少額管財事件の特徴を解説!費用や注意点について

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「少額管財事件ってどのような手続なのか」
「破産申立をして少額管財事件になるとどんな流れになるのか」

自己破産を検討している方の中には、少額管財事件がどのような手続なのか知りたいと考えている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、少額管財事件の特徴や注意点、主な流れについてご紹介します。

1.少額管財事件とは

少額管財事件とは

少額管財事件とは、自己破産手続きの1つで管財事件よりも手続の負担が軽減された手続方法です。

自己破産手続を申立てした場合、破産者が所有する財産が多かったり、免責不許可事由に該当する場合は、簡易な手続である同時廃止事件ではなく、管財事件として処理されることになります。

その管財事件の中でも、少額管財事件は、通常の管財事件と比べて費用が少額になっており、個人や零細企業が利用しやすいようになっています。

自己破産を検討している方で、管財事件になりそうな方は、少額管財事件の利用をまずは考えることになるでしょう。

2.少額管財事件の特徴

少額管財事件の特徴

続いて少額管財事件の特徴を2点ご説明します。

  1. 費用負担が小さい
  2. 手続が簡略化されている

管財事件と少額管財事件の違いに触れながら順にご説明します。

(1)費用負担が小さい

少額管財事件になると、通常の管財事件よりも費用の負担が小さくなります。

管財事件として自己破産の手続を進める場合、破産者は予納金を支払わなければなりません。

予納金には、手数料や官報広告費、郵便切手代、破産管財人への報酬が含まれており、裁判所によって金額は異なりますが、例えば東京地方裁判所では負債額に応じて50~700万円の費用が定められています。

ただし、このままでは金額が大きすぎ、破産者が負担できない場合があるため、予納金を抑えた少額管財事件制度ができました。

少額管財事件では、予納金は20万円程度となっており、原則は一括払いですが、裁判所によっては分割払いを認めているところもあります。

このように少額管財事件は、通常の管財事件に比べると大幅に減額されるので、同時廃止事件にならない場合は、少額管財事件で破産手続きが進むようにするべきでしょう。

(2)手続が簡略化されている

少額管財事件は、通常の管財事件よりも手続を簡略化しているため、迅速に手続を進めることができます。

従来の管財事件は、申立てから終了するまでに半年から1年ほどかかるのが一般的ですが、少額管財事件になれば3か月程度で手続が終了することが多いです。

3.少額管財事件において2つの注意点

少額管財事件の注意点

少額管財事件を利用するときの注意点についてご紹介します。

  1. 全国全ての裁判所で採用されるわけではない
  2. 弁護士に破産申立を依頼する必要がある

すべてのケースにおいて少額管財事件として手続できるとは限らない点に注意しましょう。

(1)全国全ての裁判所で採用されるわけではない

少額管財事件は全国の全ての裁判所で採用されているわけではありません。

債務者の自己破産へのハードルを下げるために東京地方裁判所で運用が開始された手続です。

少額管財事件を採用するかどうかは各地方裁判所の考え方によるため、少額管財事件を必ず選択できるわけではない点に注意しましょう。

自己破産を検討している方で管財事件になる見通しの方は、まず弁護士に少額管財事件を利用できるのか相談してみるとよいでしょう。

(2)弁護士に破産申立を依頼する必要がある

少額管財事件を利用するためには、弁護士が代理人となって裁判所に破産の申立てをしなければなりません。

自己破産の申立ては、本来弁護士に依頼をせずに自力で申立てをすることが可能です。

しかし、弁護士に依頼をしないで申立てをすると、通常の管財事件として処理されてしまいます。

少額管財事件が低い費用で迅速に手続きを進めることができるのは、事前に申立ての段階で弁護士が内容を精査しているということが前提となっているため、制度の利用が弁護士が申立てをした場合に限定がされるのです。

弁護士費用等を抑えるために自力で自己破産の申立てを検討している方は、かえって費用がかかる可能性があるため注意が必要です。

4.少額管財事件の主な流れ

少額管財事件の主な流れ

少額管財事件の主な流れについてご紹介します。

主な流れは以下のとおりです。

  1. 裁判所への破産申立て
  2. 破産管財人候補と面接
  3. 破産手続開始決定
  4. 引継予納金の支払い
  5. 債権者集会
  6. 免責許可決定
  7. 免責確定

まず、弁護士を通して裁判所に自己破産申立てを行いましょう。

その結果少額管財事件となったら、破産管財人候補の弁護士と代理弁護士、破産者の3名で面接を行います。

前後して裁判所から破産手続開始決定が出されます。

その後、予納金を破産管財人に支払います。この支払自体は通常申立代理人が行います。

3か月程度後に債権者集会(破産管財人が財産や負債の状況と免責について裁判官や債権者に説明する集会)が開かれます。

債権者集会と共に破産者に免責許可決定がでます。

免責許可決定がでると、官報にその旨が掲載され、2週間以内に債権者から異議申立てがなければ免責が確定します。

このような流れで少額管財事件の破産手続きが進みますので一通りの流れは把握しておきましょう。

まとめ

少額管財事件は、通常の管財事件に比べると費用を抑えつつ、迅速に手続を進めることができる手続です。

自己破産を検討している方で同時廃止事件が見込めない場合は、少額管財事件を考える事になります。

ただし、全国の全ての裁判所で少額管財事件の運用がなされているわけではなく、また、制度を利用するには弁護士に破産申立を依頼する必要がある点に注意しましょう。

弁護士法人みずきでは、少額管財事件に関する相談を無料で受け付けておりますので、自己破産を検討している方はお気軽にご相談ください。

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執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

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