債務整理をした後にローンは組める?債務整理後にローンを組むためには
「債務整理をした後にローンを組めるのか?」
債務整理を検討している方の中には、家や車を買うためにローンを組めるのか心配されている方も多いのではないでしょうか。
債務整理をすると一定期間ローンを組めないのは事実ですが、一定期間の経過後はローンを組めるケースがあるのです。
この記事では、債務整理をした後にローンを組むためのポイントをご説明します。
1.債務整理後にローンを組めるようになるまで
債務整理を行った場合、延滞したことや債務整理を行ったことなどの事故情報が信用情報機関に登録されます。
信用情報機関は、個人の借入れの履歴や返済状況などの信用情報を管理している期間ですが、事故情報も信用情報に含まれています。
金融機関は、借入れの申込みがあると、与信審査のため、信用情報機関に申し込んだ人の信用情報を照会するのですが、ここで事故情報があることがわかると、その人に貸付けをしても返済が期待できないということになり、借入れをすべきでないと結論付けることになります。
そのため、事故情報が登録されていると住宅ローンなどのローン、クレジットカードの利用など、与信審査が必要な借入れなどを利用することができなくなります。
ただし、事故情報は永遠に登録されているわけではなく、一定期間の経過により信用情報機関から削除されます。
事故情報が信用情報機関に登録されている期間は、以下のとおり、債務整理の方法や信用情報機関ごとに異なります。
債務整理の手続方法 | 株式会社シー・アイ・シー(CIC) | 株式会社日本信用情報機構(JICC) | 全国銀行個人信用情報センター(KSC) |
任意整理 | 完済から5年 | 完済から5年 (ただし2019年9月30日以前の契約は受任通知の送付日から5年) |
完済から5年 |
個人再生 | 完済から5年 | 完済から5年 (ただし2019年9月30日以前の契約は手続開始決定日から5年) |
手続開始決定日から10年か、完済から5年のいずれか遅い方 |
自己破産 | 免責許可決定確定日から5年 | 免責許可決定確定日から5年 | 手続開始決定日から 10年 |
事故情報がいつ削除されるのかは、債務整理を行った本人には知らされません。
信用情報機関から事故情報が消えたとしても通知してくれないので、登録状況を知りたい場合は信用情報機関に開示請求を行うことが必要になります。
債務整理後にローンの申込みを検討している場合は、まず、信用情報機関に開示請求を行い、事故情報が削除されたことを確認しましょう。
開示請求の方法については、以下のとおりです。
信用情報機関 | 情報開示請求の方法 | 開示請求手数料 |
CIC | インターネット、郵送、窓口で受付 | インターネット、郵送:¥1,000 窓口:¥500 |
JICC | インターネット、郵送、窓口で受付 | インターネット、郵送:¥1,000 窓口:¥500 |
KSC | 郵送のみ受付 | ¥1,000 |
これらの方法の詳細については、各信用情報機関のウェブページに記載されていますので、そちらをご覧ください。
情報開示とは|指定信用情報機関のCIC
信用情報の確認 |日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関
本人開示の手続き | 全国銀行個人信用情報センター | 一般社団法人 全国銀行協会
2.債務整理後にローンの申請が通らないケース
信用情報機関から事故情報が削除されても、以下の条件に該当する人は、ローンの申請が通らない場合があります。
- 毎月の収入が少ない
- 安定した雇用形態ではない
- 税金を滞納している
ローン審査には信用情報以外にも項目があります。
上記のような条件に該当する場合も返済能力に疑問があると判断され、ローン審査に通らなくなる可能性があります。
債務整理後は、上記の条件に該当しないように収入の安定した勤務先を探したり、滞納している税金を完済したりして、生活状況の改善を心がけるようにしましょう。
3.債務整理後にローンを組むためには
債務整理後にローンを組むためのポイントを紹介します。
特に押さえておくべきポイントは以下の4点です。
