後遺障害等級4級の主な症状と慰謝料の相場とは?弁護士が解説
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「家族が交通事故に遭い後遺障害4級に認定されたけど、どういうことだろう」
「後遺障害4級って、どのくらい慰謝料がもらえるのだろう」
後遺障害等級4級には、両目視力の低下、両耳の聴力の喪失、両手足の欠損・機能障害など、生活に密接に関連する障害が多く含まれます。
このように、突然の交通事故で重い障害を負ってしまうと、後遺障害の認定や賠償金の問題など今後どうすれば良いのかわからず不安になる方もいらっしゃると思います。
本記事では、後遺障害等級4級とはなにか、後遺障害等級4級の概要・認定要件、賠償金に関することや、後遺障害等級4級に認定された場合に弁護士に相談するメリットついてご説明します。
この記事を読んで、交通事故に遭い後遺障害4級に認定された場合、今後のとるべき行動などにおいて貢献できれば幸いです。
1 後遺障害等級4級
(1)後遺障害等級4級とは
そもそも、後遺障害とは、交通事故が原因であると医学的に証明されるとともに、労働能力の低下(あるいは喪失)が認められ、さらに、その程度が自賠責保険の等級に該当するものをいいます。
そして、後遺障害認定を受けるためには、一定期間必要な治療を行ったにもかかわらず症状が残存し、これ以上治療をしても効果が認められず、病気や弊害が半永久的に続く状態(「症状固定」といいます)となっている必要があります。
申請を行うと、損害保険料率算出機構が、後遺障害診断書等の資料を確認・検討し、後遺障害等級の認定が行われます。
後遺障害等級は、後遺障害の慰謝料や賠償金の算定の目安となるもので、後遺障害の内容に応じて、重いものから順に1~14級が定められています。
後遺障害等級4級は、両目視力の低下、両耳の聴力の喪失、両手足の欠損・機能障害など生活に著しい支障を及ぼす障害が多く含まれます。
(2) 後遺障害4級の認定条件
後遺障害4級に認定される主な条件(症状)は以下のようなものになります。
1号 両目の視力が0.06以下になったもの 2号 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの 3号 両耳の聴力を全く失ったもの 4号 1上肢をひじ関節以上で失ったもの 5号 1下肢をひざ関節以上で失ったもの 6号 両手の手指の全部の用を廃したもの 7号 両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
(3) 後遺障害等級4級となる各症状
#1 1号(両目の視力が0.06以下になったもの)
交通事故によって、両目の矯正視力が0.06を下回る状態になると、第4級1号が認定されます。なお、矯正視力を基準としているため、眼鏡・コンタクトレンズ・眼内レンズを着用することで視力が0.06を超える場合は適用されません。
#2 2号(咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの)
(1)そしゃく機能の著しい障害
「そしゃく機能に著しい障害を残すもの」とは、粥食またはこれに準ずる程度の飲食物(おじや、やわらかいうどんなど)以外を食べられない状態をいいます。
また、「そしゃく」とは、食べ物を消化できる状態まで口の中で噛み潰す動作をいいます。おじや、やわらかいうどん等であれば噛み潰す動作をほとんどしなくても消化することができるので、本人は食べることができます。
これら以外を食べることが難しくなった場合には、「そしゃく機能に著しい障害」があると疑ってもよいかもしれません。
(2)言語機能の著しい障害
「言語の機能に著しい障害を残すもの」の主な症状は、以下の4種の語音のうち2種の発音ができないことです。
① 口唇音(ま行・ぱ行・ば行・わ行の音、および「ふ」) ② 歯絶音(な行・た行・だ行・ら行・さ行・ざ行の音、および「しゅ」「し」「じゅ」) ③ 口蓋音(か行・が行・や行の音、および「ひ」「にゅ」「ぎゅ」「ん」) ④ 喉頭音(は行の音) |
他方で、3種の発音ができたとしても、語音をつなげること(綴音)ができないため、言葉による意思疎通ができない場合も、同様に「言語機能に著しい障害を残すもの」とされます。
例えば、口唇音「ぼ」、口蓋音「く」、歯絶音「ら」、口蓋音「が」と3種の音を別々に発音はできるが、つなげて「ぼくらが」と発音できない状態のことです。
言語機能の著しい障害が残ると、発音や意思疎通が難しく、他者とのコミュニケーションが取りづらくなるため、孤立や引きこもりに陥るおそれがありますってしまうので、お仕事への影響が生じやすいです。
なお、3種以上の発音ができない場合は症状がより重いと判断され、3級2号に該当することになります。
#3 3号(両耳の聴力を全く失ったもの)
交通事故が原因で両耳の聴力を完全に失った状態です。聴力の喪失は具体的な検査数値で下記のように定められています。
