15年前の借金は時効になるのか?消滅時効期間に関する2つの注意点
「残ったままになっている15年前の借金は時効になっているのか」
「借金が時効になるにはどのくらいの期間が必要なのか」
15年前の借金がそのままで、もしかしたら時効になっているかもしれないと思った人も多いのではないでしょうか。
本記事では、15年前の借金が時効になっているかについてご説明します。
借金が消滅するには、いくつかの条件が必要なので、この記事を読んで借金の状況を確認しましょう。
1.15年前の借金は時効になるのか
15年前の借金は結論から申し上げると、時効になっている可能性が高いでしょう。
借金の消滅時効が成立するには、以下の二つのどちらかの期間が経過している必要があります。
- 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間
- 債権者が権利を行使することができる時から10年間
ただし、消滅時効において、新法が施行された2020年4月1日より前の債権に関しては、以下の旧法が適用されるので注意が必要です。
債権者が権利を行使することができる時とは、返済期日の翌日のことで、返済期日を過ぎた翌日から債権者は債務者に対して返済を請求することが可能です。
そして、返済期日の翌日から10年間経過すると、消滅時効が消滅することになります。
ちなみに、借金の相手が会社であれば、商事消滅時効が適用されることになるため、ほとんどのケースが以下の条件に該当することになるでしょう。
つまり、個人から借金をしている場合は少なくとも10年間の期間が必要ですが、賃金業者が相手の場合は、返済期日の翌日から5年間経過すれば、借金は消滅することになるのです。
仮に、2016年12月31日が賃金業者への返済期日と定められていた場合、翌日の2017年1月1日から債権者は権利を行使できるため、5年後の2022年1月1日に消滅時効が成立することになります。
つまり、2022年の1月中(1月1日から1月31日までの間)に15年前の賃金業者からの借金が時効になるためには、遅くても2016年12月31日から2017年1月30日までの間に返済期日を迎えていなければなりません。
もし、債権者の権利取得日(返済期日の翌日)が現在から5年(相手が個人の場合は10年)以上前であれば、15年前の借金は時効を迎えている可能性が高いでしょう。
ただし、債権者の権利取得日が現在から5年(相手が個人の場合は10年)未満の場合は、15年前の借金は時効を迎えていないので注意してください。
2020年4月1日の改正民法施行後については、たとえば、2022年の1月31日が返済期日と定められていた場合、2022年の2月1日には返済を請求できることを契約した当事者である債権者は知っていることになりますから、2022年の2月1日が「権利を行使することができることを知った時」となり、その日から5年後の2027年2月1日に消滅時効が成立することになります。
次に、債権者が権利を行使することができる時とは、借金の返済期限が過ぎて、債権者が債務者に対して返済を請求することができる時のことです。
2022年1月31日が返済期日だとすると、2022年2月1日から債権者は債務者に対して返済を請求することができるようになります。
したがって、2022年2月1日が「権利を行使することができる時」となり、その日から10年後の2032年2月1日に消滅時効が成立することになります。
二つのパターンの内、消滅時効までの期間が短い方が適用されることになりますが、契約当事者は、契約する段階で返済期日が来れば債務者への請求ができるということを当然知っていることになりますから、借金の時効については返済期日から5年で消滅時効が成立するのが一般的、という結論になります。
2.借金の消滅時効期間について2つの注意点
定められた期間が経過すれば、借金の消滅時効は成立しますが、場合によっては消滅時効の成立が遅くなる可能性があります。
本来は返済期限日の翌日から5年間経過すると時効を迎えますが、消滅時効期間が経過する前に、更新や完成猶予の効果が発生すると消滅時効が成立するまでの期間が延びてしまうのです。
それぞれの成立条件についてご説明します。
(1)時効の更新
時効の更新とは、弁済や判決など債務があることを確定させる事由により、消滅時効期間をリセットしてその日から再スタートすることをいいます。
つまり、債権者に対して返済の意志を示し債務の承認をした場合に、時効の更新によって消滅時効期間がリセットされてしまうのです。
たとえば、2022年1月31日が返済期限で、2027年2月1日に消滅時効が成立する予定だった場合でも、2026年2月1日に債務の確定を理由に時効の更新が適用されてしまうと、2026年2月1日の5年後である2031年2月1日が消滅時効成立日になってしまいます。
借金の消滅時効期間が経過するまでの間に、債権者に対して一度も返済や交渉などのリアクションをしていないか確認しておきましょう。
(2)時効の完成猶予
時効の完成猶予とは、訴訟の提起や催告などの請求行為により、時効の進行を一時的にストップすることをいいます。
完成猶予は裁判中に時効が成立するのを防ぐための制度です。
債権者による訴訟の提起や支払督促など裁判上の請求を受けたときは、時効の進行が一時的に停止し裁判中に時効は完成しなくなるので、時効の成立日に注意しましょう。
3.借金を消滅させる方法
民法第145条において下記のように定められているように、借金の消滅時効期間が経過しても、時効の援用を行わなければ正式に債務は免除されません。
時効の援用とは、時効の成立によって利益を受ける人が、債権者に対してその利益を受ける旨の意思表示をすることをいいます。
時効の効果を確定させるには、時効の援用をしなければならないため、借金の消滅時効期間が経過していた場合でも、時効の援用をする前に債権者に対して返済する意思があることを示してしまうと、時効の更新が認められてしまいます。
したがって、時効完成を確認したら、援用をするまでの間は、債権者に対して何の意思表示もしないことがポイントです。
なお、保証人も時効の援用をすることができます。
債務者本人が借金の消滅時効期間が経過していることに気づいていない場合でも、保証人自ら時効の援用を行い、借金の返済義務を消滅させることが可能です。
時効援用の手続に関しては別記事の『借金の時効援用』で紹介しているので、そちらもご参照ください。
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まとめ
債権者が権利を行使できる日から長くとも10年間が経過すると時効が成立するので、15年前の借金は時効を迎えている可能性が高いでしょう。
ただし、消滅時効の効果を確定するためには時効の援用をする必要があります。
時効の援用をする前に債権者に対して返済の意思を示すと、時効が更新されてしまうので、消滅時効期間を経過している場合は、まず時効の援用を行いましょう。
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