借金を返済できない場合は裁判になる?裁判になった場合の流れを解説

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
私は、そんな法律の世界と皆さんを、柔和に橋渡ししたいと思っています。問題解決の第一歩は、相談から始まります。
皆様が勇気を振り絞ってご相談をしていただければ、後は私どもが皆様の緊張や不安を解消できるよう対応し、法的側面からのサポートができればと思います。敷居はバリアフリーです。あなたの不安を解消するために全力でサポート致します。

「借金を返済できないと裁判になるのか」

「裁判所から文書が届いてどうすれば良いか分からない」

このような借金の悩みを抱えていませんか?

借金を滞納し続けると最終的に裁判になる可能性がありますが、適切に対処すれば、裁判を回避することができます。

本記事では、借金が原因で裁判になる場合の流れや裁判を防ぐ方法などについて詳しく解説します。

借金返済で悩んでいる方は、参考にしてみてください。

1.借金を返済できない場合は裁判になるのか?

借金を返済できなくてもすぐに裁判になるわけではありません。

しかし、適切な対応をしなければ最終的に裁判になる可能性があります。

借金関連で裁判になる場合は「支払督促」もしくは「訴状」が裁判所から届きます。

これらの裁判所からの呼び出し通知を無視すると、強制執行などの手続きを取られますので、速やかに対応しなければなりません。

(1)支払督促

支払督促とは、金銭請求に限り通常の訴訟手続きよりも簡易な方法で金銭支払することを督促する法的手続です。

支払督促が届いた場合の対応は、以下のいずれかです。

  • 期日までに借金を一括返済する
  • 支払督促に対して異議申し立てをし、和解提案をする

 支払督促を無視すると、判決と同様の効果がある命令が発せられ、財産の差し押さえに発展する可能性があります。

(2)訴状

訴状とは、裁判所を介して届く訴訟提起の文書です。

訴状が届いたら、速やかに何らかの意思表示をしなければなりません。

無視すると、仮に事実と異なる請求や反論できることがあったとしても、請求内容を認めたものと判断され、敗訴となるので注意が必要です。

敗訴して判決が確定すると、財産を差し押さえられる可能性があります。

2.借金が原因で裁判になる場合の流れ

裁判になるまでには複数の過程があるので、裁判に発展する前に適切な対処をする必要があります。

借金が原因で裁判になる場合の一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 電話で催促される
  2. 督促書を送られる
  3. 借金の一括返済を請求される
  4. 保証会社などが入っている場合は代位弁済が行われる
  5. 裁判になる

では、借金滞納から裁判になるまでの流れをご説明します。

(1)電話で催促される

借金を期日までに返済できない場合、電話で催促されます。

電話での催促の段階では、確認程度のニュアンスなので、連絡に応じた上でいつまでに支払うなどの回答をすれば大きな問題になることはありません。

電話で催促された際に支払能力がある場合は、確実に連絡に応じた上で早めに返済しましょう。

(2)督促状を送られる

催促の電話を無視すると、督促状などの書面が送られてきます。

以下の内容が記載されているのが一般的です。

  • 借金の返済遅延の旨
  • 返済額
  • 利息
  • 遅延損害金

督促状を送られた場合は、すぐに債権者へ連絡しましょう。

その際、月々の支払可能額などを説明できるようにしておくと、和解の可能性が高まります。

(3)借金の一括返済を請求される

電話での催促や督促状を無視すると、借金の一括返済を請求する内容証明郵便が届きます。

通常、滞納から数ヶ月後に、一括返済を請求する書類が自宅に届きます。

一括返済では利息や遅延損害金も含めて支払う必要があるので、高額になる可能性があるでしょう。

期日が設定されており、期日までに返済できない場合、裁判に発展する可能性があります。

(4)保証会社などによる代位弁済が行われる

借金の滞納が続き、一括請求にも応じられないと、借入れについて保証会社を利用している場合には保証の実行(代位弁済)が行われます。

これによって、今度は債権者が保証会社に移ることになります。

保証契約に際して、遅延利率が高く設定されている場合もあり、そのようなときは滞納1日あたりの遅延損害金が高額になるため注意が必要です。

(5)裁判になる

内容証明郵便や保証会社からの請求を無視すると、裁判になる可能性があります。

裁判に発展する場合は、裁判所から呼び出されることになります。

原則として「特別送達」にて本人への手渡しで届くので、気づかないことはありません。

裁判所から書類が届いたら速やかに開封し、中身を確認する必要があります。

借金の返済については、法的に反論できることが少なく、和解の交渉や債務整理手続きを行う等の具体的な対応を取らなければ、判決によって支払が命じられてしまう可能性が高いです。