- 債務整理をした金融機関とは別の金融機関に申し込む
- 頭金を多めに用意しておく
- 家族とのペアローンを組む
- 勤続年数を長くする(安定的な収入がある状態)
順にご説明します。
(1)債務整理をした金融機関とは別の金融機関に申込む
一度債務整理の対象にした金融機関に対してローンの申込みをしても、審査には通りづらくなっています。
各金融機関では、信用情報機関とは別に、独自に債務整理をした人の情報を保管している場合があります(俗に「社内ブラック」といいます。)。
また、この社内ブラック情報は系列会社にも共有されていると考えられます。
そのため、信用情報機関の事故情報が削除されていても、債務整理の対象にした金融機関とその系列会社では債務整理をした記録が残ってしまうため、審査に通りづらくなってしまうというわけです。
逆に言うと、債務整理の対象にした金融機関以外の金融機関であれば審査時に調べられるのは信用情報機関に登録された情報だけです。
信用情報機関から事故情報が削除された後であれば、債務整理の対象にした金融機関と別の金融機関は債務整理をした事実を知ることはありません。
債務整理後にローンを組むことを検討している場合は、債務整理の対象にした金融機関と別の金融機関に申し込みましょう。
(2)頭金を多めに用意しておく
ローンの申込みをする前に、頭金を多く用意しておくことをおすすめします。
与信に関する一般的な事柄ですが、頭金を多く用意できれば、その人の経済的な信用力は高いと判断されます。
また、頭金が多ければ返済すべき金額は少なくなるため、返済のことを考えた場合にも有利でしょう。
債務整理後はローンの申込みのために頭金を貯金していくことも頭に入れて、生活の立直しをはかりましょう。
(3)家族とのペアローンを組む
住宅ローンの場合は、家族とのペアローンを組むことも有効でしょう。
ペアローンとは、2人が1つの物件に対してそれぞれローンを組んで返済を進める制度です。
たとえば、3千万円のローンを組んで家を建てる場合、従来は世帯主(夫)1人が家を購入するために3千万円の借入れを行うのが一般的でした。
しかし、金融機関としては、世帯主の収入が途絶えると、返済能力を失い、滞納のリスクがあります。
そこで例えば、夫が2千万円、妻が1千万円の借入れを行い相互に連帯保証するというペアローンを組めば、金融機関としてはどちらかの収入が途絶えても、もう一人からは継続して返済してもらえるので、返済の滞納を防ぐことができます。
一人に貸付けを行うよりも、二人に貸付けを行った方が、金融機関も回収のハードルが下がり、信用性があると評価しやすくなるため、ペアローンを利用することで、住宅ローンの審査は通りやすくなるでしょう。
(4)勤続年数を長くする
勤続年数を長くすることは、審査に有利に働きます。
勤続年数が長いということは、今後も同じ職場に務めることが期待できるということになりますから、収入も安定していると評価でき、返済の継続が見込まれます。
しかし、勤続年数が短い場合、転職等により収入が途絶える可能性があると評価されることになり、金融機関としては滞納のリスクを考慮しなければいけなくなります。
債務整理後、事故情報が削除されるまで少なくとも5年の経過が必要となりますので、少なくともその期間は転職をせずに、勤務を続けることが望ましいでしょう。
また、非正規雇用(派遣社員、アルバイトなど)よりも正規雇用(正社員)として勤務する方が勤務の継続が見込まれる傾向にありますので、なるべく正社員として勤務することをおすすめします。
まとめ
債務整理をした後でも一定期間が経過すると、ローンを組むことができるようになります。
ただし、ローンの審査は信用情報だけでなく、いくつもの審査項目があるので、それらをクリアできるように債務整理をする前から準備をしておくことが重要です。
そのためには、債務整理後は借金に頼らない経済的に自立した生活を送れるようにすることが必要となります。
債務整理後にローンを組むことを検討されている場合は、ご説明した内容も頭に入れて、生活の立直しをはかりましょう。
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