世界保健機関(WHO)の定めた難聴レベルの分類によると、以下の表のようになります。
難聴レベル | 平均聴力レベル | 聞こえの目安 |
軽度 | 26~40dB | 普段の会話にはほとんど支障がないが、小さな声での会話 または 騒々しいところでの会話が聞き取れないことがある。 |
中等度 | 41~55dB | 普段の会話でも比較的大きめの声でゆっくり話せば聞き取れるが、少し離れるとあまり聞き取れない。 |
やや高度 | 56~70dB | 普段の会話でも比較的大きめの声でゆっくり話せば聞き取れるが、少し離れるとあまり聞き取れない。 |
高度 | 71~90dB | 耳もとで大きな声でやっと聞き取れる程度。 |
重度 | 91dB以上 | 普段の会話はほとんど聞き取れない。 |
「聴力を全く失い」とは、90デシベル以上の音でないと聞き取れない状態(平均純音聴力レベルが90デシベル以上)をいいます。
90デシベル以上は、パチンコの店内や騒々しい工場の音などに匹敵するかなりの音量になります。
つまり、日常の音がほぼ聞き取れない状態が「聴力を全く失」った状態といえるでしょう。
#4 4号(1上肢をひじ関節以上で失ったもの)
交通事故により片方の腕を肘関節から肩関節の間で失った状態です。
「1上肢をひじ関節以上で失う」とは次のいずれかの場合をいいます。
・肩関節において、肩甲骨と上腕骨を離断したもの
・肩関節とひじ関節との間において上肢を切断したもの
・ひじ関節において、上腕骨と橈骨(とうこつ)及び尺骨と手根骨とを離断したもの
いずれも片手が使えなくなるため、生活に大きな支障を生じます。
※両上肢を手関節以上で失うと2級3号、ひじ関節以上で失うと1級6号となります。
#5 5号(1下肢をひざ関節以上で失ったもの)
交通事故により片方の脚を膝関節と股の付け根の間で失った状態です。
「1下肢をひざ関節以上で失う」とは、次のいずれかの場合をいいます。
・股関節において寛骨と大腿骨を離断したもの
・股関節とひざ関節との間において切断したもの
・ひざ関節において、大腿骨と脛骨(けいこつ)及び腓骨(ひこつ)と距骨とを離断したもの
いずれも片足が使えなくなったり、思うように動かせなくなるため、生活に大きな支障を生じます。
※両下肢を足関節以上で失うと2級4号になります。
#6 6号(両手の手指の全部の用を廃したもの)
「手指の全部の用を廃したもの」とは両手の指の全ての機能を失った状態をいいます。
症状は2つあり、いずれかを満たせば、機能を失ったと判断されます。
①手指の末節骨の半分以上を失った場合
末節骨は指先の部分のことをいいます。
指先を切断した場合、第4級6号に該当しますが、さらに切断部分が広がると第3級5号に該当することになります(両手の手指の全部を失った場合)。
②麻痺による運動障害(中手指節関節若しくは近位指節間関節に著しい運動障害を残す)
①のように指を切断していなくても、麻痺が原因で正常に動かせない場合は、4級6号に該当することになります。麻痺の基準は以下のとおりです。
・親指の場合、第1関節より根本の可動域が2分の1以下
・親指以外の指の場合、第2関節より根本の可動域が2分の1以下
#7 7号(両足をリスフラン関節以上で失ったもの)
交通事故により、両足の足元を失った状態をいいます。
リスフラン関節とは、簡単にいえば、足の甲のことです。
そして、「リスフラン関節以上で失う」とは、次のいずれかに該当する場合をいいます。
・足根骨(踵骨、距骨、舟状骨、立方骨及び3つの楔状骨(けつじょうこつ)からなる。)において切断したもの
・リスフラン関節において中足骨と足根骨とを離断したもの
2 後遺障害4級を認定されると請求できる賠償金相場
(1)後遺障害慰謝料
交通事故で被害にあったことによる慰謝料の金額を算出する際、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の三つの計算基準があります。
一つ目は、自賠責基準です。これは自動車やバイクを運転する際に加入が義務付けられている自賠責保険が定めている基準です。
交通事故被害者のための最低限度の保障を目的とするものですから、金額は低廉となります。
二つ目は、任意保険基準で、任意保険会社が定めている基準です。各社が任意に決めているため一概にはいえませんが、一般的には自賠責基準よりも少し高めか同程度であることが多いです。
三つ目は、弁護士基準(裁判基準)です。弁護士基準(裁判基準)とは過去の裁判例をもとに算出された慰謝料額の目安のことで、ほとんどの場合、三つの中で慰謝料の額が最も高額となります。
各基準の金額を表にまとめると以下の通りです。
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
737万円
※2020年3月31日までに発生した事故は712万円 |
約800~900万円 | 1670万円 |
