遅延損害金の起算日は?支払期日が過ぎてしまった場合の対処法
「支払いが遅れてしまったけれど、遅延損害金はいつから発生するの?」
「支払期日からすぐであれば遅延損害金はかからない?」
クレジットカードやカードローンなどの支払期日を過ぎると、いつから遅延損害金が発生するのか気になる人は多いのではないでしょうか。
遅延損害金の起算日は、支払わなければならない債務の性質、内容によって異なります。
この記事では、遅延損害金の起算日の種類や、遅延損害金が発生した後に起こること、そしてその対処法についてご紹介します。
1.遅延損害金の起算日とは
遅延損害金とは、文字通り「支払いを遅延した場合の損害金」です。
簡単に言えば、遅れたことによるペナルティとして多く払わなければならなくなる金銭のことを言います。
そして、これが発生する日を「起算日」と言います。
遅延損害金の起算日は、民法によって定められています。
以下のように、どのような債務かによって、場合分けがされていますので、詳しく見ていきましょう。
(1)支払期限の取決めがある場合
(2)支払期限の取決めがない場合
(3)不法行為に基づく損害賠償請求の場合
(1)支払期限の取決めがある場合
返済期日などの支払期限の取決めがある場合、遅延損害金の起算日は、支払期限の翌日です。
業者からの借入れやクレジットカードの利用料金のほぼ全ては、支払期限の取決めがあります。
「毎月○日払い」や「○月○日までに支払う」など、いつまでにいくらを支払わなければならないかが契約時点で定められています。
たとえば、カードローンの返済期日が毎月15日の場合、遅延損害金の起算日は16日です。
法律上は、16日になった時点で、遅延損害金が発生していくことになります。
(2)支払期限の取決めがない場合
支払期限の取決めがない場合、いつ返しても良いのだからそもそも「支払いが遅れている」状況にならないようにも思います。
しかし、法律上は、このような場合、支払いの請求を受けた時が遅延損害金の起算日とされています。
支払期限を定めずにお金を借りることはできないと思うかもしれませんが、たとえば親しい間柄にある個人間での金銭の貸借では、支払期限を定めない場合もあり得ます。
そのような場合には、「そろそろ返してくれないか」や「いついつまでに返してくれないか」といった話が出たら、その時が支払日となります。
もっとも、民法では「初日不算入」という考え方があります。
今日返せと言われて、いきなりその日から遅延損害金が発生するというのはあまりにも酷です。
そのため、この場合は、「返せ」といわれた翌日から遅延損害金が発生することとなります。
(3)不法行為に基づく損害賠償請求の場合
借金と異なり、不法行為に基づく損害賠償債務を負っている場合は、遅延損害金の起算日は不法行為があった日です。
不法行為に基づく損害賠償とは、交通事故や傷害事件などで第三者に与えた損害を賠償しなければならない義務を指します。
この場合、約束によって債務を負ったわけではないので、初日から支払義務が発生します。
また、不法行為の場合は、不法に他者の権利を侵害しているため、初日不算入の原則も適用されません。
そのため、事故が発生したその日から遅延損害金が発生することになるのです。
2.遅延損害金が発生したときに起こること
うっかり支払期限を過ぎてしまい、遅延損害金が発生してしまうこともあるでしょう。
この場合に放置すると、以下のようなことが起こる可能性があります。
- 遅延損害金が増え続ける
- 信用情報機関に事故情報が登録される
- 財産を差し押さえられる可能性がある
では、これらについて詳しくみていきましょう。
(1)遅延損害金が増え続ける
遅延損害金は、概ね次の計算式で求められます。
遅延損害金 = 滞納額 × 1日あたりの遅延利率 × 遅延日数
そのため、延滞日数が長引くほど遅延損害金は増え続けます。
また、ほとんどの消費者金融の契約内容には「期限の利益喪失約款」という、返済が遅れた場合には未払残額を一括で返済しなければならない条項が盛り込まれています。
これによって未払残額を一括で返済しなくてはならなくなった場合、遅延損害金は、未払残額すべてに対して発生します。
さらに、遅延損害金は、返済が遅れたことに対する一種のペナルティであるため、その利率は、通常の利率よりも高く設定されています。
たとえば、金融業者による貸付の場合、利息制限法7条1項の上限である年率20%と設定されていることが多いです。
このように、高い利率により遅延損害金が増え続けてしまうと、返済はさらに困難になります。
できるだけ早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。
