個人再生、ご相談から手続き終了までの流れと期間について
債務整理の手続きの一つとして個人再生手続きがあります。
この個人再生手続きは、借金を5分の1程度に圧縮することができるため任意整理よりも返済総額を少なくすることができ、住宅等の財産価値の高いものはすべて処分しなければならない自己破産とは異なり住宅ローンを支払い続けることで、マイホームを手元に残しておけるとの利点があります。
債務整理をご検討中の方の中には、個人再生の手続きが適したご状況の方も多いと思います。
特に返済に困難を抱えているものの、ローンの残る自宅を手放すことに抵抗があるような方にとって、個人再生手続きはおすすめの手続きです。
しかし任意整理や自己破産の手続きと比較すると、馴染みのないお手続きということもあり、手続きにも複雑な点があります。
この記事では、個人再生の手続きの流れや期間を説明します。
大まかな流れや期間のイメージがつけば、今後のスケジュールが立てやすく、手続きもスムーズに進めることができるようになるでしょう。
1.個人再生とは
個人再生手続きは、裁判所に負債の圧縮を認めてもらい、その圧縮した後の金額を返済することができれば残りの負債が免除されるという手続きです。
借金の返済額が大きく支払いが困難な状況ではあるものの、継続的な収入があり、圧縮後の金額であれば返済可能という方が選択できる手続です。
また、住宅ローン付のご自宅をお持ちの方の場合は、同じ法的整理である自己破産手続きだと不動産など一定の価値がある資産は手放さなければならないところ、個人再生手続きにおいては「住宅資金特別条項」を利用することで自宅を手放すことなく経済的に立ち直る機会が得られることも特徴です。
2.個人再生の手続きとスケジュール
では、個人再生はどのような流れ・期間で進んでいくのでしょうか?
弁護士に依頼いただいた前提で小規模個人再生の手続きについてその内容とスケジュールをご説明します。
(1) 弁護士への相談・ご依頼
借金が多く、返済を続けることが難しくなった場合、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産の3つの手続きがあり、返済が困難な方はいずれかの手続きをとるべきであることが少なくありません。
借金問題のご相談は、多くの法律事務所が無料相談を実施しています。
当事務所でも無料相談を実施しています。
無料相談の場では、弁護士が、ご相談者の借入れ、資産、家計の収支などの状況をもとに最適な手続きをご提案します。
(2) 債権者への受任通知の送付
弁護士はご依頼を受けると、各債権者に対し受任通知を送付します。
この通知以降は、債権者への窓口は弁護士が行うため、債務者への直接の督促はなくなります。
(3) 借入・所有財産の調査、申立書類の作成
個人再生手続きは、裁判所所定の申立書類と添付資料を裁判所に提出することによってはじまります。
そのため、提出書類作成のための調査と資料収集が必要となります。
資料収集にあたっては、債権者から収集するものと、依頼者が用意するものとがあります。
申立代理人である弁護士は、それら収集した内容を元に申立書類を作成します。
(4) 個人再生の申立て
すべての準備がそろったら管轄の裁判所に申立てを行うことで個人再生手続きがスタートします。
(5) 個人再生委員の選任
個人再生委員とは手続きを迅速かつ適切に処理するために裁判所を補助する弁護士で、必要に応じて裁判所が選任します。
個人再生委員の選任の要否は、各裁判所によって運用が異なります。
すべての事件に対して個人再生委員を選任する裁判所もあれば、裁判所が必要と判断した場合にのみ選任する運用をおこなっているところもあります。
たとえば、東京都と茨城県の管轄裁判所は全件個人再生委員を選任する方式を採用しています。
他方で、栃木県、埼玉県、神奈川県、千葉県などは、特定事件にのみ個人再生委員を選任する方式をとっています。
なお、個人再生委員が選任された場合、再生委員に対する報酬が生じ、申立人が支払う必要があります。
支払い方法は、申立て時に一括支払いや、後に説明する履行テストと兼ねるなど裁判所よって運用は様々です。
再生委員費用の準備が必要かどうかは、申立てのスケジュールにもかかわってくるため、弁護士と相談し調整する必要があるでしょう。
(6) 再生手続きの開始決定(申立てから1か月後)
裁判所で申立書類の検討を行い、問題がなければ開始決定が行われます。
申立てから1か月ほど要します。
(7) 履行テストの開始
個人再生の手続きでは、多くの裁判所で、再生手続き開始決定後に、予定する弁済額を積み立てさせる運用を行っています。
いわゆる「履行テスト」と呼ばれるこの制度は、再生債務者の返済能力を確認するためのものです。
個人再生委員が選任された手続きにおいては、個人再生委員の管理する口座に積立を行います。
下記の手続きと並行して約6か月間テストを行い、認可決定後に再生債務者に返還されます。
(8) 債権届出、債権調査等(申立てから3~4か月後)
開始決定後、裁判所から債権者に書面が送付され、債権調査を行います。
(6)の開始決定からおよそ2~3か月ほどで調査が完了し、債権額が確定します。
(9) 再生計画案の作成、提出(申立てから5~6か月後)
再生計画案の提出は、個人再生手続きの中で最も大切な手続きのうちのひとつで、再生債務者の代理人である弁護士が行います。
弁護士は、上記(8)の手続きで確定した債権額に免除率を適用した金額をどのように返済していくかの計画を練り、再生計画案という書面にして裁判所へ提出します。
(10)再生計画案の認可決定(申立てから8~9か月後)
再生債務者代理人が提出した再生計画案について、裁判所が認可するかを判断します。
認可には一定の要件があり、債権者や個人再生委員の意見も考慮対象となります。
裁判所は再生計画案を認可する場合、認可決定という決定を出します。
(11)支払いの開始
裁判所が認可決定を出した後、その計画が確定するまで約1か月程度かかります。
認可決定が確定した場合、再生手続きは終了します。
手続き終了後、再生債務者は再生計画に基づき計画弁済を行います。
再生計画に基づく計画弁済は、認可決定の確定日が属する付の翌月からはじまります。
手続き後、3年の返済期間(または5年)が続くので、きちんと返済ができるように家計の管理が大事になります。
まとめ
個人再生の手続きの流れやスケジュールをご説明しました。
個人再生では申立後、たくさんのステップの後に手続きが終結します。
このため申立後約10か月の長期に及ぶ手続きになることもあります。
今回の記事をご参考いただき、個人再生のスケジュールについて大まかに理解できれば、よりスムーズにお手続きを進めることができるかと思います。
個人再生は複雑な制度ではありますが、住宅を維持したままの債務整理が可能であったり、返済額を減額できたりとメリットも大きいです。
借金の返済にお困りの方は、弁護士へのご相談をぜひご検討ください。
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