自己破産のデメリット6選について紹介!よく誤解されやすい4つのこと

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。

「自己破産をするとどのようなデメリットがあるのか」
「自己破産をしても影響がないことってどんなのことなのか」

自己破産を検討している方の中には、生活にどのような影響があるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、自己破産のデメリットやメリット、世間から誤解されがちなことについてご紹介します。

1.自己破産のデメリット6選

自己破産のデメリット

自己破産には、知っておくべきデメリットがいくつかあります。

特に押さえておくべきデメリットは以下の6つです。

  1. 価値の高い財産が処分される
  2. 事故情報が信用情報機関に登録される
  3. 一時的に資格制限を受ける
  4. 保証人が一括請求を受ける
  5. 官報に個人情報が掲載される
  6. 借入の理由が問われる

生活に影響を及ぼすものもありますので、事前に確認しておきましょう。

(1)価値の高い財産が換価処分される

自己破産の手続きでは、破産者の生活のことを考え、一定の財産については処分がされずにそのまま本人が保有することが許されていますが、価値の高い財産は換価処分が必要となっています。

自己破産の手続きの中で、破産者が所有している財産を換価処分し、それを債権者への配当に充てるためです。

そのため、家や年式の比較的新しい車といった資産は価値が高いものとして手放す必要が生じるでしょう。

家や車は生活の基盤となるものなので、日常生活に変化が生じてしまう可能性がありますので事前にどの財産が換価処分の対象となるか弁護士に相談するのがおすすめです。

(2)事故情報が信用情報機関に登録される

自己破産をすることで、信用情報機関に事故情報が登録されます。

事故情報が登録されると、クレジットカードの利用や新規のローンを組むことができなくなる点は押さえておきましょう。

ただし、一生制限を受けるわけではなく、事故情報が削除されたら、従来どおり利用することが可能になります。
事故情報の登録期間は、信用情報機関によってさまざまです。

株式会社シー・アイ・シー(CIC) 株式会社日本信用情報機構(JICC) 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
免責許可決定確定日から5年 免責許可決定確定日から5年 手続開始決定日から10年

事故情報に関してはいずれ解消されるため、将来的にはローンの利用もできます。

(3)一時的に資格制限を受ける

自己破産の手続が開始されると、一時的に資格制限を受けてしまいます。

たとえば以下のような資格に基づいて仕事をしている方は、休職、もしくは転職を検討しなければなりません。

資格制限の対象

  • 士業
  • 卸売業者
  • 貸金業者
  • 教育委員会委員
  • 警備員
  • 警備業者
  • 建設業(一般建設業,特別建設業)
  • 後見人
  • 公証人
  • 質屋
  • 人事官
  • 生命保険募集人
  • 損害保険代理店
  • 宅地建物取扱主任者
  • 宅地建物取扱業
  • 廃棄物処理業者(一般廃棄物処理業者,産業廃棄物処理業者)
  • 保護者
  • 保佐人
  • 補助人
  • 遺言執行者
  • 旅行業務取扱主任者
  • 旅行業者

