出会い頭事故の過失割合は?修正要素についても解説
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「出会い頭に衝突事故に巻き込まれた場合、過失割合はどのように決まる?」
「過失割合が決まる要素や、過失割合に納得できない場合の対処法が知りたい」
出会い頭事故に遭ってしまった方の中には、このような疑問をお持ちの方もいるかと思います。
本記事では、出会い頭の事故における具体的な過失割合や過失割合を決定する要素などについて解説します。
この記事を読んで、出会い頭の事故の過失割合についての判断基準や考慮要素を把握し、示談交渉を有利に進めて適切な賠償を獲得するための参考となれば幸いです。
1.車同士の出会い頭の事故の過失割合
出会い頭事故とは、別々の方向から進入してきた車や単車、人が交差する際に衝突する事故をいいます。
同じ出会い頭事故であっても、過失割合は信号の有無等の事情によって異なるので、よくある事案ごとに過失割合をご説明します。
まずは、車同士の事故の過失割合をご説明します。
(1)信号機のある交差点での出会い頭の事故の場合
信号機のある交差点では、信号の色によって過失割合が変わります。
具体的には下表のとおりです。
片方の信号の色 | 片方の信号の色 | 過失割合 |
赤 | 青 | 100:0 |
赤 | 黄 | 80:20 |
赤 | 赤 | 50:50 |
信号は最も重要な規制なので、青信号を守っている限り過失割合は発生しません。
(2)信号機のない交差点での出会い頭の事故の場合
信号機が設置されていない交差点の場合には、道路の状況によって過失割合が変わります。
具体的には、以下の要素から決定されます。
- 速度
- 一方通行規制
- 道幅
- 一時停止規制
- 優先道路
それぞれについてご説明します。
#1:走行速度の違い
走行速度の違いによる過失割合は下表のとおりです。
左方車側 | 右方車側 | 左方車:右方車の過失割合 |
同程度の速度 | 40:60 | |
減速せず | 減速 | 60:40 |
減速 | 減速せず | 20:80 |
道路の道幅が同じ場合、お互い様だと感じてしまうかもしれませんが、そうではありません。
日本の車道は左側通行なので、右側の車の方が衝突するまでの距離が長くなります。
そのため、右方車の方が危険の察知や回避をしやすいと考えられ、左方優先とされています。
もっとも、交差点に進入する際に減速をして注意を払っている場合には、その分過失が軽くなるため、右方左方だけでなく、速度も重要となります。
#2:一方通行違反があるケース
一方通行違反がある場合の過失割合は下表のとおりです。
無違反車 | 違反車 | 過失割合 |
20:80 |
一方通行違反は、明確な法規違反であり、その過失は大きいと言わざるを得ません。
しかし、一方の車両に一方通行違反があったとしても、他方の車両が交差点進入時の安全確認義務を怠って良いわけではないので、0にはならずに20%の基本過失割合が認められます。
#3:交差する道路の一方の道幅が明らかに広いケース
道幅の違いによる過失割合は下表のとおりです。
広路車 | 狭路車 | 過失割合 |
同程度の速度 | 30:70 | |
減速せず | 減速 | 40:60 |
減速 | 減速せず | 20:80 |
道路の道幅が明らかに異なる場合、道幅が広い道路を走行している車両が優先されます。
もっとも、狭い道路側に交通規制があるわけではないため、双方が注意しなければならないことには変わりありません。
減速をして安全確認しながら交差点進入した場合には、より過失割合が軽くなります。
#4:一方の道路に一時停止の規制があるケース
一時停止規制がある場合の過失割合は下表のとおりです。
規制なし | 規制あり | 過失割合 |
同程度の速度 | 20:80 | |
減速せず | 減速 | 30:70 |
減速 | 減速せず | 10:90 |
一時停止後進入 | 40:60 |
一時停止規制がある場合、しっかりと停止線の手前で停止する必要があります。
そのため、例え交差点進入時に減速したとしても、一時停止違反がある場合には過失割合が高くなります。
また、しっかりと一時停止をしたとしても、事故が発生した以上安全確認に不足があったと考えられるので、一時停止をしたとしても過失割合が高くなってしまいます。
#5:一方の道路が優先道路のケース
優先道路と劣後道路の過失割合は下表のとおりです。
優先車 | 劣後車 | 過失割合 |
10:90 |
優先道路とは、道路標識等で優先道路として指定されているものや交差点において道路標識等で中央線または車両通行帯が設けられている道路のことです。
この場合、優先道路を走行している車両は、見通しの悪い交差点であったとしても徐行義務がないため、過失はかなり低くなります。
ただし、徐行義務がなくても交差点安全進行義務はあるため、10%の過失が認められることになります。
2.車と単車の出会い頭の事故の過失割合
ここでは、車と単車の事故の過失割合をご説明します。
