後遺障害診断書での自覚症状の伝え方に要注意!押さえるべきポイント
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「後遺障害診断書の作成の場面ではどのような自覚症状を伝えればいいのか」
「後遺障害診断書で押さえておくべきポイントはどこか」
症状固定の診断を受けた方の中には、後遺障害等級の認定の際の必要書類となる後遺障害診断書の作成において、どのような点に気を付ければよいか分からずに困っている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、自覚症状を伝える重要性をはじめ、審査機関に自覚症状を伝える際のポイントや必要な検査、後遺障害診断書作成後の流れについてご紹介します。
1.後遺障害診断書に正しい自覚症状を記載してもらう重要性
後遺障害等級の認定は、損害保険料算出機構が設置した自賠責損害調査事務所が行います。
自賠責損害調査事務所は提出された資料を根拠に後遺障害の有無や程度を判断することになります。
そのため、申請者の自覚症状は後遺障害診断書などの書面で伝えるほかありません。
後遺障害診断書は等級認定の際に特に重要となる書類です。
調査事務所において判断基準を満たした場合にはそれぞれの基準に応じた後遺障害等級が認定されます。
しかし、後遺障害診断書の記載から自覚症状が正しく伝わっていなければ、適切な認定を受けられない可能性があります。
たとえば、後遺障害14級9号の場合は、自覚症状の記載が特に重要になります。
この場合、客観的には認定が見込める障害であっても、症状の申告を誤ると、非該当と判断されることがあるのです。
後遺障害診断書の内容次第で、後遺障害等級の認定結果が変わってしまいますので、後遺障害診断書を作成・提出するときは、正確に自覚症状が記載されているか確認する必要があります。
2.自覚症状を伝えるときのポイント
繰り返しになりますが、後遺障害等級の認定は、調査事務所が書類に基づいて行います。
このとき、後遺障害等級の認定を受けるためには、症状について、①事故時からの一貫性、継続性があること、②常時性があることが必要とされています
したがって、後遺障害診断書における自覚症状の記載が上記を読み取れるようになっている必要があります。
そのため、後遺障害診断書等で自覚症状を伝えるときには気を付けるポイントがいくつかあります。
特に意識すべきことは以下の3つです。
- 症状を具体的に伝える
- 別紙にまとめる
- 担当医師にありのままを伝える
これらの要点に気を付けることで、適切な後遺障害等級が認定されやすくなります。
(1)症状を具体的に伝える
後遺障害診断書を見て、障害程度が分かりやすいように症状を具体的に伝えることがポイントです。
以下のような事項について、実態と異ならないよう気を付ける必要があります。
- 症状が生じた時期
- 症状が生じている場所
- 症状の強さ
- 症状の質
- 症状の連続性
- 症状の増減
- 日常生活への影響
それぞれ順にポイントを説明します。
#1:症状が生じた時期
事故時から症状が生じていることを伝えましょう。
事故から時間が経って生じた症状については事故と因果関係がないと判断され、後遺障害の審査対象から外されてしまうおそれがあります。
#2:症状が生じている場所
どこに症状が生じているのかを正確に伝えましょう。
例えば、痛みが複数の箇所に生じている場合、「頚部痛等」というようにまとめるのではなく、「頚部痛、腰痛、右肩部痛」や「頚部から右上肢にかけて痛みがある」といったように症状が生じている範囲をすべて伝える必要があります。
#3:症状の強さ
たとえば痛みがある場合、どのくらいの強さなのかできるだけ正確に伝えましょう。
主観的表現になるので抽象的にならないように、事故後最も痛かったときを10として、どの段階の痛みなのかを伝えるとわかりやすいでしょう。
#4:症状の質
症状の質についても触れましょう。
たとえば、内側から痛むような場合は「ジンジン」、外部から刺激されているような痛みは「ズキズキ」のように擬音語を使うと表現しやすくなります。
ほかにも「重く感じる」や「感覚が鈍い」のような表現でも良いので、どのような症状なのか想像しやすいように工夫しましょう。
#5:症状の連続性
症状の連続性について触れるのも重要です。
一過性の症状では後遺障害として認められることはありません。
症状がずっと続いているものであれば、そのことを明確に伝える必要があります。
#6:症状の増減
症状の状況を具体的に示すと、より障害程度を説明しやすくなります。
