債務整理をすると借金はどうなる?債務整理の効果と種類別の特徴
「債務整理をするとその後はどうなるのか?」
債務整理を検討している方の中には、債務整理をした後の状況が気になっている方も多いのではないでしょうか。
債務整理には主に任意整理、個人再生、自己破産の三つの手続があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
この記事では、債務整理の効果やそのために生じる負担、債務整理のそれぞれの手続についてご説明します。
1.債務整理をするとどうなる?
債務整理には主に任意整理、個人再生、自己破産の三つの手続があり、これらの手段により借金を減額・免除してもらうことが可能です。
その債務整理には、どのような効果があり、どのような負担が生じるのかご説明します。
(1)債務整理の効果
債務整理に共通する効果は以下のとおりです。
- 借金が減額・免除される
- 督促が止まり支払が不要になる
順にご説明します。
#1:借金が減額・免除される
債務整理の最大の効果は、借金を減額・免除できることです。
もとより債務整理の目的は、借金の返済が困難になった場合に、借金の減額または免除によって債務者の負担を軽減することにあります。
債務整理の方法によって借金が軽減される割合は異なりますが、どの手段であっても借金の額を減らすことになります。
#2:督促が止まり一時的に支払が不要になる
債務整理の着手によって督促が止まり一時的に支払が不要になる点も大きな効果といえます。
借金の返済を延滞してしまうと債権者から返済を迫る督促状が送られてくる場合があります。
精神的な負担になりますし、家族などに借金の存在を知られたくない場合にはこれを知られてしまうことにもつながります。
債務整理の依頼を受けた弁護士は債権者に対して受任通知を送付します。この受任通知には法律上の効果が認められており、これを受け取った債権者は、債務者に対して直接連絡を行うことができなくなりますので、債権者から督促状が届くことはなくなります。
また、債務整理の手続が終わるまでの間、支払が不要になります。任意整理や個人再生の場合は手続の終了後に支払が再開しますが、少なくとも手続の進行中、返済の負担や債権者からの督促に悩まされることはなくなります。
(2)債務整理によって生じる負担
債務整理によって共通して生じる負担は以下のとおりです。
- ブラックリスト入りにより借入れに制限がかかる
- 手続に費用がかかる
順にご説明します。
#1:ブラックリスト入りにより借入れに制限がかかる
弁護士が債権者に受任通知を送付したことや自己破産および個人再生の開始決定などの事実は、信用情報機関に事故情報として登録されます(ブラックリスト入り)。
信用情報機関はこの事故情報を一定期間保管しており、金融機関等は借入れなどの審査の際に信用情報機関に照会し、事故情報の有無を確認します。
事故情報があるということは、過去にその人が借金を返済できなくなったことを示していますので、金融機関は審査の結果その人の借入れの申込みを拒否することになります。
このように、事故情報が登録されている間は、新たな借入れやクレジットカードの利用ができなくなります。
ただし、事故情報には信用情報機関ごとに保有期間が定められているため、ブラックリスト入りは一定期間で解除されます。
ブラックリスト入りは負担ではありますが、債務整理を行わないまま借金の返済を延滞し続ける状態になってしまった場合も新たな借入れはできないと考えてよいでしょうから、債務整理を行った方がむしろ負担を軽減できるといえます。
#2:手続に費用がかかる
債務整理は基本的には弁護士に依頼して手続を進めることになりますが、弁護士としては仕事として債務整理を行う上で、弁護士費用をご負担いただかざるを得ません。
借金の負担がある上に弁護士費用も支払わなければいけないというのは、債務者にとっては負担になります。
ただし、例えば弊所のように、弁護士費用について分割払いによる対応を認めている弁護士もいます。
分割払いの場合、弁護士費用は契約後に分割で支払っていただく一方、契約後すぐに受任通知を債権者に送付して債権者への支払を止めるようにしますので、借金の返済と弁護士費用の支払を同時に行っていただくようなことはありません。
確かに弁護士費用の支払も負担になるといえますが、弁護士によっては分割払いによりその負担を軽減できるようにしている場合もあります。
費用負担を必要以上にご不安に思われる必要はないでしょう。
2.債務整理の手段ごとの特徴
債務整理の手段ごとに特徴をご説明します。
債務整理の手段としてよく用いられるのは以下の三つです。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
順にご説明します。
(1)任意整理
任意整理は、債権者との任意交渉によって借金のうち利息部分のカットと返済期間の再設定を行うことで、返済の負担を軽減する手続です。
任意整理のメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット |
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デメリット |
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自動車ローンや住宅ローンについて対象から外すことにより、それらの財産を処分されずに済みます。
また、裁判所を通す手続ではないため、官報に掲載されることがなく、周囲に知られる可能性はほとんどありません。
一方、元本までの減額が認められることはありませんので、減額の割合は個人再生に比べて大きくなりません。
また、財産を処分されないことの裏返しになりますが、ローンがある財産を処分されたくない場合はそれらを対象から外すことになります。
保証人がついている債務についても、保証人が請求を受けることを避けるのであれば、同様です。