単車より車の方が違反した際の危険が大きいことや、単車の方が転倒の危険があり急停車しにくいことから、基本的に車の方が高い過失割合となっています。
(1)信号機のある交差点での出会い頭の事故の場合
信号機のある交差点では、車同士のときと同じように信号の色によって過失割合が変わります。
具体的には下表のとおりです。
単車の信号の色 | 車の信号の色 | 過失割合 |
青 | 赤 | 0:100 |
赤 | 青 | 100:0 |
黄 | 赤 | 10:90 |
赤 | 黄 | 70:30 |
赤 | 赤 | 40:60 |
車同士と比べると、赤信号同士や赤と黄色の場合には、過失割合が単車の方に10%有利になっていることに注意しましょう。
(2)信号機のない交差点での出会い頭の事故の場合
信号機のない交差点の場合は、以下の要素によって過失割合が異なります。
- 速度
- 一方通行規制
- 道幅
- 一時停止規制
- 優先道路
それぞれについてご説明します。
#1:走行速度の違い
走行速度の違いによる過失割合は下表のとおりです。
単車左方 | 車右方 | 過失割合 |
同程度の速度 | 30:70 | |
減速 | 減速せず | 15:85 |
減速せず | 減速 | 45:55 |
単車右方 | 車左方 | 過失割合 |
同程度の速度 | 50:50 | |
減速 | 減速せず | 35:65 |
減速せず | 減速 | 60:40 |
単車と車の事故であっても左方優先は適用されます。
とはいえ車同士の事故に比べると、単車に少し有利になっているのが分かるかと思います。
#2:一方通行違反があるケース
一方通行違反がある場合の過失割合は下表のとおりです。
単車 | 車 | 過失割合 |
無違反 | 違反 | 10:90 |
違反 | 無違反 | 70:30 |
単車であるとしても、一方通行規制に反した場合には大きな過失が認められます。
#3:交差する道路の一方の道幅が明らかに広いケース
道幅の違う場合の過失割合は下表のとおりです。
単車広路 | 車狭路 | 過失割合 |
同程度の速度 | 20:80 | |
減速 | 減速せず | 10:90 |
減速せず | 減速 | 30:70 |
単車狭路 | 車広路 | 過失割合 |
同程度の速度 | 60:40 | |
減速 | 減速せず | 50:50 |
減速せず | 減速 | 75:25 |
前述したとおり、道路が広い方が優先されます。
#4:一方の道路に一時停止の規制があるケース
一時停止違反がある場合の過失割合は下表のとおりです。
単車規制なし | 車規制あり | 過失割合 |
同程度の速度 | 15:85 | |
減速 | 減速 | 10:90 |
減速せず | 減速 | 25:75 |
一時停止後進入 | 35:65 |
単車規制あり | 車規制なし | 過失割合 |
同程度の速度 | 65:35 | |
減速 | 減速せず | 55:45 |
減速せず | 減速 | 80:20 |
一時停止後進入 | 45:55 |
一時停止違反の過失は大きいので、単車であっても過失割合は大きくなります。
#5:一方の道路が優先道路のケース
優先道路と劣後道路の過失割合は下表のとおりです。
単車 | 車 | 過失割合 |
優先 | 劣後 | 10:90 |
劣後 | 優先 | 70:30 |
優先道路は徐行義務がないため、劣後道路の過失割合が大きくなります。
単車であったとしても大きな過失割合が取られるので要注意です。
3.車と自転車の出会い頭の事故の過失割合
ここでは、車と自転車の事故の過失割合をご説明します。
自転車は、①免許が不要で交通ルールに無知な児童等も運転すること、②速度が一般的には四輪車や単車と歩行者の中間くらいであること、③車道以外を走行することがあることなどの特殊性から、単車と歩行者の間くらいの過失割合となっています。
(1)信号機のある交差点での出会い頭の事故の場合
信号機のある交差点では、車同士のときと同じように信号の色によって過失割合が変わります。
具体的には下表のとおりです。
自転車の信号の色 | 車の信号の色 | 過失割合 |
青 | 赤 | 0:100 |
赤 | 青 | 80:20 |
黄 | 赤 | 10:90 |
赤 | 黄 | 60:40 |
赤 | 赤 | 30:70 |
(2)信号機のない交差点での出会い頭の事故の場合
信号機のない交差点の場合は、以下の要素によって過失割合が異なります。
- 道幅
- 一方通行規制
- 一時停止規制
- 優先道路
それぞれについてご説明します。
#1:道幅が同じまたは異なるケース
道幅による過失割合の違いは下表のとおりです。
自転車側の道幅 | 車側の道幅 | 過失割合 |
同じ道幅 | 20:80 | |
広い | 狭い | 10:90 |
狭い | 広い | 30:70 |
#2:一方通行規制があるケース
一方通行違反がある場合の過失割合は下表のとおりです。
自転車 | 車 | 過失割合 |
無違反 | 違反 | 10:90 |
