自己破産の費用は分割払いできるのか?費用の主な内訳を解説

執筆者 実成 圭司 弁護士

所属 第二東京弁護士会

皆さまのご相談内容を丁寧にお聞きすることが、より的確な法的サポートにつながります。会話を重ねながら、問題解決に向けて前進しましょう。

「自己破産の費用は分割払いすることができるのか」
「自己破産の費用を払えないときはどうしたらいいのか」

自己破産を検討している方の中には、自己破産にかかる費用が払えるか不安に思っている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、自己破産の費用を分割払いできるのかについてご紹介します。

1.自己破産の費用は分割払いできるのか

結論から述べると、自己破産の費用は分割払いをすることができます。

自己破産は借金の返済が困難な人が利用する制度なので、大多数が費用の一括払いに対応できないと想定されます。

そのため、具体的な事情をもとに交渉をすれば、自己破産に必要な弁護士費用の分割払いが認められます。

自己破産手続の利用を検討されている方は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

2.自己破産の費用の主な内訳

自己破産にかかる費用の主な内訳についてご紹介します。

主に、裁判所に支払う費用と弁護士に支払う費用の2つです。

どのような費用を支払う必要があるのか把握しておきましょう。

(1)裁判所に支払う費用内訳

まず、裁判所に支払う費用ですが、主に4項目あります。

裁判所に支払う費用
  1. 引継予納金
  2. 申立手数料
  3. 郵券代
  4. 官報公告費

それでは、順にご紹介します。

#1:引継予納金

引継予納金は、裁判所から選任される破産管財人に支払う費用です。

破産管財人は、債務者の財産の調査や管理・処分の権限を持っています。

なお、自己破産には同時廃止と管財事件の2パターンの手続方法があり、財産の換価や配当がない同時廃止事件では、破産管財人が選任されません。

そのため、同時廃止事件では、引継予納金を支払う必要はありません。

同時廃止と管財事件について以下の記事でも解説していますので、あわせてご確認ください。

自己破産で同時廃止事件になる要件とは?同時廃止事件の主なメリット

管財事件とは何なのか?手続の流れと特徴、同時廃止事件との違いについて解説

#2:申立手数料

申立手数料は、裁判所に納める手数料です。

郵便局や法務局で収入印紙を購入して、支払います。

購入した収入印紙を訴状や申立書に貼付することで、手数料を支払ったことを証明するのが一般的です。

個人の自己破産手続の場合は、1500円です。

#3:郵券代

郵券とは、郵便切手のことです。

郵券代は、裁判所が書類を郵送するための費用です。

裁判所が書類を郵送するたびに費用を申立人に請求するのは手間がかかるため、前もって必要な切手代を申立人に請求する場合がほとんどです。

申立てをする各地方裁判所によって金額は異なりますが、3000円~6000円程度を目安に想定しておきましょう。

#4:官報公告費

官報とは、政府が発行する新聞のようなものです。

ここには、官公庁が発表する公文や公告が記載されています。

自己破産をすると、破産手続開始決定時と免責許可決定時に、官報に氏名や住所等が記載されます。

官報広告費も各地方裁判所によって異なりますが、1~2万円程度の費用がかかることを想定しておきましょう。

(2)弁護士に支払う費用内訳

弁護士に支払う費用もいくつかあります。

主な費用は以下の3つです。

主な費用
  1. 相談料
  2. 着手金
  3. 報酬金

順にご紹介します。

#1:相談料

まずは、弁護士に自己破産手続の利用を検討していることなどを相談するために相談料が発生します。

相談自体は弁護士に依頼しなくてもできます。

お困りの場合は、まず弁護士にご相談になることをお勧めします。

ご相談料は、30分5500円と定めている法律事務所が多いです。

また、自己破産の場合は、相談料を無料としている法律事務所もあります。

#2:着手金

着手金は、弁護士に自己破産手続の処理を依頼する段階で支払う費用です。

万が一思うような結果が得られなかったとしても返金されません。

着手金は15~40万円程度と定めている法律事務所が多いです。

事件の難易度や規模などによっても変動します。

着手金の支払いは、分割払いに応じている事務所も多くあります。

#3:報酬金

報酬金は、自己破産手続きの処理が完了したときに支払う費用です。

自己破産の場合、裁判所に申し立てたけれど認められなかったときは、支払う必要はありません。

報酬金は、15~40万円の範囲で定められていることが多いです。

報酬金の支払も、分割払いに応じている事務所が多くあります。

3.自己破産の費用を払えないときは分割払いの交渉をしよう

これまでご説明したように、自己破産手続きを弁護士に依頼すると、数十万円の費用が必要になります。

しかし、自己破産を検討している状況ですから、費用の捻出が容易ではないという方も少なくないと思います。

そこで、受任通知を出して借金の返済を止めた後、毎月弁護士に分割で費用を払うという方法があります。

多くの場合、自己破産を依頼する弁護士に相談すれば費用の分割払いができます。

すなわち、弁護士は手続を依頼されると、自己破産手続を受任したことを知らせる受任通知を債権者に送付します。

債権者がこれを受け取ると債務者に督促をすることができません。

この間(目安として半年から1年程度)に自己破産に必要な費用を貯めることになります。弁護士費用に関しては、この期間に積み立てをするのが一般的で、毎月分割で費用を支払っていくのです。

そして、費用を全額払い終えた時に、裁判所に対して破産の申立てを行います。

まとめ

自己破産の費用は高額ですが、弁護士が受任通知を発送すると返済が止まるため、その間に費用を積み立てることができます。

自己破産を検討しているが、手続にかかる費用が高額で心配という方は、まず、弁護士にご相談になることをお勧めします。

弁護士法人みずきでは、自己破産に関するご相談は無料で承っております。

支払いの負担を減らしたい方は、お気軽にご相談ください。

 

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執筆者 実成 圭司 弁護士

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