自己破産の手続にかかる期間はどれくらい?手続の主な流れを紹介

執筆者 実成 圭司 弁護士

所属 第二東京弁護士会

皆さまのご相談内容を丁寧にお聞きすることが、より的確な法的サポートにつながります。会話を重ねながら、問題解決に向けて前進しましょう。

「自己破産をすると手続にどのくらいかかるのか」
「自己破産の手続はどのような流れなのか」

自己破産を検討している方の中には、手続にどのくらいの期間がかかるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、自己破産の手続にかかる期間や手続の流れについてご説明します。

1.自己破産の手続にかかる期間

自己破産の手続にかかる期間

自己破産には管財事件と同時廃止事件の二つのパターンがあり、そのパターンによって手続にかかる期間は異なります。

(1)管財事件

管財事件とは、債務者に財産があり配当の必要がある場合や、免責不許可事由がある場合等、債務者についてなんらかの調査の必要がある場合に、債務者に代わって配当や調査をする人(破産管財人)を裁判所が選んで進める手続です。

同時廃止事件と異なる点としては、①換価が必要な財産が多数ある等、破産管財人の業務が多くなる場合には、同時廃止事件と比べて破産・免責手続が終了するまでに時間を要すること、②破産管財人の報酬として、最低20万円、追加で裁判所に支払う必要が出てくること等が挙げられます。

なお、管財事件の場合のスケジュールとしては、概ね以下のとおりです。

申立て~破産手続開始決定 1週間程度
破産手続開始決定~債権者集会・免責審尋 約2か月~3か月

※債権者集会は続行される可能性有。

免責審尋~免責許可決定 約1週間

(2)同時廃止事件

同時廃止事件とは、債務者に財産がなく、債権者に対して財産を分配すること(配当)ができない場合に、破産手続をすぐに終了(廃止)するものです。

また、軽微な免責不許可事由があるに過ぎない場合であっても、同時廃止として処理されることがあります。

同時廃止事件では、破産手続開始決定と同時に、破産者(債務者)の財産の調査や、債権の調査が行われる破産手続が終了する(廃止決定がされる。)こととなります。

ただし、破産者の最大の関心事の一つである免責は、これにより得られる多くの裁判所では、破産者が裁判所へ行き、裁判官から質問がされる免責審尋という手続が行われた後に、免責許可決定が出されることにより、免責手続が終了します。

なお、同時廃止事件の場合のスケジュールとしては、概ね以下のとおりです。

申立て~破産手続開始決定 3日程度
破産手続開始決定~免責審尋 約2か月~3か月
免責審尋~免責許可決定 約1週間

2.自己破産の主な手続の流れ

自己破産の主な手続の流れ

自己破産の主な手続の流れをご説明します。

主な流れは以下の通りです。

  1. 専門家に相談
  2. 自己破産の申立て
  3. 破産手続開始決定
  4. 破産管財人と面談
  5. 債権者集会又は免責審尋
  6. 裁判所による免責許可の決定

自己破産にかかる手続の期間と合わせて把握しておきましょう。

(1)専門家に相談

まずは弁護士に相談して自己破産を行うか弁護士と検討します。

なお、相談を有意義にするために、全ての債務額や債権者の把握はしておくことをおすすめします。

(2)自己破産の申立て

書類が整い次第、裁判所に対して自己破産の申し立てを行います。

(3)破産手続開始決定

提出した書類に不備がなければ、破産手続開始が決定されます。

管財事件の手続の場合は、このときに破産管財人が選任され面談日が設けられることになり、同時廃止の手続の場合は、同じタイミングで免責許可決定が出ることになるでしょう。

(4)破産管財人と面談

管財事件の手続の場合は、破産手続開始が決定された後に、破産管財人と面談することになります。

なぜ借金を抱えることになったのかを中心に、借金の内訳や財産事情について質問されることになるでしょう。

一般的には、破産手続の開始決定から1週間以内に面談日が設けられることが多く、場所は破産管財人に選任された弁護士の事務所で行われます。

面談後は破産管財人から必要書類の提出などが求められるので、委任した弁護士に協力して手続を進めましょう。

※なお、(3)と(4)は、前後する場合があります。

(5)債権者集会又は免責審尋

破産管財人は自己破産者と面談した後、自己破産者の債務状況や財産を調査し、その結果をまとめて債権者に報告することになります。

債権者に調査結果を報告するために債権者集会が開かれるのですが、面談後1か月半から2か月程度に開催されるのが一般的です。

この集会で破産管財人は、債権者に対し、財産及び債権調査結果の報告と、配当がある場合には、配当の内容の説明を行います。

ちなみに、個人の自己破産に関しては、債権者が集会に出席することはほとんどありません。

※同時廃止の場合は、債権者集会の代わりに免責審尋が行われます。

(6)裁判所による免責許可の決定

破産管財人の報告をもとに裁判所は免責許可をすべきかどうか判断します。

特に破産管財人からの報告に問題がなければ、免責許可決定が下りて、全ての借金が免除されることになるでしょう。

3.自己破産手続の二つの注意点

自己破産手続で注意すべき点は二つあります。

資格制限がされる点と手続中は転居できない点です。

順に説明するので、該当する場合は弁護士と相談して事前に対処法を考えておきましょう。

(1)資格制限がされる

自己破産によって資格制限がされるため、職種によっては免責許可決定の確定まで働くことができなくなります。

主に制限される対象は公的な資格を使って行う仕事が多く、以下のような仕事は途中で仕事を休むか転職することになるでしょう。

  • 各種の士業
  • 警備員
  • 保険外交員
  • 賃金業者
  • 旅行業務取扱主任者など

なお、裁判所から免責許可決定が確定すると資格制限が解除され、従来どおり仕事をすることができます。

免責許可決定が確定するまで、申立てから3か月間程度かかることが一般的です。そのため、資格制限がされる職種についており、やむを得ず破産手続をとることとなった場合は、破産・免責手続の間どうやって収入を得るか勤務先に相談する等、予め考えておく必要があるでしょう。

(2)破産手続中に転居できない

管財事件の場合、破産手続中は自由に転居できません。

自己破産の手続が開始されれば、居住地を離れる場合、裁判所の許可が必要となるのです。

ちなみに、常に連絡がとれる状況を証明し裁判所の許可を得られれば、引っ越しすることはできます。

連絡がとりづらくなる海外への転居は、認められない可能性が高いので、海外に移りたい方は、破産手続が終了した後にしましょう。

まとめ

自己破産手続にかかる期間は手続の方法によって異なります。

自分が破産手続をとった場合の進め方については、弁護士に確認をしておくべきでしょう。

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執筆者 実成 圭司 弁護士

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