自己破産と個人再生の違いとは?メリット・デメリットについてもご説明

執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 埼玉弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。

借金の返済が苦しくて債務整理をしたいけれど、どの方法が良いかわからないとお悩みではないでしょうか。

借金を整理する方法として、自己破産と個人再生があります。

今回は自己破産と個人再生の違いや、それぞれのメリットとデメリットについてご説明します。

1.自己破産と個人再生の6つの違い

自己破産と個人再生では、主に6つの違いがあります。

順にご説明します。

(1)免責される債務

自己破産では、裁判所に申立てをし、免責許可を得ることで借金をゼロにできる手続です。

税金や養育費などの債務を除けば、ほとんどの債務を免除してもらえます。

一方で、個人再生は借金が減額されるだけで、すべてなくなるわけではありません。

しかし、最大で債務の10分の1まで減額されるケースもありますので、借金を大幅に減らすことができます。

(2)手続を行える債務総額の範囲

自己破産では、このような債務総額の範囲は定められていません。

しかし、個人再生では債務総額が5000万円以下であることが条件です。

この債務には、銀行からの借入やカードローン、知人や勤務先からの借金などが含まれます。

また、5000万円という金額には元本だけではなく遅延損害金や利息も含まれる点に注意しましょう。

(3)手続の流れ

自己破産では主に以下のように手続が進みます。

  1. 破産申立て
  2. 破産手続開始決定
  3. 破産手続開始決定
  4. 免責決定

一方、個人再生では、主に以下のような流れで手続が進みます。

  1. 申立て
  2. 個人再生委員の選任
  3. 再生手続の開始決定
  4. 履行テストの開始
  5. 債権届出、債権調査等
  6. 再生計画案の作成、提出
  7. 再生計画案の認可決定

どちらも裁判所を通しての手続となるため、裁判所を通さない任意整理と比べると必要な期間はやや長めです。

(4)資格制限

自己破産をすると、手続を終えるまでの間特定の職業に就くことができず、これを資格制限と言います。

制限を受ける職業は、例えば以下のようなものがあります。

  • 警備員
  • 保険の外交員
  • 弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、宅建士などの士業

すでにこれらの職業に就いている場合も、手続期間中は勤務できません。

もし自分がこのような職業に就いている場合は、職場に相談してみましょう。

(5)換価処分される財産

自己破産では、破産者の財産を処分して金銭に換える手続が必要であり、これを換価処分と言います。

債権者が金銭的に不利にならないために行われますが、すべての財産が処分されるわけではありません。

破産手続開始決定後に取得した財産や99万円以下の現金などは処分されないため、ご安心ください。

一方、個人再生では換価処分は行われませんので、自宅や車などを所有したまま手続ができます(ただし、保有する資産が高額となる場合には、個人再生をするメリットが無くなる可能性もあります。)。

(6)債務の理由

(1)でもご説明したとおり、自己破産は免責許可を得ることで借金が免除されます。

しかし、一定の条件に当てはまると免責許可がおりず、このことを免責不許可事由と呼びます。

例えば、以下のようなケースです。

  • 浪費又は賭博その他の射幸行為による財産減少・債務負担行為を行った場合

自分の収入よりもはるかに多い支出や競馬、パチンコなどのギャンブルによる債務も免責不許可事由に当てはまります。

さらに、最近では仮想通貨やFX取引も該当するケースがあるため、このような投資を日常的に行っている場合は注意しましょう。

一方、個人再生では債務の理由を問われません。

もし上記のような理由で債務を抱えてしまった場合は、まずは個人再生を検討してみましょう。

2.自己破産のメリット・デメリット

ここでは、自己破産のメリット、デメリットについてご説明します。

(1)メリット

#1: 債務をゼロにできる

自己破産の最大のメリットは債務をゼロにできることです。

債務総額にも上限はありませんので、多重債務に陥ってしまった場合は効果的な方法です。

債務がゼロになるため、手続開始後の収入は自分の生活に充てることができます。

(2)デメリット

#1: 自宅や車などの財産を手放す必要がある

自宅や車など、財産価値の高いものは換価処分されてしまいます。

これらを所有している場合は生活が大きく変わってしまいますので、慎重に判断しましょう。

ただし、自動車のうち、例えば、軽自動車であれば初度登録から4年間、普通自動車であれば初度登録から6年間が経過しているものは、換価されない取り扱いがされている場合が多いです。

#2: 手続が終了するまで職業制限される

資格制限を受ける職業に就いている場合は、手続終了までは職業の制限があるため、これまでと同じように勤務することが難しくなる場合があります。

自己破産をしても働き続けられるかどうか心配な場合は、弁護士に確認してみましょう。

3.個人再生のメリット・デメリット

ここでは、個人再生のメリットとデメリットについて二点ずつご説明します。

(1)メリット

#1: 自宅や車を残すことができる

個人再生には換価処分がありませんので、自宅や車を手元に残しておくことができます。

特に、持ち家がある人は住宅資金特別条項を利用することで自宅を残したまま借金を減額できます。

自宅を残せる代わりに住宅ローンは払い続ける必要があるため、債務整理後の返済が苦しくならないように注意しましょう。

ただし、自宅と異なり、ローン返済中の自動車は、ローンの債権者に引き揚げられてしまい原則として残すことができないため注意が必要です。

#2: ギャンブルや浪費が理由で生じた債務でも圧縮ができる

前述したように、個人再生では整理する債務が生じた理由は問われません。

そのため、ギャンブルや浪費が原因で生じた債務でも個人再生が可能です。

(2)デメリット

#1: 借金がゼロになるわけではない

個人再生はあくまでも借金を減額する方法ですので、手続後も返済し続けなければなりません。

しかし、個人再生後の返済期間は、原則3年、延長が認められれば最長5年です。

目安5分の1、最大10分の1まで圧縮された債務を3~5年間の長期期間で返済するため、生活を圧迫するほどの大きな負担にはなりにくいでしょう。

#2: 安定した収入が見込める必要がある

個人再生ができる条件として、「継続的かつ反復した収入の見込み」が求められます。

上記で述べた通り、再生後は3~5年かけて返済していきますので、安定した収入が重要です。

収入が多くなくても安定していれば問題ありませんので、アルバイトや派遣社員、個人事業主でも個人再生は可能です。

まとめ

自己破産と個人再生には、それぞれメリットとデメリットがあります。

弁護士に相談することで、債務総額や収入額からどの方法が良いか知ることができます。

弁護士法人みずきでは、ご相談者さま一人ひとりに合わせた提案を行いますので、お気軽にご相談ください。

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執筆者 大塚 慎也 弁護士

所属 埼玉弁護士会

弁護士相談は敷居が高い、そういう風に思われている方も多いかと思います。
しかし、相談を躊躇されて皆様の不安を解消できないことは私にとっては残念でなりません。
私は、柔和に皆様との会話を重ね、解決への道筋を示させていただきます。
是非とも皆様の不安を解消するお手伝いをさせてください。