支払督促とは?手続の流れや弁護士に相談するメリット
「支払督促とはどんな手続?」
「支払督促が届いたらどんなことをすべき?」
借金問題を抱えている方の中には、裁判所から支払督促という書類が届き、このような疑問や不安をお持ちの方もいると思います。
支払督促は訴訟に比べて簡易な手続であるため、債権回収の手段として債権者に利用されることが多い手続です。
支払督促が届いた場合、適切に対処しなければ差押えなどの強制執行手続によって財産を失うことになりかねません。
本記事では、支払督促の手続の流れ、支払督促が届いたときに弁護士に相談するメリットについてご説明します。
1.支払督促とは
支払督促とは、裁判所書記官が、債権者の申立てに基づいて債務者に対して金銭の支払を督促する法的手続です。
訴訟とは異なり、弁論等の裁判所に出廷する手続が不要な簡易なものであるため、滞納が長期となっている場合に債権者が用いることが多い手続です。
支払督促の書面が裁判所から届いた場合、2週間以内に督促異議申立ての手続を行わなければ、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言が付されることになります。
債権者が直接債務者に送付する督促状や催告書には法的効力がなく、これに応じなかったとしても、強制執行が行われるわけではありません。
しかし、仮執行宣言付きの支払督促は確定した判決などと同じ効力が認められるもの(債務名義)となり、これを取得した債権者は差押えなどの強制執行手続をすることができるようになります。
仮執行宣言が付されてしまうと、給与や預金などが差し押さえられて、財産を失うことになりかねないということです。
そのため、支払督促を受け取った場合には、速やかに弁護士へ相談することが何よりも重要です。
2.支払督促の手続の流れ
支払督促は、債権者の申立てによって手続が始まります。
具体的には、以下の流れに従って手続が進行します。
- 債権者が裁判所に支払督促の申立てを行う
- 裁判所が債務者にあてて支払督促の送達を行う
- 債権者が仮執行宣言の申立てを行う
- 仮執行宣言付支払督促が債務者に対して送達される
順にご説明します。
(1)債権者が裁判所に支払督促の申立てを行う
支払督促の手続は、債権者が裁判所に申立てを行うことで開始されます。
具体的には、債務者の住所地を管轄する裁判所に対して申立てが行われます。
申立ての方法については、書面の郵送だけでなく、オンラインによる方法も認められています。
全国どこに住んでいたとしても、債権者が支払督促の申立てをすることは容易であることに注意が必要です。
(2)裁判所が債務者にあてて支払督促の送達を行う
裁判所の審査により、債権者が申し立てた支払督促が適法であることが認められると、債務者に対して支払督促が送達されます。
支払督促は特別送達という方式で送達されるため、督促状や催告書などとは違うことがわかると思います。
支払督促が届いた場合、仮執行宣言が付されるのを防ぐには、その日から2週間以内に督促異議の申立てを行う必要があります。
督促異議申立ては、支払督促に同封されている督促異議申立書に所定の項目を記載の上、裁判所へ提出または郵送することによって行います。
督促異議申立てを行うと、支払督促手続は自動的に訴訟手続に移行します。
訴訟手続に移行した時点で申立てを取り下げる債権者もいます。
そうではなく、そのまま訴訟手続が進行する場合は、消滅時効の完成など、支払を拒む理由がなければ、借金の返済方法などについて債権者と交渉を行うほかありません。
もちろん、請求された債務を一括で支払う資力があるならば、督促どおりに支払ってしまうことも手段として考えられます。
この場合は、債権者に連絡の上、支払を行うことになるでしょう。
督促異議申立てをして、債権者と話合いをする場合、当事者には困難なこともあります。
支払督促に対する督促異議申立てを考える場合はその後の手続を任せることも考え、弁護士に相談するとよいでしょう。
(3)債権者が仮執行宣言の申立てを行う
債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に支払も督促異議申立ても行わない場合には、債権者は裁判所に対して仮執行宣言の申立てを行うことができます。
この申立てが認められ仮執行宣言が付されると、支払督促に基づいて強制執行をすることが可能になります。
この申立ては、債務者に対する支払督促の送達後、2週間を経過した時から30日以内に行われる必要があります。
(4)仮執行宣言付支払督促が債務者に対して送達される
裁判所が債権者の仮執行宣言の申立てを認めると、債務者に対して仮執行宣言付支払督促を送達します。
