20年前の過払金でも請求できるのか?過払金が発生しないケースを紹介
「過払い金の時効は10年と聞いたけど、20年前の過払い金返還請求はできない?」
「過払い金の時効や発生条件を知りたい」
過払い金の時効は10年と聞くと、20年前に発生した過払い金の返還請求はできないと思ってしまうかもしれません。
しかし、過払い金の時効が成立するのは債権者との最後の取引から10年が経った場合になります。
ですので、現在借金を返済中であったり借金完済から10年たっていない場合は、過払い金返還請求を行うことができます。
本記事では、20年前の過払い金でも返還請求ができる根拠として過払い金の発生条件のほかに、過払い金が発生しない条件や過払い金返還請求手続の流れを順にご説明します。
過払い金は、できるだけ早く対応を進めることが大切ですので、過払い金返還請求をお考えの場合は、一度弁護士法人みずきへご相談ください。
1.20年前の過払い金でも請求は間に合うのか
20年前の過払い金であっても、返還請求が行えるケースがあります。
20年前の過払い金返還請求ができる根拠として過払い金の発生条件を3つご紹介します。
(1)2010年以前に借入れをしていた
2010年以前に借入れをしていた場合、過払い金が発生している可能性があります。
2010年6月18日、改正された出資法および貸金業法が施行されるまで、利息制限法の上限である20%と、出資法の上限である29.2%の間の金利(「グレーゾーン金利」といいます。)での貸付けを行っている貸金業者が存在していました。
2006年、グレーゾーン金利の部分は無効とする最高裁判所の判決が出たため、貸金業者はその部分の利息を返還する義務があることになりました。
この、払いすぎた利息が借入金を超えている場合に、過払い金の返還を請求できるのです。
しかし、改正法の施行により、利息制限法の上限を超える利率での貸付けを行う貸金業者はいなくなりました。
ですので、過払い金の返還を請求するには、2010年以前に借入れをしていたことが必要になります。
20年前の借入れだと、2010年以前に貸金業者などの債権者から借入れを行っていたケースに該当しますので、過払い金が発生している可能性があります。
(2)年利20%を超える金利で借入れをしていた
年利20%を超える金利で貸金業者から借入れを行っていた場合は、過払い金が発生している可能性が高いです。
(1)のとおり、2010年以前は、利息制限法の上限である20%の部分を超えるグレーゾーン金利での貸付けが行われていました。
ただし、すべての貸金業者がそのようにしていたわけではありません。
最高裁判所の判決によって無効と判断されたのは、利息制限法の上限を超える部分ですから、そのような内容で借入れを行っていなければ、過払い金は発生しません。
利息制限法の定める上限利率は借入れの金額に応じ15%~20%とされていますから、20%を超える利率で借入れをしていれば、過払い金が発生しているといえるでしょう。
厳密には15%を超えている場合でも過払い金が発生している可能性がありますが、このときに過払い金が発生しているかどうかは借入れの金額によります。
借入れを始めたのが2010年以前であることが確認できたら、次は利率が20%を超えているかどうかをみてみましょう。
(3)債権者との最終取引から10年以内
債権者との最終取引から10年以内の場合は、過払い金の返還請求を行うことができます。
過払い金の時効は、原則債務を完済してから10年で成立します。
ですので、20年前の借入れであっても、債権者との最後の取引から10年が経過していない場合は時効が成立しないため、過払い金返還請求を行うことができます。
また、20年前に一度債務を完済していても、同じ債権者から別の借入れを行っている場合は、時効が成立しないケースもあります。
このように過払い金が発生しているかや請求できるかについては、債務者の状況により異なりますので、一度専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
2.過払い金が発生しない・請求できない条件
過払い金が発生しない・請求できない条件としては、
・銀行カードローンや住宅・自動車ローンでの借金
・貸金業者が倒産
・クレジットカードのショッピング枠
・利息制限法上の金利内での借金
などがあります。順にご説明します。
(1)銀行カードローンや住宅・自動車ローンでの借金
銀行カードローンや住宅・自動車ローンでの借金に関しては、過払い金の対象から外れます。
銀行カードローンは元々利息制限法の制限の範囲内で貸付けを行っているため、過払い金が発生しません。
また、住宅ローンや自動車ローンも、貸金業法が改正される前から利息制限法の定める上限金利よりも低い金利で設定されていました。
