リボ払いで自己破産をする際の注意点と他で自己破産する方法とは

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「リボ払いの借金は自己破産で無くすことができるのか」
「リボ払いを自己破産するときは何に注意すべきなのか」

クレジットカードのリボ払いによる借金で悩んでいる方の中には、自己破産を行って無くすことができるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、リボ払いが自己破産できるのか、また自己破産できる場合の注意点についてご紹介します。

1.リボ払いは自己破産できるのか

リボ払いは自己破産できるのか

クレジットカードのリボ払いによる借金は自己破産の対象となる借金なので、基本的には自己破産によって返済義務の免除が認められます。

リボ払いを利用して、知らない内に高額の借金を抱えているケースは少なくないので、リボ払いの返済が困難になった場合は、自己破産を検討してみるとよいでしょう。

2.リボ払いを自己破産できないケース

リボ払いを自己破産できないケース

リボ払いによる借金は基本的には自己破産で返済義務の免除が認められますが、例外もあります。

クレジットカードのリボ払いを利用した借金の理由が免責不許可事由に該当する場合は、自己破産が認められないことがあります。

たとえば、以下のような項目でリボ払いによる借金を抱えることになった場合は、免責不許可事由として判断されることがあります。

  • 趣味などの浪費
  • ギャンブルや投資

そのため、このようなリボ払いの理由が免責不許可事由に該当する方は、自己破産が認められない可能性があることを把握しておきましょう。

なお、自己破産において、免責不許可事由に該当する場合でも、債務者の事情を考慮した結果、裁判所の運用で免責を許可する裁量免責によって返済義務の免除が行われることも多くあります。

これまでの浪費を深く反省して、裁判所から生活再建への意欲が高いと判断されれば、免責不許可事由に該当していても、自己破産が認められる場合が多くあるため、借金の理由だけで諦めずに一度弁護士に相談してみましょう。

3.リボ払いを自己破産するときの4つの注意点

リボ払いを自己破産するときの注意点

リボ払いの借金を自己破産をして返済義務を無くすときに気を付けるべき点がいくつかあります。

特に押さえておくべき注意点は以下の4点です。

  1. 一定期間クレジットカードが利用できない
  2. 価値の高い財産が処分される
  3. 一時的に資格制限を受ける
  4. 官報に個人情報が掲載される

自己破産することでどのような影響があるのかこの4点を確認しておきましょう。

(1)一定期間クレジットカードが利用できない

自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されるため、一定期間クレジットカードの審査に通らず、発行を受けることができません。

クレジットカードの更新や新規契約時に、カード会社は信用情報機関に照会を行い、信用情報を確認します。

その際に、事故情報が登録されていると、申込者の信用情報に問題があるとして、審査に落ちてしまうこととなります。

そのため、クレジットカードの契約が途中で更新できなくなったり、申込みをしても審査に落とされたりするのです。

ただし、信用情報機関の事故情報は永久に登録されているわけではなく、一定期間が経過すると削除されます。

各信用情報機関によって運用は異なりますが、自己破産から10年経過すると信用情報が回復します。

信用情報機関に情報開示請求をすることで、信用情報の状況を確認することが可能です。

以下の表に情報開示請求方法をまとめているので、自己破産から10年経過した後に、クレジットカードの契約をしたい場合は、事前に信用情報が回復しているか確認してみましょう。

信用情報機関 情報開示請求の方法 開示請求手数料
CIC インターネット、郵送、窓口で受付 インターネット、郵送:¥1,000
窓口:¥500
JICC インターネット、郵送、窓口で受付 インターネット、郵送:¥1,000
窓口:¥500
KSC 郵送のみ受付 ¥1,000

(2)価値の高い財産が処分される

自己破産の手続を行う場合、価値の高い財産を処分する必要があります。

自己破産手続では、破産者の所有する財産を換価し、債権者への配当に充てられるためです。

全ての財産が処分されるわけではありませんが、原則として以下に該当するものは処分されます。

  • 99万円を超える現金
  • 20万円を超える預貯金
  • 不動産(ローン残高が評価額の1.5倍に満たない場合)
  • 退職金(見込額が160万円を超えた場合)
  • 20万円を超える保険の解約返戻金