支払督促に仮執行宣言が付されると、債権者勝訴の確定判決と同一の効力を有する債務名義と扱われるため、債権者は直ちに債務者の財産に対して強制執行の手続をとることが可能です。
強制執行の手続に移行すると、債務者の給与などの財産が差し押さえられてしまい、財産を失うリスクがあります。
仮執行宣言付支払督促が送達された場合にも、2週間以内に督促異議の申立てを行うことは可能です。
この場合にも、手続は民事訴訟に移行しますが、一度付された仮執行宣言の効力は失われませんので、強制執行を防ぐことはできません。
そのため、督促異議申立ては、仮執行宣言が付される前に行う必要があります。
3.支払督促が送達された場合に弁護士に相談するメリット
すでに述べたように、裁判所から送達された支払督促を放置することで、強制執行によって財産を失うリスクがあります。
そのため、支払督促が送達された時点で、速やかに弁護士に相談する必要があります。
弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。
- 督促異議の申立てから訴訟手続までのサポートを受けられる
- 支払が困難な場合に債務整理の手続を一任できる
それぞれ見ていきましょう。
(1)督促異議の申立てから訴訟手続までのサポートを受けられる
督促異議の申立ては、支払督促と一緒に裁判所から送られてくる督促異議申立書に所定の事項を記載して裁判所に提出することで行うことができます。
もっとも、どのように記載したらよいのか、また、手続はどのように進むのかが分からないという方も多いと思います。
弁護士に早期に相談することで、督促異議申立てに関して専門的なアドバイスやサポートを受けることが可能です。
また、督促異議申立てを行ったあとには、手続は通常の民事訴訟に移行します。
民事訴訟に移行すると、裁判所から期日と答弁書の作成・提出についての書類が送られてきます。
答弁書は、通常、期日の1週間前までに裁判所へ提出しなければなりませんが、専門知識や経験がなければご自身で作成することは困難です。
弁護士に相談・依頼することで、必要な書類作成についてもサポートを受けることができ、手続において代理を依頼できることも大きなメリットです。
(2)支払が困難な場合に債務整理の手続を一任できる
督促異議申立てを経て訴訟手続に移行した場合は、債権者と支払について交渉を行わざるを得ません。
もっとも、支払督促が送達されるケースでは、債務者が早期に支払を行うことが困難な場合が多いため、債務整理を行うことを検討する必要があります。
債務整理とは、借金の支払が困難な場合に返済義務の軽減や免除を受けるための手続の総称です。
よく使われる債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産の3つの手続があります。
任意整理は、債権者と直接交渉を行うことで、返済の負担軽減を図る方法です。
主に返済スケジュールの引き直し(5年を目安とすることが多いです。)や将来分の利息のカットなどを交渉し、月々の返済の負担を軽くします。
個人再生は、裁判所に借金の返済が困難であることを認めてもらい、借金総額に応じて返済額を減額してもらう方法です。
任意整理と異なり、元本についても減額が受けられるため、返済の負担を大幅に軽減することができます。
自己破産は、裁判所に借金の返済が困難であることを認めてもらい、借金の全額について返済義務を免除してもらう方法です。
手続の中で一定以上の価値のある財産は換価され、債権者に配当されるものの、必要最低限の財産については手元に残すことができ、一部の債務を除いた借金の返済義務から解放されます。
これらの方法のうち、どれを行うべきかは収入や財産状況によって変動します。
弁護士に相談することで、ご自身の状況に最適な債務整理の方法を選ぶことができます。
また、個人再生と自己破産は裁判所を介して行うため、裁判所へ提出する書類の作成や収集、裁判所での手続などを一任することが可能です。
まとめ
本記事では、支払督促の手続の流れや弁護士に相談するメリットについて解説しました。
支払督促が送達された場合には、支払が困難な場合であっても放置をせず、速やかに弁護士に相談の上、督促異議申立てを行うことが重要です。
弁護士法人みずきでは、これまでに借金問題の解決や債務整理の手続に対応してきました。
経験豊富な弁護士が丁寧にお話を伺いますので、支払督促が届いたものの手続の内容がわからないとお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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