クレジットカードの遅延損害金の計算方法について詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。
(2)信用情報機関に事故情報が登録される
借金の返済について滞納が続くと、信用情報機関に延滞の情報が登録されます。
このように事故情報の登録がされると、お子さまの奨学金を借りられなくなったり、全てのクレジットカードの利用ができなくなったりする可能性があります。
また、新規のキャッシングやローンが利用できなくなったり、スマートフォンの購入時などに分割払いが利用できなくなる可能性もあります。
借金の返済についての滞納を解消するように対応しなければ、事故情報が残り続けてしまい、上記の不利益が継続してしまいます。
この対応については、全額を支払う方法のほか、債務整理の方法もありますので、弁護士に相談することもご検討ください。
(3)財産を差し押さえられる可能性がある
長期滞納が続くと、度重なる督促のすえ、債権者から訴訟を起こされてしまうかもしれません。
訴訟を起こされた場合、最終的には判決などの債務名義を取得され、強制執行がなされてしまいます。
強制執行となれば、不動産や給料の一部、預貯金などの財産が差押えの対象になる可能性があります。
差押えが行われた場合、簡単に言うとその財産は取り上げられてしまいます。
不動産の場合には競売が行われますし、給料は入ってこなくなり、預貯金は引き出せなくなります。
このように、生活に大きな影響が出るため、訴訟を起こされる前に対応を行うことが大切になります。
3.遅延損害金の起算日を過ぎてしまったときの対処法
遅延損害金の支払いをせず放置していると、借金が増えるだけではなく、事故情報の登録がされたり、差押えをされたりするなど、生活がどんどん困難になっていくおそれがあります。
そこで、遅延損害金の起算日を過ぎてしまったら、放置せずに即座に適切な対応を行うことが大切です。
まずは、状況の整理をし、相手側に連絡しましょう。
そして、支払いができるのであれば支払いをして、必要に応じて弁護士にご相談ください。
以下、それぞれご説明します。
(1)支払いができる場合、早急に支払いをする
上で説明したように遅延損害金は遅延日数が長くなればなるほど高額になります。
つまり、遅延損害金の起算日を過ぎてしまったとしても、早急に支払いをすれば遅延損害金は少額に抑えらえます。
「次の休みに支払おう」や「再振替があるからそれまでに入金しよう」という考えはやめて、迅速に支払いましょう。
遅延損害金の起算日を過ぎた後早急に支払いをした場合でも、信用情報機関に事故情報の登録がされる可能性は否定できません。
しかし、短期間であれば不利益は最小限に抑えられる可能性がありますので、なるべく急いで対応をするようにしましょう。
(2)相手側に連絡する
支払日までに入金することが難しい場合は、返済できない旨を相手側に連絡をしましょう。
支払日を既に過ぎてしまった場合でも、連絡しましょう。
会社によって異なりますが、返済日の延長や、分割払いなどの対応を受けられる可能性があります。
もっとも、返済が困難である場合には、まずは以下のように弁護士に相談いただいたほうが良い場合も多くあります。
(3)弁護士に相談する
遅延損害金の起算日を過ぎても、どうしても返済できない場合は債務整理をするのも一つの方法です。
債務整理とは、借金を整理して返済の負担を減らす手続の総称をいいます。
債務整理には、各人の状況に応じてさまざまな手段があります。
そのため、債務整理ができるのか否か、どのような手段で債務整理をすることが最適なのか等、適切な対応方法を検討するために弁護士にご相談ください。
当事務所をはじめ債務整理の相談は無料で受け付けているところも多いので、しり込みせずに相談いただくのが今後の生活のためにもなります。
まとめ
遅延損害金の起算日は、支払わなければならない債務の性質、内容によって異なります。
消費者金融等からの借金については、ほとんどの場合は返済日の翌日から発生します。
遅延損害金が発生した後に放置してしまうと、遅延損害金が増え続けます。
また、事故情報を登録されることによりローンや奨学金が借りられなくなったり、不動産や給与を差し押さえられるなどの不利益が生じる可能性があります。
そのため、何らかの対応をする必要があります。
そこで、遅延損害金の起算日を過ぎたら、まずは相手側に連絡しましょう。
そして、必要に応じて、債務整理ができるのか否かなどを弁護士と一緒に検討しましょう。
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