弁護士基準(裁判基準)を用いると、自賠責・任意保険各規準の約2倍の慰謝料となることが分かります。
弁護士に依頼することで、この基準で算出した慰謝料を相手方に請求することができるので、慰謝料の大幅な増額が期待できます。
(2)後遺障害逸失利益
交通事故が原因で後遺症が残った場合、仕事に様々な支障が生じます。その支障を労働能力の喪失としてとらえ、それにより被害者が将来得られたであろう収入が失われたことによる損害を後遺障害逸失利益といいます。
後遺障害逸失利益は、交通事故前の収入(基礎収入)に、後遺障害による労働への影響(労働能力喪失率)と、労働能力喪失期間に対応した係数(ライプニッツ係数)を乗じて求めることができます。
なぜ、係数を用いるかというと、将来発生する損害を先にもらうことになるので、その分の利息を控除して計算する必要があるからです。これを中間利息の控除といいます。
後遺障害逸失利益 = ①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
① 基礎収入とは、後遺障害がなければ得られたであろう収入のことです。
原則として、被害者が交通事故に遭う前の収入を基準としていますが、現実収入のない主婦(主夫)や学生でも認められることがほとんどであり、その場合には賃金センサス(*)に基づき平均賃金を基準とすることもあります。
*賃金センサスとは、労働者の賃金の実態について、雇用形態・就業形態・職種・性別・年齢・学歴・勤続年数・経験年数等別に明らかにするため、厚生労働省が毎年行う「賃金構造基本統計調査」による結果のことをいいます。
② 労働能力喪失率とは、後遺障害により労働能力が喪失した割合のことです。
自動車損害賠償保障法(自賠法)は、労働能力が喪失した割合を後遺障害の等級に応じて数値化して一律に定め、以下のように表にしています。原則として、労働能力喪失率表に基づいた割合で後遺障害逸失利益を計算することになります。
後遺障害等級4級の場合の労働能力喪失率は、92%です。
③ 労働能力喪失期間とは、後遺障害が残ったことにより事故前と同じ仕事ができなくなるであろう将来の期間のことです。就労可能年数ともいわれます。
一般的には67歳までとされることが多いですが、平均余命を用いて算出する場合もありますので、ご自身がどのくらいの期間になるかについては弁護士に相談しましょう。
3 後遺障害4級で弁護士に相談するメリット
弁護士に相談するメリットについてご説明します。
(1)交渉や後遺障害申請等の手続を一任
弁護士に依頼した場合、相手方とのやり取りは全て弁護士が行うことになります。
また、後遺障害申請手続も、加害者側保険会社に任せることなく被害者請求という手続きで進めることができます。
加害者や保険会社とやり取りをする必要はなくなりますし、ご自身で手続きを進めるよりもスムーズかつストレスなく進めることができます。
後遺障害4級は、後遺障害等級の中でも比較的重い部類に該当します。
ただでさえ、交通事故後の治療で負担が大きいにもかかわらず、1人だけで慣れない手続きに対応していくのは、精神的にも肉体的にもかなり負担が大きいと思われます。
しかし、弁護士を雇っていれば、それらの負担を抱える必要はありません。依頼した後は治療と日常への復帰に専念できるので、事故対応のストレスが軽減され時間の節約にもつながるでしょう。
(2)慰謝料の増額
弁護士が介入した場合、慰謝料額はおよそ2倍に増額します。
これは、弁護士が被害者の代理人として交渉する場合、交渉が決裂すると裁判に移行する可能性が高くなり、相手方も弁護士基準で示談に応じざるを得なくなるからです。
そのため、慰謝料の増額は弁護士に相談する大きなメリットと言えるでしょう。
(3)適切な後遺障害等級獲得のし易さ
後遺障害等級の認定は、資料に基づく書面審査のため、提出書類によっては思うような認定結果が得られないケースが多々あります。
後遺障害申請には、医療だけでなく法律の知識も欠かせません。
そのため、病院と保険会社に必要書類の作成・準備などの申請手続きを任せきりにしてしまうと、申請内容に不備が生じる可能性がどうしても出てくるのです。
しかし、交通事故の案件を多く取り扱う弁護士であれば、後遺障害診断書の適切な書き方や、証拠として役立つ書類、受けておいた方がよい検査などを熟知しています。弁護士に手続きを任せれば、本来獲得できるはずの後遺障害等級が認定されないリスクを抑えることができるでしょう。
まとめ
本記事では、後遺障害等級4級の概要や認定条件のほか、弁護士に相談するメリットなどをご紹介しました。
また、専門家である弁護士に相談することで、後遺障害等級4級認定で生じたご不安の解決や慰謝料額の相談ができるでしょう。
後遺障害等級4級について懸念点などがある方は、一度弁護士に相談することをおすすめします。
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