任意整理の対象から外すことになれば、当然その分の減額は期待できません。
債権者によっては、5年以上の返済期間に応じないこともあるなど、任意交渉であるため、結果が債権者の態度に左右されてしまうのもデメリットといえます。
任意整理の依頼を受けてから和解が成立するまでの期間は3~6か月です。任意整理を弁護士に依頼した場合、依頼者側で行うことはほとんどなく、弁護士が手続を進めることになります。
任意整理の流れは以下のとおりです。
- 専門家に相談
- 委任契約の締結
- 債権者に受任通知の送付、取引履歴の開示請求
- 引直し計算
- (過払金の返還請求)
- 和解案検討・和解交渉
- 合意書作成
- 返済開始
合意書を作成し和解が成立すると、その内容にしたがって返済を進めていくことになります。
(2)個人再生
個人再生は、現在の収入や所有している財産では借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらって手続を開始し、一定の割合にしたがって借金を減額した再生計画案の認可決定を得て、実際に再生計画どおりの返済を終えた後、残りの借金を免除してもらう手続です。
個人再生の返済期間は原則3年となっており、裁判所に特別な事情が認められた場合に5年の期間を設けることが許可されます。
個人再生のメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット |
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デメリット |
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個人再生は任意整理に比べて借金の減額割合が大きく、債務総額に応じて最大で10分の1まで減額されます。
また、自己破産のような一部の職業・資格の一時的な制限はありません。
一方で、債務総額による制限があったり、安定した収入が必要であったり、利用に条件があります。
また、保証人の支払義務は免除されませんので、個人再生手続を利用した場合、保証人が債権者から保証債務の履行を請求されることになります。
収入や保証人がいることにより、個人再生の利用が難しい場合があるといえます。
手続が開始されたことなどが官報に掲載されることにより、他人に債務整理の事実を知られる可能性がないとはいえません。
個人再生の依頼を受けてから再生計画案の認可決定までにかかる期間は、準備期間を含めて通常6か月から1年です。
主な手続の流れは以下のとおりです。
- 専門家に相談
- 委任契約の締結
- 債権者に受任通知の送付、取引履歴の開示請求
- 申立て書類の作成
- 裁判所へ申立て
- 個人再生委員の選出
- 履行テストの開始
- 個人再生委員との面談
- 裁判所に必要書類の提出
- 裁判所による再生計画案の認可決定
- 再生計画にしたがった返済の開始
最終的に裁判所の認可決定を受けた再生計画にしたがって返済をしていくことになります。
(3)自己破産
自己破産は、現在の収入や所有している財産では借金の完済が困難であることを裁判所に認めてもらい、借金の支払義務を免除してもらう手続のことです。
自己破産のメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット |
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デメリット |
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自己破産は税金や年金など一部の債務を除いて全ての借金の支払義務が免除されるため、手続が完了したら借金返済の必要がなくなります。
手続後に収入が制限されるなどのペナルティもありません。
一方、資産価値が高い財産については売却して債権者への配当にあてることになりますので、所有し続けることはできません。
警備員、保険の外交員など手続が終了するまで一時的に就けなくなる職業もあります。
また、手続の開始などが官報に掲載されることになりますが、破産したことが戸籍や住民票に記載されることはありません。
自己破産を依頼してから免責許可決定を受けるまでの期間は、6か月から1年が目安になるます。
自己破産の手続は以下のとおりです。
- 専門家に相談
- 委任契約の締結
- 債権者に受任通知の送付、取引履歴の開示請求
- 申立て書類の作成
- 裁判所へ申立て
- 裁判官との面談
- 破産手続の開始決定(、破産管財人の選任)
- (破産管財人による財産の処分)
- 裁判所による免責許可の決定
財産の処分等の必要がある場合には破産管財人が選任される(「管財事件」といいます。)ことがあり、この場合には手続が破産管財人が選任されずに進む場合(「同時廃止事件」といいます。)に比べ、手続終了までの期間が長くなります。
まとめ
債務整理の手続に着手することになり、受任通知が送られれば、返済や債権者からの督促を一時的に止めることができます。
また、いずれの手続を選択しても、手続が終了すれば、借金が減額・免除されることになります。
ブラックリスト入りや手続費用は確かに負担にはなりますが、だからといって債務整理を行わないでいては、いつまでも借金返済の負担から解放されないことになってしまいます。
ブラックリスト入りによる制限については代替手段をご提示したり、手続費用については分割払いの利用をおすすめしたりするなど、弁護士に相談していただければ債務整理の手段のみならず、負担を軽減する手段についてもご説明することができます。
借金にお困りの方は、債務整理によって生じる負担のことも含めて、お早めに弁護士へ相談されることをおすすめいたします。
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