3.借金が原因で裁判になるケースを防ぐ方法とは

上記のとおり、裁判手続きまで進んでしまうと、強制執行等のリスクが現実化していくため、裁判になるのは避けたいものです。

借金の返済が困難な場合は、弁護士へ債務整理について相談してみましょう。

債務整理には複数の方法があるので、自分の状況に合う方法を選択する必要があります。

債務整理の手続は以下の三つになります。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

以下では、これらを詳しく解説します。

(1)任意整理

任意整理とは、債権者との交渉により、借金の総額を減らす方法です。

裁判所を利用する法的整理ではないため「任意整理」と呼ばれます。

借金の残元金を5年以内に返済できる状況である場合に、任意整理の利用が考えられます。

任意整理で交渉がうまくいけば、裁判には発展しません。

財産の差し押さえや周囲へ借金を知られるリスクも回避できるでしょう。

ただし、あくまで任意の交渉によるものであるため、債権者と条件面の折り合いがつかない場合などは和解できないということもあり得ます。

(2)個人再生

個人再生とは、現在の財産や収入から借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらったうえで、一定の割合で借金を減額した再生計画案を裁判所に認可してもらい、返済計画による返済が終わった時点で、残りの借金を免除してもらう手続です。

条件によっては、返済期間の延長などが可能となり、借金返済の負担が減る可能性があるでしょう。

個人再生を申立てることによる職の制限もなく、ギャンブルや浪費が原因の借金であっても、申立が可能です。

ただし、5000万円を超える高額な借金がある場合は利用できず、また、安定して継続的な収入があることが要件となります。

また、整理の対象を選べないため、連帯保証人にがついている債務がある場合にはその請求が同人に対して行われること、官報に個人名や住所が掲載されることなどの側面があります。

(3)自己破産

自己破産とは、現在の財産や収入では借金の返済が困難であると裁判所に認めてもらい、借金の支払義務を免除(「免責」といいます。)してもらう手続のことです。

免責決定がなされることで、借金の支払い義務がなくなります。

自己破産の最大のメリットは、借金の返済から解放されることでしょう。

また、自己破産を申立てた後の収入は自由に利用可能ですし、最低限の生活に必要な財産は残ります。

ただし、土地・建物や車、宝飾品などの資産価値が高いものは換価する必要があります。

なお、連帯保証人へ請求がいくことや官報に個人名や住所が公開されるなどの点は個人再生の場合と同様です。

4.借金による裁判に関するよくある質問

借金による裁判に関するよくあるご質問をまとめました。

借金問題で悩んでいる方は参考にしてみてください。

(1)裁判後の分割払いは可能?

裁判が起こされたとしても、裁判手続きの中で和解が整うケースや、一括返済の判決が出た後に訴訟外で改めて支払い方法についての和解が行われるケースなどもあります。

ただし、不動産などの資産を持っている場合には相手が応じなかったり、和解に応じるとしても高額な利息を取られるといった場合もあるため、事案に応じた注意が必要です。

(2)債務整理は税金・年金・国民健康保険なども対象?

債務整理をしたとしても、税金・年金・国民健康保険の支払義務は免除されないため必要があります。

しかし、支払い能力がない場合は、負担を軽減する措置があるので、市役所などに相談しましょう。

(3)債務整理をすると官報に掲載される?

債務整理の中でも裁判所が関与する「個人再生」と「自己破産」は、官報に掲載されます。

ただし、官報を一般の方が確認しているケースはまれであり、周りに知られることはほとんどないと言っていいでしょう。

まとめ

借金を滞納し続けると、最終的に裁判になる可能性がありますので、適切に対処する必要があります。

借金問題で悩んでいる方や、借金が原因で裁判になってしまった方は弁護士法人みずきへご相談ください。

弁護士法人みずきでは、各分野に精通した弁護士が在籍しており、専門家としての視点で最適な解決策をご提案します。

事務所は利便性の高い立地に位置し、ご予約いただければ夜間や土日祝日のご相談も可能ですので、平日仕事で忙しい方でも空いた時間にご利用いただけます。

借金でお困りの方は、一度弁護士法人みずきにご相談ください。

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
私は、そんな法律の世界と皆さんを、柔和に橋渡ししたいと思っています。問題解決の第一歩は、相談から始まります。
皆様が勇気を振り絞ってご相談をしていただければ、後は私どもが皆様の緊張や不安を解消できるよう対応し、法的側面からのサポートができればと思います。敷居はバリアフリーです。あなたの不安を解消するために全力でサポート致します。