遺産分割の方法②~不動産の場合~

会社が破産したら所有している不動産はどうなるのか

1.不動産の遺産分割

不動産は、現金や預貯金のように価値が明確ではないですし、簡単に人数で割って分けることもできません。

その一方で、他の財産に比べると価値が高いため、誰がどのように相続するかで紛争が起きやすいものです。

2.不動産の遺産分割の方法

不動産が遺産に含まれている場合には、以下のような分割方法が考えられます。

(1) 不動産を売却して、その売却代金を分ける(換価分割)

不動産をお金に変えて分割するため、分けやすく、かつ、公平な遺産分割が可能です。

また、不動産を管理・維持する必要が無くなるため、固定資産税の支払いやリフォーム等の負担がなくなります。

後述のとおり、相続人のうち誰か一人だけが単独で相続した場合に、不公平を調整するために「代償金」を支払う方法もありますが、不動産は価値が高いため、この「代償金」も高額になりがちです。

不動産を換価分割した場合は、この代償金が不要なので、相続人の方々がまとまった資金を持っていなくても、遺産分割できる方法といえます。

しかし、不動産を売却するときには、仲介手数料や譲渡所得税がかかります。

これらの売却諸経費として数百万円単位の費用がかかるために、実際に手元に残る遺産が少なくなってしまう可能性があります。

(2) 複数の相続人で共有する(共有)

法定相続人全員で法定相続分にしたがった持分で共有するというのが、不動産を相続した場合の法律上一番基本的な形です。

そのため、このように相続する場合には、わざわざ遺産分割協議する必要はありません。

そのため、不動産の分け方でもめそうな場合や、相続人の中に認知症や知的障害をもつ方などがいるけれど、後見人等はついていない場合でも、法定相続分にしたがった持分で共有することはできます。

しかし、共有という状態は、不動産の処分や管理が非常にやりにくくなります。

共有している不動産を売却したり、賃貸借契約を結んだり解約する場合には、他の共有者の同意が必要となるからです。

そのため、共有不動産は、放置されてしまうケースも多く、その後に更に相続が発生して、より共有関係が複雑化してしまうこともよくあります。

(3)誰か一人が相続し、調整金や他の相続財産で処理する(代償分割・現物分割)

上記のとおり、不動産を共有にするとその後の処分等がやりにくくなってしまうため、不動産を誰か一人が単独で相続する方法が考えられます。

この場合、相続人間に生じる不平等を解消する方法として「代償金」が考えられます。

不動産は高額な財産であるため、「代償金」もある程度まとまった金額でないと不平等を解消することになりません。

そのため、不動産を単独で相続する相続人にまとまった資力がない場合にはこの方法はとれません。

もっとも、その不動産の他にも、別の不動産や預貯金、貴金属等の価値のある遺産がある場合には、それらを他の相続人に分割する方法で不平等を調整することも可能ですね。

上記の方法をとる場合には、一人が単独で相続する不動産やその他の遺産の価値を適切に査定し、それらの価値については相続人の間で争いがないようにしておくことが大切です。