しかしながら、「振り返ったときに首に痛みが走る」のように、特定の動作によって症状が引き起こされるというような記載となると、症状に常時性がないとされ、後遺障害と認められにくくなってしまいます。
症状が常にあることを前提として、こういったことがあると症状が強くなる、というように伝えるのがよいでしょう。
#7:日常生活への影響
症状によって、日常生活にどのような影響があるのかも説明しましょう。
たとえば「ベッドに横になると首の痛みで熟睡できない」「痛みで肩が上がらず、洗濯や掃除等の家事が困難になった」など、生活への影響がイメージできるようにするのがポイントです。
(2)別紙にまとめる
口頭で医師に伝えるのが難しい場合は、文章にまとめてしまうのも一つの手段です。
医師によってはそのまま後遺障害診断書に添付してくれることもあります。
特に書式は決まっていないので、箇条書きでメモを作成するのでもよいでしょう。
(3)担当医師にはありのままを伝える
後遺障害診断書を作成するのは、通常、最後に通院していた病院の主治医です。
したがって、治療中から症状について申告しておくことをお勧めします。
医師から症状に関する質問をされたときには、曖昧に答えるのではなく、前記のようなポイントをおさえて詳細に説明するようにしましょう。
3.後遺障害診断書を作成した後の流れ
後遺障害診断書を作成した後のことについてご紹介します。
基本的な流れは以下のとおりです。
- 後遺障害等級認定の申請
- 任意保険会社と示談交渉
- 後遺障害慰謝料の支払い
今後の流れについて押さえておきましょう。
(1)後遺障害等級認定の申請
後遺障害診断書を受け取ったら、後遺障害等級認定の申請を行います。
必要な資料を揃えたら、相手方の自賠責保険会社に提出しましょう。
後遺障害診断書を含む必要な資料は以下のとおりです。
- 交通事故証明書
- 後遺障害診断書
- 自賠責様式の診断書
- 診療報酬明細書
これらの資料の記載によって認定される等級が決まるので、適切な等級に認定されるものとなっているか、弁護士に相談するのもよいでしょう。
なお、事前認定(相手方任意保険会社が手続を行う方法)の場合は、後遺障害診断書のみを相手方任意保険会社に提出すれば、手続が進むことになります。
ただし、事前認定の場合は、被害者が後遺障害診断書以外の資料を確認することができず、必ずしも有利な形で申請されるとは限りません。
そのため、被害者自身が資料を収集して申請する方法(被害者請求)を選択するのがおすすめです。
被害者請求を行うのは負担が大きいものとなりますから、資料収集に困った場合などは、弁護士へ相談するのをおすすめします。
(2)任意保険会社と示談交渉
後遺障害等級の認定手続の後は、相手方の任意保険会社と示談交渉を行うことになります。
示談交渉では、相手方任意保険会社が治療期間、後遺障害等級の認定結果や過失割合等から算出した損害賠償額を提示してきます。
保険会社は支出を抑えるために弁護士の基準からすると低い金額を提示してくる可能性があるため、その提示に応じる必要はありません。
弁護士に依頼することにより、弁護士基準での算定を行い、慰謝料等の増額ができる可能性があります。
したがって、示談交渉に困ったら、まず弁護士に相談し、提示額を確認してもらうことをおすすめします。
(3)示談金の支払
示談が成立したら、示談金が支払われます。
ただし、被害者請求と事前認定では、示談金の一部について支払われるタイミングが異なる点に要注意です。
事前認定の場合は、示談成立後に相手方任意保険会社から示談内容に沿って示談金が支払われます。
一方、被害者請求の場合、後遺障害等級認定を受けられれば、自賠責基準の保険金を後遺障害等級の認定直後に受け取ることができます。
なお、後遺障害慰謝料の金額に関しては、以下の記事にまとめているので、気になる方はあわせてご覧ください。
https://www.mizukilaw.com/personal/traffic-accident/traffic-accident-residual-disability-amount-of-money/
まとめ
後遺障害等級が適切に認定されるためには、後遺障害診断書で正確に症状を伝える必要があります。
痛みが起こった時期や痛みの場所、痛みの強さなど伝えるべきポイントを押さえて、資料を揃えることが重要です。
主治医に後遺障害診断書を作成してもらったら、速やかに後遺障害等級認定の申請をしましょう。
弁護士法人みずきでは、交通事故による後遺障害に関する相談を無料で受け付けておりますので、後遺障害等級認定でお困りの方はお気軽にご相談ください。
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