明書)で代替することも可能です。
ⅱ.自営業者・・・・・・確定申告書控え、会計帳簿など
自営業者は、確定申告書の控え、会計帳簿などの資料から、減収や前年度の所得を証明する必要があります。
ⅲ.家事従事者・・・・・・住民票(世帯全員の記載のあるもの)、前年度の収入の資料(非課税証明書、源泉徴収票など)
家事従事者の場合、家事従事者であることを証明するために、世帯全員の記載がある住民票により、同居人のために家事を行っていることを証明する必要があります。
また、兼業主婦の場合は、前年度の収入の資料が必要になることもあります。
#2:後遺障害
後遺障害の請求にあたっては、上記の⑤診療関係書類に加えて、後遺障害診断書を提出する必要があります。
これは、事故後に通院していた病院の医師に作成してもらうことになります。
#3:死亡
死亡時の請求にあたっては、上記①から⑦に加えて、次の書類が必要になります。
- 死亡診断書又は死体検案書
- 委任状
請求権のある方が複数の場合、代表請求者に手続を委任することになります。
そのため、代表請求者を除く請求権のある方全員の委任状が必要です。
- 戸籍謄本
被害者の省略のない戸籍(除籍)謄本が必要になります。
また、③印鑑登録証明書は、代表請求者と委任者全員分が必要です。
死亡事案の場合、請求を行うのは相続人になります。
そのため、請求できる相続人が複数人いる場合には、その人数分の委任状や印鑑登録証明書が必要となるのです。
傷害、後遺障害、死亡のいずれの場合も、被害者が未成年であり、その親権者が請求する場合は被害者である未成年者の戸籍抄本または住民票が必要になります。
3.被害者請求の流れ
被害者請求は、どのように進めていけば良いでしょうか。
上述したとおり、自賠責保険に請求できるのは「傷害」「後遺障害」「死亡」の3つがありますが、ここでは、被害者請求がオススメな「後遺障害」の被害者請求を例に解説します。
(1)治療終了から申請までの流れ
被害者請求の申請までの流れは、
- 治療を受ける
- 自賠責保険会社の特定・書式の取り寄せ
- 後遺障害診断書の作成・必要書類の収集
- 自賠責保険への申請
です。
それぞれについて以下でご説明します。
#1:治療を受ける
医療機関において、症状固定(治療を継続してもそれ以上症状の改善が望めなくなった状態)となるまで、治療を続けます。
#2:自賠責保険会社の特定・書式の取り寄せ
被害者請求の請求先は、加害者の自賠責保険の保険会社です。
交通事故証明書の記載を確認しましょう。
また、自賠責保険の窓口に連絡し申請することで、被害者請求に必要となる書式を取り寄せることができます。
#3:後遺障害診断書の作成・必要書類の収集
症状固定の状態となったら、取り寄せた書式を使って、診断書・診療報酬明細書・後遺障害診断書を、受診している医療機関の医師に作成してもらいます。
もっとも加害者の任意保険が対応している場合には、診断書と診療報酬明細書は既に加害者の任意保険会社が持っているため、後遺障害診断書のみで足ります。
後遺障害診断書は、認定審査の中でも重要な書類となるため、ここで必要十分な内容の記載をしてもらう必要があります。
そのほかの必要書類も作成、収集を進めます。
#4:自賠責保険への申請
請求に必要な書類をそろえたら、加害者の自賠責保険会社へ郵送で提出します。
(2)申請から支払いまでの流れ
書類が自賠責保険会社に受理されると、書類は第三者機関である損害保険料率算出機構の下部機関である自賠責損害調査事務所に送付され、そこで審査が行われます。
この審査期間は、統計上、2か月以内に終わることが多いとされています。
もっとも、これは事前認定も含んだものであり、適切に調査をしてもらう場合には、より時間がかかることも少なくありません。
特に、重度後遺障害の場合には、より長く時間を要します。
審査が終了すると、調査事務所から自賠責保険会社に調査結果が報告され、自賠責保険会社から被害者に対し、結果の通知が行われます。
請求が認められ、後遺障害等級の認定を受けられれば、保険金が支払われます。
