【個人再生のデメリットとは?】失敗しないための注意点もあわせて紹介

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「個人再生は、借金を大幅に減額してもらえると聞いたけど、それなりのデメリットがあるのでは?」
「個人再生の手続後に気をつけるべきことは何だろう?」
債務整理の手続として個人再生を考えているものの、このような疑問や不安を抱かれている方は多いのではないしょうか。

個人再生は、借金を大幅に減額できるというメリットがある反面、デメリットがあることも事実です。

この記事では、個人再生のデメリットや注意点をご説明します。

手続を行うかお悩みの方の参考となれば幸いです。

1.個人再生とは

個人再生とは、借金返済が困難になった人が、裁判所から借金を一定の割合に減額した再生計画の認可決定を受け、再生計画どおりに返済を終えることを条件に残りの借金を免除してもらう、という手続です。

個人再生手続には、小規模個人再生手続と給与所得者等再生手続の2つがあり、それぞれ必要な条件や手続概要が異なります。

2.個人再生のデメリット

個人再生は、債務を大幅に減額できる可能性がある一方で、様々なデメリットがあります。

具体的にどのようなデメリットがあるのか、ご説明します。

(1)ブラックリスト入りする

個人再生のデメリットの一つ目としてまず、ブラックリスト入りが挙げられます。ブラックリスト入りとは、信用情報機関に事故情報が登録されている状態のことを指します。

信用情報機関には、個人の借入れ等の契約履歴が登録されていますが、それだけでなく契約者が借入金を返済できなくなったことなどの金融事故の情報、すなわち事故情報が登録されています。

事故情報が信用情報機関に登録されていると、借入れなどの申込みを受けた金融機関の審査の際、照会によりそのことがわかってしまいますので、審査が否決されてしまいます。

そのため、クレジットカードを利用したり、新たな借入れをしたりすることが困難になります。

このように、個人再生を行うとブラックリスト入りしてしまい、ローンやクレジットカードの利用ができなくなる可能性があります。

(2)官報に掲載される

個人再生をすることで考えられる二つ目のデメリットは、官報に名前や住所などが掲載されることです。

官報とは、政府が発行している機関紙のことです。

一般の本屋で入手できるものではないため、一般人の目に触れる機会は少ないといえますが、それでもなんらかのきっかけで周囲の方に知られてしまうこと可能性が全くないとはいえません。

このように、一般の方にはなじみがないものの、個人再生を行うと官報に掲載されるというデメリットがあります。

(3)手続そのものに費用・時間がかかる

個人再生におけるデメリットの三つ目は、裁判所を介した手続であるため、任意整理と比べて費用や時間がかかることが挙げられます。

個人再生は裁判所を介して借金の減額を図る手続のため、申立てのための必要書類の準備が必要となります。

以下に、必要とされる書類の一部を紹介します。

  • 所有している全ての銀行口座の1~2年間の取引履歴
  • 給与明細(申立て前数か月分)
  • 家計収支表(申立て前数か月分)
  • 前年度の収入に関する資料(課税証明書等)
  • 住民票

以上の他にも、所有している財産に関する資料を提出する必要があります。

さらに、裁判所に提出する申立書の作成も必要になりますし、書類に誤りがあると手続が進まなくなるおそれもあります。

また、費用に関しては、予納金と呼ばれる裁判所に支払う手数料や裁判所から選定される個人再生委員への報酬があります。

一般的に、再生委員が選任された場合、裁判所へ支払う費用だけでも数十万円かかるケースが多いです。

提出書類や申立書に誤りがあると取り返しのつかないことになる可能性もあるのが個人再生ですので、申立てについては弁護士にご依頼されることをおすすめします。

(4)財産を引き上げられる場合がある

個人再生のデメリットの四つ目は、財産を引き上げられる場合があることです。

車などの資産にローンが残っている場合、個人再生を行うとローン会社にそれらの資産を引き上げられる可能性があります。

例えば、自動車ローンを利用している場合、ほとんどはその自動車に「所有権留保」がつけられています。

これは、ローンが残っている間、自動車の所有権はローン会社に残してあり、支払を完了した場合に契約者の名義にするというもので、支払が滞ってしまったときに、自動車を引き上げて売却し、その代金を返済にあてられるようにするものです。