違反 | 無違反 | 50:50 |
#3:一方の道路が優先道路のケース
走行していた道路が優先道路か劣後道路かによる過失割合は下表のとおりです。
自転車 | 車 | 過失割合 |
優先 | 劣後 | 10:90 |
劣後 | 優先 | 50:50 |
#4:一時停止規制があるケース
一時停止違反がある場合の過失割合は下表のとおりです。
自転車 | 車 | 過失割合 |
無違反 | 違反 | 10:90 |
違反 | 無違反 | 40:60 |
4.過失割合を修正する主な要素
ここまでは、事故態様の類型ごとの基本となる過失割合をご紹介しました。
しかし、実際はより詳細な事故状況を踏まえて、基本となる過失割合から修正がされることになります。
ここでは、過失割合が変わるのはどのような事情がある場合かについてご説明します。
(1)見とおしがきく交差点かどうか
信号機も一時停止もなく、優先道路でもない交差点は基本的に左方優先とされていると説明しました。
この点、見通しがきく交差点の場合、交差点に接近していく時点ですでに相手方車両を発見できます。
つまり見とおしがきく交差点の場合、左方車の存在を認識することが容易で左方優先の原則を適用しやすいといえます。
そのため、何らの交通規制がない場合には、見とおしがきく交差点では、見とおしがきかない交差点に比べて右方側に10%不利に修正されることになります。
(2)先に交差点に進入したのはどちらか
先に交差点に進入した場合、後に進入した方が衝突を予見して回避することができる可能性が高まるので、後に進入した方に10%不利に修正されることになります。
もっとも、ただ先に進入しただけで修正されるわけではなく、後に進入した方が直ちに制動または方向転換の措置をとれば容易に衝突を回避することができる場合に修正されることになります。
(3)夜間の事故かどうか
車は夜間ではライトを点灯する義務があります。
そのため、夜間は車のライトによって車が接近していることを容易に認識することができるので、見とおしがきく交差点と同様に、左方優先を適用しやすくなります。
そのため、右方側に5%不利に修正されることになります。
(4)著しい過失または重過失
著しい過失とは、通常想定されている程度を超えるような過失をいいます。
具体的には、著しい前方不注視、おおむね時速15㎞以上30㎞未満の速度違反、酒気帯び運転等が挙げられます。
重過失とは、著しい過失より重い、故意にも比肩する重大な過失をいいます。
具体的には、酒酔い運転、居眠り運転、おおむね30㎞以上の速度違反、病気や薬物の影響などで正常な運転ができないおそれがある場合等が挙げられます。
これらがあった場合には、通常想定されているより過失が大きいとして、修正されることになります。
5.出会い頭の事故対応を弁護士に依頼するメリット
出会い頭事故を弁護士に依頼すると様々なメリットがあります。
ここではそのメリットをご説明します。
(1)適切な過失割合の主張・立証ができる
過失割合は、まずどのような態様の事故だったのかという認定から始まります。
そして、それを考える上では刑事記録の取得等、証拠収集が必要となってきます。
また、具体的にどのような事情を主張するべきなのか、その場合どのような修正が考えられるのかと言った点は、裁判実務を理解していないと困難です。
そのため、弁護士に依頼することで、適切な過失割合の主張立証ができるようになります。
(2)賠償金額の増加が期待できる
交通事故の示談交渉では、自賠責基準、任意保険基準、裁判所(弁護士)基準の3つの算定基準が使用されます。
自賠責基準は被害者の最低限の補償を行うことを目的としており、3つの算定基準の中では最も低額です。
また、算定基準が非公開となっている任意保険基準も自賠責基準と同程度か少し上回る基準とされています。
そして、弁護士や裁判所が使用する裁判所(弁護士)基準は、最も高額な基準です。
加害者側の保険会社は自賠責基準か任意保険基準を用いた金額で賠償金の提示を行うため、裁判所(弁護士)基準を用いた場合よりも低額であることがほとんどです。
弁護士に示談交渉を依頼すれば、裁判所(弁護士)基準によって算定した賠償額の請求が可能になり、受け取ることができる賠償額の増額が期待できます。
(3)示談交渉を一任できる
保険会社との示談交渉はわからないことが多くストレスに感じる方も多いでしょう。
しかし、弁護士に依頼することで、示談交渉を一任でき、ストレスを感じることはなくなります。
また、弁護士から通院頻度や過失割合に重要な証拠の収集について、アドバイスやサポートを受けることができます。
まとめ
本記事では、出会い頭の事故の過失割合や過失割合を修正する要素について解説しました。
適切な賠償を獲得するためには、適切な過失割合を主張・立証することが何よりも重要です。
出会い頭事故の示談交渉についてお悩みの方は、専門家である弁護士に一度相談することをおすすめします。
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