頚椎損傷の後遺障害等級は何になる?等級ごとの主な症状と請求できる慰謝料
「頚椎損傷をした場合、後遺障害等級に認定されるのか」
「頚椎損傷による後遺障害にはどのような症状があるのか」
交通事故によって頚椎を損傷した方で、後遺障害等級に認定されるか気になっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、頚椎損傷で後遺症を負った場合、どの後遺障害等級に認定される可能性があるのか、具体的にご紹介します。
1.頚椎損傷とは?
頚椎は首の骨です。
椎骨と呼ばれる7つの骨で構成されていて、その中に脊髄が通っています。
頚椎損傷は、椎骨を損傷(骨折)している状態か、その先の頚髄にまで損傷が及んでいる状態(頚髄損傷)かで、症状の重篤さは大きく異なります。
(1)頚髄損傷の場合の後遺障害等級と後遺障害慰謝料
皆さんがよく「頚椎損傷」という言葉を使われる場合は「頚髄損傷」の診断が下されていることが多いです。
#1:頚髄損傷の場合の後遺障害等級と主な症状
頚髄損傷は交通事故による受傷の中でも最も重篤な後遺障害が残る傷病のうちのひとつです。
頚髄損傷を負った場合に該当する可能性のある後遺障害等級は、1級、2級、3級、5級、7級、9級、12級、14級のうちのいずれかです。
等級 | 主な症状 |
1級1号(要介護) | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
2級1号(要介護) | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
3級3号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの |
5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
脊髄損傷は、麻痺の範囲と程度に応じて等級が決まります。
詳細は、以下のページをご参照ください。
#2:頚髄損傷の後遺障害慰謝料
頚髄損傷による後遺障害を患った場合に請求できる後遺障害慰謝料の目安は、後遺障害等級ごとに定められています。
等級ごとの後遺障害慰謝料の目安は以下のとおりです。
後遺障害等級 | 自賠責基準
(2020年4月1日以降の事故の場合) |
自賠責基準
(2020年3月31日以前の事故の場合) |
裁判所(弁護士)基準 | |
別表第一
(要介護等級) |
1級1号 | 1650万円 | 1600万円 | 2800万円 |
2級1号 | 1203万円 | 1163万円 | 2370万円 | |
別表第二 | 3級3号 | 861万円 | 829万円 | 1990万円 |
5級2号 | 618万円 | 599万円 | 1400万円 | |
7級4号 | 419万円 | 409万円 | 1000万円 | |
9級10号 | 249万円 | 245万円 | 690万円 | |
12級13号 | 94万円 | 93万円 | 290万円 | |
14級9号 | 32万円 | 32万円 | 110万円 |
(2)頚椎損傷
では、損傷が頚髄に及んでいない、頚椎損傷の場合はどうでしょうか。
頚椎は脊柱を構成する骨ですので、脊柱の変形が後遺障害となる可能性があります。
#1:頚椎損傷の場合の後遺障害等級と主な症状
頚椎損傷によって後遺症を患った方は、後遺障害等級に認定される可能性があります。
主に考えられる後遺障害等級は以下のとおりです。
等級 | 主な症状 |
6級5号 | 脊柱に著しい変形又は著しい運動障害を残すもの |
8級2号 | 脊柱に中程度の変形又は運動障害を残すもの |
11級7号 | 脊柱に変形を残すもの |
脊柱(背骨)が変形していたり、動かしづらかったりすると、後遺障害等級に認定される可能性が高いです。
手足の痺れや麻痺、吐き気、めまい、頭痛等の異変がある方は、速やかに病院で検査を受けましょう。
#2:頚椎損傷の後遺障害慰謝料
頚椎損傷による後遺障害を患った場合に請求できる後遺障害慰謝料の目安は、後遺障害等級ごとに定められています。
等級ごとの後遺障害慰謝料の目安は以下のとおりです。
等級 | 自賠責基準 | 裁判所(弁護士)基準 |
6級5号 | 512万円 | 1180万円 |
8級2号 | 331万円 | 830万円 |
11級7号 | 136万円 | 420万円 |
弁護士に示談交渉を依頼することで、裁判所(弁護士)基準で慰謝料を請求できるようになります。
