自己破産で免責許可が下りなかった場合は?免責不許可の対処法を紹介
「自己破産で免責許可が下りなかったらどうしたらいいのか」
「自己破産で免責が下りない人の特徴は何なのか」
これから自己破産を検討している方の中には、免責許可が下りる(債務の返済が免除される)か不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、自己破産で免責許可が下りないケースや免責許可が下りなかったときにすべきことについてご紹介します。
1.免責許可が下りなくなる9つの免責不許可事由
自己破産の手続をしても免責不許可事由があれば、許可が下りないケースがあります。
主な免責不許可事由は、以下のとおりです。
- 浪費やギャンブル、投機的な行為が借金の原因である
- 一部の債権者にのみに対して返済を行った
- 財産を隠したり、毀損したりした
- クレジットカード等で購入した物を換価した
- 破産申立ての1年前から破産開始決定の日までの期間に「返済能力や意思がある」と偽って借金した
- 財産目録や債権者一覧表について虚偽の記載をした
- 管財人の業務に協力しなかった
- 前回の自己破産における免責決定から7年が経過していない
- 説明義務、財産開示義務などの破産法上の義務に違反した
たとえば、多重債務を負うことになった主な原因がギャンブルによる借入れだった場合は、免責不許可の決定がされる可能性があるでしょう。
また、複数の債権者がいる状況で特定の債権者にのみ返済(偏頗弁済)をしてしまった場合も免責不許可となる可能性があります。
いくつかのパターンがありますが、上記のいずれかに該当することがあれば、免責許可が下りないケースがあることを覚えておきましょう。
2.免責不許可事由があっても免責されるパターン
免責不許可事由があっても、裁判所の裁量による免責(裁量免責)を受けられるケースがあります。
裁判所は、免責不許可事由がある場合でも、破産手続開始決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して相当であると認めるときは免責許可の決定をすることができるとされているのです(破産法252条2項)。
これにより、免責不許可事由があったとしても、その程度が重大なものではなく、また、破産者に反省が見られるなどの事情があれば、免責許可の決定がされることになります。
そのような事情があるかどうかについては、裁判所によって選ばれた破産管財人の意見が重要になります。
破産管財人は、裁判所に代わって破産者の事情について調査し、免責が相当かどうかについての意見をすることになります。
ギャンブルによる借金があるのであれば、その金額等について破産管財人に包み隠さず話すようにし、反省を示すことで免責相当とする意見を出してもらいやすくなります。
免責相当の意見により、担当裁判官に破産手続後に経済的な更生が見込めると判断してもらえれば、免責不許可事由があっても免責を受けられる可能性は十分あります。
実際に、免責不許可事由がある場合でも、手続へ協力することにより多くの場合で裁量免責が認められているのです。
3.自己破産で免責許可が下りなかったときの3ステップ
免責不許可事由があっても裁量免責が認められるケースが多いことについてご説明しました。
しかし、多くないとはいえ、免責許可が下りないケースは存在します。
免責許可が下りなかった場合、即時抗告の申立てを行うことになります。
ただし、裁判所は、債務者が破産手続に至った経緯や債務者の一切の事情を考慮した上で免責許可・不許可の決定を行っていますので、その判断が尊重される結果、即時抗告で裁判所の決定が覆ることはレアケースであるといえます。
即時抗告の流れは以下のとおりです。
- 即時抗告の申立て
- 抗告審の審理
- 抗告認容・棄却の決定
これらについて詳しく説明します。
#1:即時抗告の申立て
即時抗告は、免責不許可決定の公告が効力を生じてから2週間以内に行う必要があります。
申立て先は免責不許可を決定した地方裁判所を管轄する高等裁判所、抗告状の提出先は免責不許可を決定した地方裁判所です。
たとえば、横浜地方裁判所に自己破産を申し立てていた場合は、東京高等裁判所宛の抗告状を横浜地方裁判所に提出して即時抗告を申し立てることになります。
#2:抗告審の審理
即時抗告を申し立てた後は、地方裁判所に申し立てた場合と同様に、破産手続に至った経緯や債務者の一切の事情等を考慮し裁判所に免責不許可の決定が正しかったのかどうか判断をしてもらうことになります。
#3:抗告認容・棄却の決定
破産手続に至った経緯や債務者の一切の事情等をもとに、免責許可が相当であれば抗告認容、免責不許可が相当であれば抗告棄却の決定が行われます。
4.最終的に免責許可が下りなかった場合
即時抗告でも免責許可が下りなかった場合は、従来どおり借金を返済しなければなりません。
通常、裁判所が免責不許可の決定をする見通しである場合は、申立てを取り下げるように促されることが多いです。
したがって、実際のところ、免責不許可となってしまう場合には取下げを行い、再度自己破産の申立てを行う、個人再生の手続を検討するといった手段がとられています。
まとめ
自己破産で免責許可が下りないというケースはかなりレアケースといえます。
この場合、即時抗告を行うことができますが、これが認容されるケースもかなりまれです。
免責不許可事由がある場合には裁量免責を受けられるよう、裁判所の調査に十分に協力し、事実について包み隠さず話をするようにしましょう。
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