自己破産で慰謝料は払わずに済むのか?免責されるための条件
「自己破産によって慰謝料は払わずに済むのか」
「自己破産で慰謝料が免責されるにはどんな要件をクリアすればよいのか」
自己破産を検討している方の中には、慰謝料が免責対象になるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、自己破産で慰謝料が免責されないケースや免責されるための条件等についてご紹介します。
1.自己破産で慰謝料は払わずに済むのか
結論から述べると、自己破産によって慰謝料の支払い義務が免除されることがあります。
自己破産は、税金等を除いてすべての債務が免責されるのが原則です。
その債務の中に慰謝料は含まれるため、自己破産によって裁判所から免責が許可されれば、慰謝料を払わずに済みます。
仮に、離婚等によって慰謝料を払うことになった場合でも、自己破産によって免責を受けられれば、慰謝料の支払いも免除される可能性があるでしょう。
2.自己破産で慰謝料が免責されないケース
基本的には、自己破産によって慰謝料は免責されますが、免責されないケースも存在します。
主に慰謝料が免責されないケースは以下の2つです。
- 免責不許可事由に該当する場合
- 慰謝料が非免責債権に該当する場合
破産者側に落ち度がある場合は、自己破産をしても慰謝料が免責されないことがあります。
どのようなケースで慰謝料が免責されないのか確認しておきましょう。
(1)免責不許可事由に該当する場合
借金の理由が免責不許可事由に該当する場合は、免責が許可されないため、慰謝料も免責されません。
主な不許可事由は以下のとおりです。
- 浪費やギャンブル、投機的な行為が借金の原因である
- 債権者を害する目的で、財産を隠したり、毀損したりした
- 破産申立ての1年前から破産開始決定の日までの期間に「返済能力や意思がある」と偽って借金をした
- 財産目録や債権者一覧表について虚偽の記載をした
- 管財人の業務に協力しなかった
- 前回の自己破産における免責決定から7年が経過していない
借金をした原因に問題があれば、慰謝料の内容に関係なく支払いを要求される可能性が高いでしょう。
なお、免責不許可事由に該当する場合でも、破産手続開始決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して相当であると認めるときは免責許可が決定される(裁量免責)ことがあります。
免責不許可事由に該当する方は、弁護士に相談して裁量免責の可能性があるか確認してみましょう。
(2)慰謝料が非免責債権の場合
慰謝料の原因によって非免責債権とみなされれば、慰謝料が免責されません。
非免責債権の要件として以下の2つがあります。
- 破産者が悪意で不法行為をした
- 破産者が故意または重大な過失によって人の生命又は身体を害する不法行為をした
これらの不法行為に対する慰謝料の場合は、支払が免除されません。
たとえば、暴力は相手方を傷つけることが明らかなので、暴力による慰謝料の場合は非免責債権に該当する可能性があります。
裁判所から慰謝料の内容が非免責債権に該当すると判断された場合は、自己破産を行ったとしても、相手方から強制執行されるおそれがあることを押さえておきましょう。
3.自己破産で慰謝料が免責されるための条件
自己破産で慰謝料が免責されるためには、上記で紹介した免責されないケースに該当しないことも求められます。
改めて慰謝料が免責されるための条件を出すと以下の2点をクリアしなければなりません。
- 悪意の不法行為でない
- 生命・身体に加えた不法行為が善意無重過失
慰謝料の原因を振り返って、免責されるための条件に該当しているか確認しましょう。
(1)悪意の不法行為でない
不法行為による慰謝料でも悪意でなければ、免責される可能性があります。
故意または過失によって他人の権利を侵害する行為に該当しなければ、支払いの免除が期待できるでしょう。
浮気や不倫は悪意の不法行為と思われがちですが、配偶者に対する積極的な害意があったとは認められないという理由で、悪意の不法行為に該当しないと判断されている裁判例もあります。
ただし、浮気や不倫が原因で慰謝料を請求されている方は個別に判断される形になるため、あくまで参考としてとらえておきましょう。
(2)生命・身体に加えた不法行為が善意無重過失
生命・身体に加えた不法行為が善意無重過失の場合も免責されることがあります。
慰謝料が非免責債権になるケースに、「破産者が故意または重大な過失によって人の生命又は身体を害する不法行為をした」がありますが、故意または重過失でなければ免責されると言い換えることが可能です。
つまり、相手を危険にさらすことを想定できなかった場合ややむを得ない事由がある場合は、相手の生命・身体に対する不法行為をしても免責される可能性があります。
たとえば、急なバイクの飛び出しを避けた際に、隣を歩いていた通行人を押し倒して怪我させてしまった場合は、正当防衛として善意無過失が認められる可能性が高いです。
この場合は、たとえ慰謝料が発生していたとしても、自己破産によって免責を受けられることが期待できるでしょう。
まとめ
慰謝料は、自己破産によって免責を受けられる可能性があります。
悪意の不法行為や、故意または重大な過失による生命又は身体を害する不法行為でなければ、基本的に免責が許可される可能性が高いです。
慰謝料の支払いで借金をしている方は、自己破産によって解決することがある点を押さえておきましょう。
なお、弁護士法人みずきでは、自己破産に関する相談を無料で受け付けておりますので、慰謝料等でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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