多重債務の問題の相談窓口は?主な解決方法も解説

執筆者 実成 圭司 弁護士

所属 第二東京弁護士会

皆さまのご相談内容を丁寧にお聞きすることが、より的確な法的サポートにつながります。会話を重ねながら、問題解決に向けて前進しましょう。

「多重債務の問題は誰に相談すればいい?」
「多重債務を解決するためにはどうすればいい?」

複数の金融機関などから借金をして返済が困難になっている方の中には、このようなお悩みをお持ちの方もいると思います。

多重債務の状態に陥っている方は、なるべく早く最適な窓口に相談し、問題の解決を図る必要があります。

本記事では、多重債務の問題を相談する窓口や多重債務を放置するリスク、主な解決方法などについてご説明します。

1.多重債務の相談窓口

多重債務とは、2社以上の金融機関や貸金業者から借金をし、返済が困難になっている状態をいいます。

また、このような状態に陥っている場合には、新たに借り入れたお金で別の金融機関や貸金業者の返済を行う「自転車操業」である場合が多いです。

そのような場合には、なるべく早く以下のような窓口に相談することを推奨します。

多重債務の主な相談窓口

  1. 弁護士
  2. 司法書士

順にご説明します。

(1)弁護士

多重債務の状況での相談先は、弁護士がおすすめです。

弁護士は、借金問題について代理人となって動くことができるため、相談者にとって最良の方針を検討することができます。

すでに返済が滞っている場合だけでなく、月々の返済が遅延しそうになっている場合にも、なるべく早めに相談することで、最適な解決方法の提案を受けることができます。

多重債務などの借金問題の相談については、相談料を無料としている法律事務所もあります。

そのため、弁護士へ相談する際には、借金問題の解決実績や相談料の有無などを事務所のホームページなどで事前に確認しておくことをおすすめします。

(2)司法書士

多重債務の問題を相談する相手としては、司法書士も考えられます。

法務大臣の認定を受けた司法書士については、多重債務などの借金問題の対応を行うことが可能です。

もっとも、債権者1社(者)につき、債務額が140万円を越えないことが前提となります。

そのため、高額な借金を負っている場合には、司法書士に依頼することができません。

また、認定を受けた司法書士であっても、簡易裁判所以外の裁判手続では代理人となることができないため、後述する個人再生や自己破産の手続を選択する場合には依頼することができなくなってしまいます。

多重債務の問題を解決したい場合には、弁護士に相談・依頼することが望ましいでしょう。

2.多重債務を放置するリスク

多重債務の状態を放置することで、様々なリスクが生じます。

具体的には、以下の順で発生します。

多重債務を放置するリスク

  1. 遅延損害金が発生する
  2. 信用情報機関に事故情報が登録される
  3. 訴訟が提起され財産が差し押さえられる

順にご説明します。

(1)遅延損害金が発生する

借金の返済が滞り、支払いが遅延すると、遅延損害金が発生します。

遅延損害金は、支払いが遅れたことに対する制裁という意味があり、利息よりも高く設定されています。

また、遅延損害金は支払いが遅れれば遅れるほど増えていくため、返済が遅れるごとに返済総額が膨れ上がることになってしまうのです。

(2)信用情報機関に事故情報が登録される

信用情報機関は、各金融機関から顧客情報の提供を受けて管理し、反対に各金融機関から信用情報の照会を求められたときにはこれを提供するという業務を行う機関です。

返済が滞ると、債権者から支払いの督促や取立てが行われるようになり、それでも支払いがされない場合には信用情報機関に事故情報が登録されます。

滞納したことは、その人の返済能力に問題があるということを示す事故情報となってしまい、信用情報機関への照会により各金融機関がこれを知ることになります。

事故情報があると、金融機関が行うクレジットカードやローンの審査に通らなくなってしまいます。

そのため、新たな借入れができなくなり、クレジットカードの利用も停止される可能性があります。

(3)訴訟が提起され財産を差し押さえられる

返済ができない状態が長期間続くと、債権者から借金の全額を一括で返済するように求められます。

返済が滞っている状態では、一括返済ができない場合が多く、これを放置することで訴訟に移行するリスクが高まります。

また、訴訟の提起ではなく、より簡便な手続である支払督促の申立てが行われる場合もあります。

これらに対して応じることなく手続が進行すると、訴訟の場合は債権者勝訴の確定判決が出され、支払督促の場合には仮執行宣言が付されることになり、強制執行の手続が現実化します。

そうすると、給料の一部や財産を失うリスクが生じます。

そのため、裁判所から訴状や支払督促が送付された場合には放置せず、すぐに弁護士に相談するようにしましょう。

3.多重債務の解決方法

多重債務の問題を解決する方法としては、債務整理があります。

債務整理は、借金の減額あるいは免除を受けられる手続のことで、具体的には以下の手続をいいます。

多重債務の主な解決方法

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

それぞれの手続の特徴などについて、順に見ていきましょう。

(1)任意整理

任意整理とは、債権者と直接交渉することによって、月々の返済額の減額を図る手続です。

将来利息部分をカットしたり、返済期間を5年程度にした分割払いの設定をしたりできるように交渉し、月の支払額や将来にわたっての支払総額を減額していきます。

任意整理は、裁判所を通さない手続であるため、書類の収集などがほとんど必要なく、家族や知人に知られるリスクが低い点がメリットです。

また、任意整理の対象を選べるため、住宅ローンや自動車ローンを任意整理の対象から除外することで住宅・自動車を失うリスクを回避できます。

一方で、短期の返済期間しか認めなかったり、そもそも交渉に応じてくれなかったりする債権者も存在するため、必ずしも成功するとは限りません。

債務者本人による交渉では厳しい態度で臨んでくる債権者も多く、また減額幅が小さい和解になってしまうリスクもありますので、弁護士に依頼して進めるのが望ましいです。

(2)個人再生

個人再生は、借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらい、借金額をその総額によって決められた割合で減額して返済していく手続です。

個人再生の特徴は、住宅ローンの支払を手続とは別に継続する条項(住宅資金特別条項)を定めることにより、住宅を残しながら債務整理をできる点です。

もっとも、手続の利用にあたっては、借金総額が5000万円を超えないことや安定した収入があることなどの要件が求められます。

また、官報に氏名や住所といった個人情報が掲載されるため、周囲の人に知られてしまうリスクがあります。

(3)自己破産

自己破産は、裁判所に借金の返済が困難であることを認めてもらい、借金の返済義務を免除してもらう手続です。

借金が全額免除されるかわりに、資産価値の高い財産は手続の中で換価され債権者へ配当されてしまいます。

また、手続中に警備員、保険の外交員などの一定の資格について制限を受けるため、一時的に仕事を休んだり、転職したりする必要が生じることもあります。

個人再生と同様、官報に個人情報が掲載されるため、周囲の人に知られるリスクがあります。

このように大きなデメリットがあるように見えますが、これらを解決できればメリットは大きいため、減額しても返済が困難という場合には検討することをおすすめします。

まとめ

本記事では、多重債務の相談窓口や主な解決方法について解説しました。

多重債務を放置することで、借金総額がさらに膨れ上がり、財産を差し押さえられるなどのリスクが生じます。

多重債務の状態に陥っており、返済が滞りそうな場合には、なるべく早期に弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士法人みずきでは、これまでに数多くの債務整理の手続に対応してきました。

経験豊富な弁護士が丁寧にお話を伺いますので、多重債務の問題にお悩みの方や債務整理を検討されている方はお気軽にご相談ください。

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執筆者 実成 圭司 弁護士

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