請求が認められなかった場合はその旨の通知だけが行われます。
4.被害者請求を行う際の注意点
被害者請求を行う際の注意点についてご説明します。
(1)期間制限は3年
被害者請求は請求できる期間に制限があります。
それぞれ以下のとおりです。
- 傷害に関する損害については、事故日の翌日から3年間
- 後遺障害に関する損害については、症状固定日の翌日から3年間
- 死亡に関する損害については、死亡日の翌日から3年間
※平成22年3月31日までに発生した事故の場合には、2年間
(2)申請に手間がかかるほか、専門知識が必要になる場合があること
ここまでご説明してきたとおり、被害者請求は各種の資料を自身で作成・取得をする必要があります。
特に、後遺障害診断書は、対象となる症状ごとに、必要な検査結果や添付資料を準備する必要があります。
たとえば、高次脳機能障害の場合には、事故後の意識障害の有無やその程度についての書類、知能検査の結果、日常生活における報告書など、追加で必要となるものが多数あります。
どのような症状の時にはどのような資料をつけるべきなのかは専門知識を元とした判断を要します。
(3)自賠責保険からの補償は最低限の金額
冒頭でも述べたとおり、自賠責保険は、交通事故被害者のための補償制度的な要素が強い保険です。
気をつけなければならないのは、自賠責保険から補償される金額は、最低限の金額であるということです。
裁判基準により算定される補償額と比べるとその金額は低いと言わざるを得ません。
以下で具体的に比較をしてみましょう。
【具体例】
30歳男性 年収400万円
追突事故によりむちうちになる
治療期間180日間、内実通院日数60日
治療費60万円を要したものの症状残存
後遺障害等級14級の認定を受けた場合
#1:自賠責保険基準
治 療 費:60万円
傷害慰謝料:51万6000円(4300円×60日×2)
後遺障害分:75万円(後遺障害慰謝料・逸失利益含む)
合 計:186万6000円
自賠責保険の慰謝料の計算方法は、治療日数の2倍と治療期間のうち、少ない方となります。
今回のケースでは、治療日数の2倍が120日であり、治療期間の180日と比べ、120日が採用されます。
その結果、期間としては6か月間通っていたものの、4か月相当の日数分の慰謝料額という計算結果となりました。
#2:裁判基準
治 療 費:60万円
傷害慰謝料:89万円
後遺障害慰謝料:110万円
逸失利益:91万5940円
合計:350万5940円
裁判基準では、実費である治療費以外の損害額が増額していることが分かります。
裁判基準は、あまりにも治療日数が少なくない限り、原則として治療の期間で慰謝料の計算がなされます。
また、後遺障害の部分でも、大きな増額が図れます。
このように、自賠責保険基準と裁判基準とでは大きな違いが出ることがあります。
任意保険会社は、被害者が情報を持っていないと踏んで、自賠責基準で示談金の提示をしてくることがあります。
示談交渉の際は、裁判基準で解決することができるよう、弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、被害者請求の内容や手続の流れ、必要な書類についてご説明しました。
加害者が任意保険に加入していれば、自賠責保険に対して被害者請求をしなければならない場面はあまりありません。
しかし、加害者が任意保険に加入していない場合や、加入していたとしても対応が悪い場合、そして後遺障害申請をする場合には、被害者請求を行うメリットがあることが分かっていただけたかと思います。
もっとも、被害者請求を行うためには、書類の準備や内容の精査など、その労力は軽いとはいえません。このため、身体的にも精神的にも困難な状態にある被害者にとっては、おひとりで手続を進めるには負担が大きい面があるといえます。
そこで、被害者請求をご検討されている方には、弁護士がお手伝いさせていただきます。
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