過失割合が8対2のときに自賠責保険に請求できる慰謝料は?
「過失割合が8対2のときの保険対応はどうなるのか」
「過失割合が8対2のときの慰謝料はどのように請求するのか」
加害者と被害者の過失割合が8対2となる事故の被害者の中には、保険対応がどのようになるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、過失割合が8対2のときに自賠責保険へ請求できる金額や過失割合を決めるときの注意点、請求する方法等についてご紹介します。
1.過失割合が8対2のときに自賠責保険へ請求できる金額
自賠責保険に対しては、被害者からの請求により、自賠責保険の基準にしたがって、保険金を受け取ることができます。
自賠責保険から保険金の支払を受ける場合、過失割合による影響が小さくなっています。
自賠責保険から支払われる慰謝料の算出方法とあわせて、くわしくご説明します。
(1)自賠責保険基準による慰謝料の計算
自賠責保険から支払を受けられる金額についてご紹介します。
自賠責保険からは、傷害、後遺障害、死亡の3つのカテゴリごとに、それぞれの基準に従った保険金の支払を受けることができます。
傷害については、全部で120万円という上限はありますが、治療費、通院交通費、慰謝料などの損害について自賠責保険から支払ってもらえます。
このうち、傷害の慰謝料については、下記の日数のうち、少ない方1日につき4,300円の支払を受けることが可能です。
- 入通院期間
- 実際の入通院日数×2
例えば、治療終了まで半年(180日)かかり、その間60日通院していたという場合、実通院日数を2倍した120日の方が通院期間180日よりも少なくなりますので、慰謝料の金額は、
4,300円×120日=516,000円
となります。
(2)過失割合が8対2の場合の自賠責保険からの支払
過失割合が8対2の場合、加害者からの支払については、被害者の損害額の8割から加害者の損害額の2割を差し引いた分が賠償額になります。
たとえば、被害者の損害が100万円、加害者の損害が100万円で、過失割合が8対2の場合、被害者が請求できるのは、被害者の損害の80%の80万円から、加害者の損害の20%の20万円を差し引いた60万円ということになります。
一方で、自賠責保険からの支払の場合は、請求者の過失が7割以上の場合に重過失減額という形で一定割合が減額される扱いとなっています。
したがって、被害者の過失が2割の場合は、自賠責保険からの支払が減額されることはありません。
2.過失割合が8対2になるケース
過失割合が8対2になるケースはいくつか考えられます。
主なパターンは以下のとおりです。
当事者関係 | 内容 |
---|---|
四輪車同士 | ・信号のない交差点における直進車と対向右折車の衝突 直進車20% 対向右折車80% ・交差点における双方対面青信号での直進車と対向右折車の衝突 直進車20% 対抗右折車80% |
四輪車と二輪車 | ・先行する四輪車の進路変更による衝突 後続二輪車20% 先行四輪車80% ・四輪車が狭い道、二輪車が広い道から同程度の速度で進入した交差点における出合い頭衝突 二輪車20% 四輪車80% |
四輪車・二輪車 と自転車 |
・信号のなく同幅員の道路の交差点で衝突 自転車20% 四輪車・二輪車80% ・先行する四輪車・二輪車の進路変更による自転車との衝突 後続自転車20% 先行四輪車・二輪車80% |
四輪車・二輪車 と歩行者 |
・交差点以外の道路で横断中の歩行者に衝突 歩行者20% 四輪車・二輪車80% |
事故態様が上記に該当する場合は、過失割合が8対2になる可能性が高いです。
ただし、状況によっては修正要素が認められ、8対2以外の過失割合になる場合もあります。
以下の記事で具体的に説明しているので、あわせてご覧ください。
3.過失割合を決めるときの注意点
過失割合は、2に挙げたような類型をもとに、被害者と加害者双方での話し合いをして決めることになります。
話し合いでまとまらなければ訴訟によって裁判所の判断に任せることになります。
このうち、話し合いの段階では、以下のような注意点があります。
- 相手方の任意保険は加害者に有利な過失割合を提示してくる
- 解決まで時間がかかる可能性がある
順にご説明します。
(1)相手方の任意保険は加害者に有利な過失割合を提示してくる
過失割合は修正要素によって基本割合から修正されることがあるため、2でご紹介したケースに該当していても過失割合が8対2にならない場合があります。
基本的には、加害者の任意保険会社は加害者側の立場で交渉を行ってくるため、被害者に不利な修正要素を主張して、加害者の過失割合を下げようとしてくる可能性があります。
相手方任意保険会社は、被害者側の過失を積極的に指摘するので、ドライブレコーダーや目撃者の証言など客観的証拠を提出して、類型どおりの過失割合となるべきことを主張していくことになります。
逆に加害者に不利な修正要素を立証できれば、8対2から9対1や10対0までもっていくことができる場合もあるでしょう。
相手の主張に納得がいかないという場合は、相手の主張が正しいか、修正要素があるかどうかなどについて弁護士に相談するのがよいでしょう。
(2)解決まで時間がかかる可能性がある
加害者の中にはあえてゴネ得を狙って、決着を長引かせる人が出てくる可能性があります。
ゴネ得とは、加害者が話を長引かせることによってしびれを切らした被害者が折れて、加害者が得することです。
最終的には訴訟という手段があるとはいえ、解決まで時間がかかってしまいますので、被害者の中には折れてしまう人もいるとは思います。
しかしながら、そのような相手の要求に応じるのは損しかありません。
明らかに間違った主張をしてくる加害者の要求に応じる必要はありません。
物的証拠を提示するなどして、適切な過失割合を主張し続けましょう。
まとめ
過失割合が8対2の場合は、損害額の全額を加害者側に請求することはできません。
被害者の損害額の8割から加害者の損害額の2割が差し引かれた分が請求可能な金額です。
ただし、自賠責保険への請求金額については影響を受けないようになっています。
過失割合は加害者との話し合いで決まることもあるため、過失割合が8対2のケースに該当している場合でも、修正要素により過失割合が変動する場合があります。
ドライブレコーダーなどの物的証拠をもとに被害者の過失が小さいことを主張することが大切です。
もし交渉を有利に進めたい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
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