個人再生は約束どおりの支払ができないことを表明する行為ですから、所有権留保がついている場合は、ローン会社によって自動車が引き上げられてしまいます。

ローンの残っている不動産に抵当権がついている場合も、強制競売にかけられてしまう可能性があります。

このように、ローンが残っている財産を持っている場合は、これを失うリスクがあることを理解しておく必要があります。

3.個人再生における注意点

ここまで、個人再生において考えられるデメリットを紹介しました。

次に、個人再生を行う上で注意しておくべきことをご説明します。

(1)借金総額が5,000万円を超える場合、個人再生ができない

個人再生は、借金の総額が5,000万円を超える場合、利用することができません。

ただし、一例として、住宅資金特別条項(住宅ローンがある場合の特則)を利用できる場合、住宅ローンの金額は、この5,000万円を超えているかどうかを判断する債務には含まれません。

このような5,000万円の基準判断にどのような債務が含まれるかについては、専門的知識が必要ですので、債務が多額な場合は弁護士へのご相談をおすすめします。

(2)自己破産と異なり返済が免除されるわけではない

自己破産の場合、裁判所から免責許可決定を得られれば、債務の返済義務を免除されます。

一方、個人再生の場合、再生計画上、借金が大幅に減額されますが、減額された金額の返済が滞ってしまうと、減額分が復活してしまいます。

そのため、減額された借金を完済できる見込みがない場合、個人再生の利用はおすすめできません。

そもそもそのような場合、提出資料から、再生計画どおりの返済が難しいと判断され、再生計画の認可決定を得られないと思われます。

このように個人再生は、自己破産と異なり全額の返済が免除されるものではないことには注意が必要です。

(3)個人再生の手続を進められなくなる場合がある

個人再生手続では、裁判所に対して必要書類を提出し申立てを行いますが、その後手続を進められなくなる場合があります。

手続が進まなくなるケースをいくつかご紹介します。

  • 個人再生手続の費用の予納がない場合
  • 再生計画の見込みがない場合
  • 不当な目的で申立てがなされた場合

以上のように、個人再生の手続を進められなくなり、申立てを取り下げざるを得なくなることがあります。

ただし、弁護士と包み隠さず協議して方針について十分検討し、裁判所の指示を守っていれば、このような事態に陥ることはほとんどありません。

そのような意味でも、個人再生手続を行う際は弁護士の力を借りたほうがよいでしょう。

4.個人再生で失敗しないために

繰り返しの説明になりますが、個人再生は手続が困難で必要以上に時間がかかることや、手続を進められなくなるなど望まない結果になりかねません。

そのような状況を避けるために、どのような策があるかをご説明します。

(1)必ず弁護士に相談する

まず、個人再生において望まない結果を避けるためにできることとして、弁護士に相談することが挙げられます。

ここでは、弁護士に相談することのメリットの一部を紹介します。

  • そもそも個人再生に適している状況かどうかを聞くことができる
  • 申立書類の作成の場面で失敗するリスクが低くなる
  • 必要書類の準備をサポートしてもらえる
  • 受任通知を送ることで債権者からの取立てが止まる

このように、弁護士は個人再生に関する専門的知識を持っているため、依頼者が様々なサポートを受けられたり個人再生で失敗するリスクが低くなります。

少しでも個人再生に関するお悩みがある方は、まず弁護士にご相談ください。

(2)個人再生以外の手段も検討する

債務整理の手段には、個人再生以外にも任意整理や自己破産などがあります。

個人再生以外の手段にも、それぞれに特徴があり、状況に応じた手段を選択することが重要です。

例えば自己破産は、借金の返済義務がなくなるため経済的なメリットは大きいと言えます。

また、任意整理は、対象とする債権者を選択する余地があるため、ローンの残っている車を手元に残せるといった特長があります。

ご自身の経済状況や資産状況を考慮して、どのような手段が適切なのかを検討してみることも必要です。

(3)個人再生手続後の余力を考える

個人再生は、手続後に残った借金の返済を再生計画に基づいて行う必要があります。

そのため、借金返済の余力があるかどうかを考慮することが重要です。

仮に個人再生手続後の返済を滞納した場合、再生計画が取り消されてしまうおそれがあります。

また、再生計画が取り消されてしまうと残額の免除が得られず、結局減額前の借金を支払わなければならなくなります。

そうすると、手続のために行ったことが水の泡です。

そうならないためにも、ご自身が個人再生手続後、返済を継続できるのかを考えておく必要があります。

まとめ

個人再生には、手続上の難しさや手続をすることで起こりうるデメリットがあります。

ご自身が個人再生を成功させることができる状況にあるのか、個人再生が適切な判断といえるのかを知るためにも、一度弁護士に相談することをおすすめします。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

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