もちろん、リボ払いを利用して取得した物品も価値が高いものは換価処分される可能性があるため、価値のある財産は手元に残らない可能性を想定しておきましょう。

なお、上記に該当しない財産は自由財産として破産者の手元に残すことができます。

自由財産とは、生活に欠かせない必要最低限の財産など、自己破産後も所有が認められている財産のことです。

自己破産をしたからといって、全ての財産が処分されるわけではないことも合わせて把握しておきましょう。

(3)一時的に資格制限を受ける

自己破産の申立てから免責許可決定までの手続中は、一時的に資格制限を受けてしまいます。

資格制限中は、士業をはじめ、古物商や警備員、生命保険外交員など、特定の仕事をすることができません。

ただし、免責許可が下りた時点で資格制限は解除されるため、自己破産が認められた後は、従来どおり資格による業務を行うことが可能です。

自己破産の手続は2~4か月程度が目安になりますので、資格制限を受ける方は、その期間に業務ができなくなる点に注意しておきましょう。

(4)官報に個人情報が掲載される

自己破産によって、官報に個人情報が掲載されることになります。

官報は国が発行している機関紙で、個人再生や自己破産をした人の名前や住所が記載されています。

そのため、周囲にもし官報をチェックしている人がいれば、自己破産をした事実が知られる可能性があるでしょう。

ただし、官報を閲覧している一般の方はごく一部で、官報を経由して自己破産をした事実が知られることはほとんどありません。

4.自己破産以外の2つの解決方法

自己破産以外の解決方法

借金をした理由等で自己破産が認められない場合は、借金を整理するために他の債務整理の方法を考えることになります。

主な自己破産以外の債務整理の方法は、以下の2つです。

  1. 任意整理
  2. 個人再生

いずれも借金の支払い義務が全額免除になることはありませんが、返済の負担を大幅に軽減できる手続です。

弁護士と相談しながら、どの手段を採用するか検討しましょう。

(1)任意整理

任意整理とは、裁判所を介さずに弁護士が債権者と毎月の返済金額やスケジュールを交渉して新たに取り決める手続です。

毎月の返済金額を減額し、発生する利息をカットして、返済負担を軽減し、3~5年で完済を目指す手続になります。

元金のみの返済にすることを求める手続きのため、リボ払いのように毎月の利息の支払いの負担が大きい借金の完済を目指すには効果的です。

任意整理をしても自己破産のように財産が処分されず、官報に個人情報が掲載されることはないので、自己破産よりも生活に影響が出にくいといえます。

そのため、リボ払いによる借金が少額で、5年かけて元金を返済できる場合は、自己破産よりも任意整理が適している場合も少なくありません。

(2)個人再生

個人再生は、裁判所に申立てを行い、借金の減額を認可してもらう手続のことです。

具体的な減額の金額は借金の額や保有している資産によるのですが、5分の1程度に減額することができ、任意整理よりも負担を大きく軽減することができます。

個人再生は裁判所を介して行われるため、官報に個人情報が掲載されるなど、任意整理にはないデメリットがありますが、住宅ローンを支払って住宅を残したまま他の借金のみを減額できるなど、自己破産よりも生活への影響は小さい手続といえます。

まとめ

リボ払いによる借金は、基本的には自己破産によって返済義務の免除が認められます。

ただし、自己破産をすれば、生活に多少の影響がある場合があるため、ご自身の場合には生活への影響が生じるのか、どのような影響を受けるのか事前によく相談をすることが大切です。

また、借金の理由が免責不許可事由に該当するような場合は、自己破産が認められない可能性もあります。

もし自己破産が認められないリスクがある場合は、他の債務整理である任意整理や個人再生を行うことも検討しながら、弁護士に今後の方針をご相談されることをおすすめします。

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執筆者 花吉 直幸 弁護士

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