ですので、借入れが銀行カードローンや住宅・自動車ローンである場合は、過払い金が発生しないことになります。
(2)貸金業者が倒産
貸金業者が倒産して整理手続を行っている場合、過払い金が発生していたとしても過払い金を取り戻すことはできません。
破産手続が完了していると会社自体が消滅してしまいます。
破産手続が進行している場合は、すべての債権者が債権額の割合に従って配当を受けることになりますので、過払い金のほんの一部しか回収できないでしょう。
再生手続が行われている場合も会社の債務がかなり圧縮されてしまいますので、やはり一部の回収しか望めません。
ただし、会社が消滅していても、合併や事業譲渡により債務が別の会社に承継されている場合は、その会社に過払い金の返還請求を行うことができるかもしれません。
(3)クレジットカードのショッピング枠
クレジットカードのショッピング枠をご利用の場合は、過払い金返還請求の対象とはなりません。
クレジットカードのショッピング枠は、カード会社が立て替えたお金であるため借金として扱われません。
カード会社に支払う手数料は、債務の利息ではなくあくまで手数料であるため、利息制限法と出資法による規制が行われておらず、グレーゾーン金利が存在しないのです。
そのため、ショッピングでは過払い金が発生することはありません。
ただし、キャッシング枠を利用していた場合は、その限りではありません。
(4)利息制限法上の金利内での借金
過払い金とは、利息制限法上の金利を超える払い過ぎた分の利息を指しますので、利息制限法上の金利内で借入れを行っていた場合は、過払い金が発生していません。
また、貸金業者の中には出資法および貸金業法の改正前に設定金利を改めて、適正な金利での貸付けを行っていた業者もあります。
ご自身が利息制限法上の金利を超える借入れを行っていたかを確認するためには、貸金業者との取引履歴などを確認する必要があります。
貸金業者に取引履歴の開示請求を行った後、利息制限法の上限利率に引き直して再度計算をし直し(これを「引き直し計算」といいます。)、実際に過払い金が発生しているかどうかを確認します。
過払い金発生の有無を確認する引き直し計算は複雑で、時間や手間がかかってしまいますので、専門家である弁護士に任せることをおすすめします。
3.過払い金返還請求手続のフロー
過払い金返還請求の流れについて順にご説明します。
(1)弁護士に相談
過払い金返還請求は、貸金業者とのやりとりが必要であったり引き直し計算が複雑であったりします。
ですので、できるだけ早い段階で弁護士に相談することを推奨します。
弁護士法人みずきでは、実績豊富な弁護士が過払い金に関するご相談を無料で承っておりますので、一度ご相談ください。
(2)債権者へ通知
弁護士へ相談したのち依頼をご希望であれば、弁護士とご依頼者様の間で契約を締結します。
弁護士は、ご依頼者様と契約を締結すると、債権者へ受任通知を発送します。この時点で債務が残っていた場合は、この通知によって債権者からの取立てをストップさせることができます。
(3)過払い金調査
次に、実際どれくらいの過払い金が発生しているかを調査するために、債権者に対して債務者との取引履歴の開示請求を行います。
貸金業者などから取引履歴が開示されたら、引き直し計算を行い、過払い金が発生しているかどうかを調べます。
引き直し計算では、利息だけでなく、借入額、返済額、遅延履歴などの情報も必要となり、計算自体に時間がかかるケースもあります。
ですので、できるだけ早い段階で弁護士へ相談することをおすすめします。
(4)請求・交渉
過払い金の調査が終わると、貸金業者などへ請求通知を送付し、貸金業者から連絡があり交渉が開始されます。
過払い金の返還請求を行い交渉がスムーズに進めば、債権者との間で合意書を交わし過払い金が返還されます。
もしも過払い金返還請求に債権者が応じなかったり、交渉がうまくいかなかったりする場合は、訴訟を提起することもあります。
まとめ
過払い金に関するお悩みは、どのような些細なことでも構いませんので、一度弁護士法人みずきへご相談ください。
弁護士法人みずきでは無料で相談をお受けしていますので、お気軽に相談していただけます。
過払い金の時効は、原則債権者との最後の取引から10年以内ですので、早急な対応が必要となります。
特に20年前の借入れに関する過払い金となると、時効が迫っている可能性も高いです。
ですので、過払い金返還請求をご検討の際は、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
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