上記の職業は、他人の財産や情報を扱う分野なので、自己破産の手続中は制限を受けることになります。

しかし、資格制限は、自己破産の手続中のみで、手続が終了した段階で制限が解除されるので、そこまで深刻的に考える必要はありません。

一般的には、自己破産の手続は3~4か月で終わりますので、その期間の仕事、収入をどうするか考えておきましょう。

(4)保証人が一括請求を受ける

借入金に保証人がいる場合は、借り入れた主債務者が自己破産をすると、保証人が代わりに債務を払わなければいけなくなります。

保証人が債権者から一括請求を受けることになるため、負担をかけてしまうということもあるでしょう。

家族や親族が保証人となっている場合、その家族や親族も返済が難しければ保証人の方も債務整理を検討することとなるため、事前に相談をすることをおすすめします。

(5)官報に個人情報が掲載される

自己破産をした方の個人情報は、官報に掲載されます。

氏名や住所が公表されるため、周囲に知られるリスクはゼロとはいえないでしょう。

ただし、官報を欠かさず確認している一般の方はほとんどいないため、官報に個人情報が掲載されたからといって、知人に知られることはまずありません。

(6)借入の理由が問われる

自己破産の手続では、債務の理由がどのようなものか裁判所から問われます。

生活上、やむを得ずに借金をすることもあれば、娯楽等に打ち込んでしまい、借金を抱えてしまう方もいます。

債務理由がギャンブルや奢侈の場合は、免責不許可事由として自己破産が認められない可能性があります。

不安な方は、一度弁護士に自己破産をして免責を受けることが可能かどうか相談してみましょう。

2.自己破産のメリット

自己破産のメリット

自己破産にはいくつかのデメリットと考えられる点はありますが、その反面、借金の返済にめどが立たなくなってしまった方の生活を立て直すためにとても有益な手続で、大きなメリットがあります。

無事に手続が完了すれば、すべての借金が免除されることになるため、返済に追われる生活から脱することができます。

経済的に再起して新しいスタートを切ることができるため、借入金の返済が困難になってしまった方は自己破産を検討しましょう。

3.自己破産関連の4つの誤解

自己破産関連の4つの誤解

自己破産に関して、誤解されがちなことがいくつかあります。

特におさえていただきたいのは以下の4点です。

  1. すべての財産を失う
  2. 海外旅行ができなくなる
  3. 選挙権を失う
  4. 年金が受給できなくなる

生活に一時期の一定の影響は受けるものの、心配されるような過度の制限を受けることはありません。

自己破産前と同様に、生活できることを押さえておきましょう。

(1)すべての財産を失う

自己破産をすると全ての財産を失ってしまうとイメージする方もいらっしゃいますが、決してそのようなことはありません。

家や年式の新しい車などの価値の高い財産は手放さなければなりませんが、以下のような自由財産という破産をしてもそのまま保有することが許されている財産に含まれる財産は手元に残すことができます。

自由財産例

  • 99万円以下の現金
  • 20万円以下の預貯金
  • 査定額が20万円以下の車
  • 支給見込額の8分の1相当額が20万円以下の退職金債権
  • 支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7相当額
  • 家財道具
  • 破産手続開始後に取得した財産

自己破産をしたからといって、生活ができなくなることは決してありませんので、ご安心ください。

(2)海外旅行ができなくなる

自己破産の手続中は、移動制限がかけられますが、手続が終了するとそのような制限は亡くなるため、事由に海外に旅行することが可能です。

収入の使い方についても破産手続き開始決定後の収入は原則としてどのように使おうが自由なので、旅行に支出することもできます。

なお、自己破産手続中でも、仕事のために海外に行かなければならないなど、相当の理由があれば、事前に裁判所の許可を得ることで可能です。

(3)選挙権を失う

自己破産をしても選挙権を失うことはありません。

選挙権は、18歳以上の日本国民全員に認められている権利なので、自己破産をしたとしても影響なく行使することができます。

当然自己破産の手続中でも選挙権の制限を受けることはないため、選挙に参加することが可能です。

(4)年金が受給できなくなる

自己破産をしても、対象年齢になったときに年金を受給することができます。

老後の生活に影響があるのではないかと不安になるかもしれませんが、問題ありません。

なお、すでに年金を受給している方は、自己破産をした場合でも、従来どおり年金を受け取ることができます。

まとめ

自己破産をすることで、すべての借金がなくなりますが、一定のデメリットが生じてしまいます。

しかし、生活に一時期多少一部の影響はあるものの、高額な一部の財産以外は手元に残すことができ、変わらずに生活をすることができます。

自己破産に関して誤ったイメージを持つ方も一部いらっしゃいますが、今回ご紹介した内容を確認していただき、自己破産の手続を行うかの参考にしてもらえればと思います。

債務整理でこんなお悩みはありませんか?

もう何年も返済しかしていないけど、
過払金は発生していないのかな・・・
ちょっと調べてみたい

弁護士に頼むと近所や家族に
借金のことを知られてしまわないか
心配・・・

  • ✓ 過払金の無料診断サービスを行っています。手元に借入先の資料がなくても調査可能です。
  • ✓ 秘密厳守で対応していますので、ご家族や近所に知られる心配はありません。安心してご相談ください。

執筆者 花吉 直幸 弁護士

所属 第二東京弁護士会

社会に支持される法律事務所であることを目指し、各弁護士一人ひとりが、そしてチームワークで良質な法的支援の提供に努めています。