交通事故の相手が不明な場合は警察に届け出るべき?治療費の請求方法
「交通事故に遭ったけど、加害者は誰なのか不明。怪我はなくても警察に届け出るの?」
「ひき逃げされたら、治療費は誰に請求すればいいの?」
怪我の有無にかかわらず、交通事故に遭ったら警察に必ず届け出ましょう。事故後に加害者がその場から立ち去ったとしても、後から警察に出頭する可能性もあります。
さらに、保険会社に請求する際に必要な交通事故証明書は、警察に届け出なければ発行してもらえません。
この記事では、加害者が不明でも警察に届け出ることの大切さを解説します。加えて、交通事故証明書の取得方法、そして交通事故の加害者が不明な場合の対処法についてもご紹介します。
1.交通事故の相手が不明な場合でも警察に届け出るべき?
ご自身が車の外にいて、知らない間に車が当て逃げされた場合であっても警察に届け出るべきです。
また、ひき逃げにあってしまった場合など、加害者が特定できない場合も警察による捜査によって加害者が特定できることがありますので、届け出るべきです。
加害者が不明だったとしても、あとから加害者が出頭したり通報があったりして、加害者が分かる可能性があります。
保険会社に保険金を請求する際には事故証明書が必要になります。
これは、交通事故を警察に報告しなければ発行してもらえない書類ですので警察への届け出は重要です。
ここでは、交通事故証明書の取り方についてご説明します。
(1)交通事故証明書とは?
交通事故証明書は、交通事故が発生したことを証明する書類です。この証明書は、交通事故を警察に届け出ていなければ発行されません。
交通事故証明書は、保険会社に保険金を請求する際に必要となる書類の一つです。交通事故証明書がなければ、請求もスムーズに進まなくなるため注意しましょう。
交通事故証明書は、人身事故であっても物件事故であっても作成される書類です。加害者が不明な場合でも、交通事故証明書は交付されます。
そのため、交通事故の際はその場ですぐに警察に届け出ましょう。もし、その場で警察に届け出ることができなかった場合でも、速やかに警察に届け出ることをおすすめします。
交通事故証明書には以下の内容が記載されています。
- 交通事故の当事者の個人情報
当事者の氏名・住所・生年月日・運転者であったか同乗者であったかなど - 事故照会番号
交通事故の処理を担当した警察署に照会する際に必要となる番号 - 交通事故の発生日時・場所
- 当事者の車両情報
車種・車両番号・証明書番号・自賠責保険の加入の有無と加入先 - 交通事故の類型
車両同士の事故か対人事故か、追突なのか正面衝突なのかといった事故の類型
(2)交通事故証明書の取り方
交通事故証明書は、交通事故の加害者・被害者に加えて「正当な利益のある人」が申請できます。
たとえば、損害賠償請求権のある親族や保険金の受取人などです。代理人も申請できますが、その場合は申請者本人の委任状が必要になります。
保険会社が申請することが一般的ですが、自動車安全運転センターの窓口やオンライン上で自ら取得する方法もあります。
窓口の場合、管轄の警察署から交通事故資料が届いていれば交通事故証明書は即日交付が可能です。オンライン上で申請した場合は、受領に約10日かかります。
なお、人身事故は事故発生から5年、物件事故は3年経過すると原則交付してもらえません。期限に注意しましょう。
交通事故証明書に関する内容は以下の記事で詳しくご説明していますので、確認してみてください。
2.ひき逃げされた場合に治療費を請求する方法
ひき逃げ事故に遭って加害者を特定できない場合、加害者の保険会社に治療費を請求したくてもできないことがあります。加害者が不明な場合は、健康保険を利用してひとまず立て替えなければなりません。
ここでは、政府保障事業に請求する方法と健康保険を利用する際の注意点についてご説明します。
治療費を立て替えた場合の注意点については、以下の記事をご覧ください。
(1)政府保障事業に請求
通常であれば、交通事故被害に遭ったら加害者側(保険会社)に治療費を請求します。
しかし、加害者が特定できなければ請求できません。加害者が不明な場合は、被害者を救済する目的で国が加害者の代わりに損害相当額を立て替えます。
怪我の治療を終えてから、もしくは後遺障害が残って症状固定の診断がされてから3年以内に請求しなければ請求権が消滅しますので注意しましょう。
これは、損害保険会社(組合)に被害者が直接請求する必要があります。
(2)第三者行為による傷病届を行う
交通事故に遭うと、加害者側の保険会社が被害者の治療費を病院に直接支払うケースがあります(これを一括対応といいます。)。
しかし、ひき逃げや加害者が不明な場合は被害者自身が健康保険を使って治療費を支払わなければなりません。
交通事故の治療で国民健康保険を使う場合、住んでいる地域の役所にある国民健康保険担当課に「第三者行為による傷病届」を届け出る必要があります。
第三者の行為により怪我をした場合の医療費は、本来であれば加害者が負担しなければなりません。
しかし、加害者が不明だったり、治療費を立て替える必要があったりする場合があります。「第三者行為による傷病届」は、そういった時に国民健康保険が立て替えた分を加害者に請求するために必要な届出です。
国民健康保険で治療費を支払うと、全体の3割負担で済むため、立替分の費用も抑えることができます。
3.交通事故後に2つの注意すべきこと
交通事故でお互いに怪我がない場合でも、必ず警察に通報するべきです。もしその場で届け出ることができなかった場合は、後日速やかに警察に連絡しましょう。
ここでは、交通事故後に注意すべき点についてご説明します。
(1)交通事故後には必ず警察を呼ぶ
道路交通法によって、交通事故があったとき、運転者等は、警察に通報しなければならないという報告義務が課せられています(第72条1項)。
この報告義務を怠った場合には、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金に処される可能性があります(道路交通法第119条1項10号)。
また、車両事故が生じると、運転者や同乗者は運転を停止して負傷者を救護し、道路上の危険を防止するための必要な措置を取らなければなりません(それぞれ「救護義務」、「危機防止措置義務」といいます。道路交通法第72条)。
(2)その場で示談しない
事故直後に、お互いに目立った怪我がなかったり、物の傷があまりなかったりした場合に、加害者からその場で示談が申し込まれることもあります。
ここで1度示談が成立してしまうと、後からその内容を覆すことができないので気をつけましょう(民法第696条)。
事故直後は怪我がないように思われても、後から症状が出てくる場合も十分にあり得ます。また、加害者が示談した内容を必ず履行してくれるかどうかも疑わしいです。
事故直後は気も動転していて、正しい判断ができなくなってしまうこともあります。その場の雰囲気で安易に示談を受け入れないようにしましょう。
まとめ
交通事故は、当て逃げやひき逃げなどにより、加害者が不明なケースもあります。加害者が不明であっても、交通事故に遭ったら必ず警察に連絡しましょう。
警察を呼ばなければ、交通事故証明書も発行してもらえず、保険金を請求することも難しくなります。
怪我の治療費などをどう請求したらよいのかお困りでしたら、弁護士に相談することをおすすめします。
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