そのため、後遺障害慰謝料を請求する場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
2.後遺障害等級認定から慰謝料請求までの流れ
後遺障害等級認定から慰謝料請求までの一連の流れをご紹介します。
被害者自身が後遺障害等級の認定申請をする場合の主な流れは以下のとおりです。
- 症状固定の診断を受ける
- 必要書類を加害者側の自賠責保険会社に提出する
- 認定結果をもとに示談交渉をする
治療を継続しても完治が難しいと感じた方は、この流れを参考にしてみてください。
(1)症状固定の診断を受ける
半年以上治療を受けた後、担当医から症状固定の診断を受けたら、後遺障害診断書の作成を依頼しましょう。
症状固定とは、一般的な治療を継続しても治療効果が期待できず、症状が安定した状態のことをいいます。
後遺障害診断書は、医師が作成する書類のことで、後遺障害等級認定の申請に必要です。
指先のしびれがいつまで経っても消えないなど、治療の効果がないと感じた場合は、担当医に完治の見込みがあるのか相談して、症状固定の判断をしてもらいましょう。
(2)必要書類を加害者側の自賠責保険会社に提出する
担当医から症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級認定に必要な書類を揃えて、加害者側の自賠責保険会社に提出しましょう。
後遺障害等級認定申請に必要な主な書類は以下のとおりです。
- 後遺障害診断書
- 支払指図書
- 交通事故証明書
- 事故発生状況報告書
- 診断書
- 診療報酬明細書
- 印鑑証明書
- レントゲン・CT・MRI画像
場合によっては追加で別の資料の提出を求められることがあります。
特に後遺障害診断書の内容は認定の結果を大きく左右します。
適切な治療をしてもらい、後遺障害診断書に反映してもらうためにも、医師に対し、自己の症状を詳細に伝えておくことが大切です。
また、提出書類に不備があれば、適切な認定を受けられなかったり、認定結果が出るまで時間がかかったりするので、不安な方は弁護士に確認してみましょう。
(3)認定結果をもとに示談交渉をする
後遺障害等級が認定されたら、自賠責保険会社から相応の賠償金が支払われ、その後に加害者側と不足分について示談交渉を行います。
自賠責保険会社からは自賠責基準に基づいた慰謝料しか支払われないため、損失額が上回っていれば、不足分を加害者側の任意保険会社に請求することになります。
弁護士に依頼していれば、裁判所(弁護士)基準で算出した慰謝料を請求することになります。
3.頚椎損傷をしたときは弁護士に相談するのがおすすめ
首は私たちの身体の中でも大切な部位のうちのひとつです。
首を骨折した場合は、重篤な後遺障害が生じる場合があります。
重篤な後遺障害が残った場合の将来への影響は大きいものです。
適切に賠償を受けるためには、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、どのような対応をすればよいか、相談することができます。
たとえば、治療中に何をしておくべきなのか、後遺障害診断書にはどのように記載していただければよいのかなど、被害者に有利に働くためにしておくべきことを把握することができます。
また、弁護士が示談交渉等を行うため、手続きや加害者側保険会社とのやり取りの負担を軽減できる点もメリットです。
裁判所(弁護士)基準で慰謝料を請求できるので、弁護士に依頼しない場合に比べて補償金額が上がることも期待できます。
頚椎損傷による負担や悩みをお持ちの方は、なるべく弁護士を頼ることを検討してみましょう。
まとめ
頚椎損傷による症状が残った場合、後遺障害等級の認定を受けることを検討しましょう。
後遺障害等級が認定されれば、後遺障害慰謝料が請求できるようになります。
治療を継続しても回復が見込めないと判断した場合には、症状が改善する見込みがあるのかどうかを担当医に相談してみましょう。
症状固定の診断を受けたら、必要な書類を揃えて、加害者側の自賠責保険会社に後遺障害等級の申請をすることをおすすめします。
手続きに不安がある方や示談交渉を有利に進めたい方は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人みずきでは、交通事故に関する相談を無料で受け付けておりますので、頚椎損傷による症状で苦しんでいる方は、お気軽にご相談ください。
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